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『One-inch Tactics』開発者のノート:デザイナーインタビュー編

お世話になっております。工画堂スタジオです。 

 今回は、突然の特別編、『One-inch Tactics』でローダーや車両、武器のデザイン、パイロットスーツにタイトル画面の箱やらエンディングのラストカットまで、色々なグラフィックデザインを担当してくれた工画堂デジタルアート部、山田さんにお話を伺います。(聞き手:トラ崎)

・山田さん
デジタルアート部所属。ソフトウェア開発部との仕事としては、トリスティアレガシー/リストアの背景や、ユメミドリーマーの手伝い等。好きなゲームは「アーマード・コア」「エースコンバット」「地球防衛軍」「モンスターハンター」など。好きな作家は生頼範義。趣味としても絵を描き、プラモを嗜む。最近とあるX4+の作例をまねて汚し塗装にチャレンジしたらしい。初代POWER Dollsと同い年。

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・プロジェクトに対する印象


■トラ崎:
 もう数年前になりますかね。入社時の自己紹介で「ミリタリー系に詳しい」って話をしてたのを聞いて「んじゃ声かけてみようか」と思ったのがきっかけでした。当時はまだ水面下で動いていた『One-inch Tactics』を、そろそろ本格的に進めようかな、ってタイミングでした。

◇山田:
 驚きましたね。専門学校に在籍していた頃、講師から工画堂の事や「パワードール」について聞いていましたが「最近は動いていない」とも聞いていました。採用面接の時にも、社長から「そういったジャンルのゲームは現在作れていない」と伺っていたので……。まさかこういう形で関わるとは思っていませんでした。

■トラ崎:
 「彼、絵上手いよね」って社長が言ってましたよ。

◇山田:
 恐縮です。

■トラ崎:
 発売からしばらく経過した今、改めて思う事はありますか?

◇山田:
 ご好評いただきありがとうございます。ユニットのデザインに関しても否定的な意見はそこまで無かった印象なので安心しました。

■トラ崎:
 ユーザーのイメージと、ゲーム内のデザインに乖離が無かったって事でしょうね。

◇山田:
 よかったです。


・ローダーデザインについて


■トラ崎:
 一番印象に残ってるユニットは?

◇山田:
 XN-装甲歩兵ですね。XNだけリアル頭身を描いたのもあり、思い出は多いですね。

■トラ崎:
 タイトルシーンで出てる箱に描かれてたローダーですね。結局、一番多く描いた事になりますかね。露出も多いし。

◇山田:
 デフォルメした時のすり合わせも多かったですね。基本的には過去作品のローダーデザインを踏襲しているのですが、頭が小さいんですよね。それをデフォルメするから、逆にバランスが取れてしまう。肩の接合位置や太腿の太さ、膝下の長さ、それぞれ何パターンも作って決めてました。

■トラ崎:
 今作は、最初からコマとしてデザインしてるんですよね。リアル頭身をデザインしてからデフォルメするのではなく。

◇山田:
 ちょっと特殊でしたね。ただ、形に意味を持たせようとはしていて。でも細かくしすぎても見えなくなる。そこで何か無いかな……と考えた所、廉価版の量産機だけど後から開発された物ではあるので、一番目に付く足、太腿に何かしらか意味のある意匠を入れておいて、改良型であるXE-装甲歩兵でもそれが継承されている、みたいな設定を頭に入れてデザインする、って事をやっていました。肩にライン入れておいて、そこを開いて整備する、とかも。

■トラ崎:
 最初にあったのがXFP-装甲歩兵で、そこから引き算してXN、足し算してXEになった。デザインとしてはXFPが元になってるんですよね。

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左からXE、XN、XFP-装甲歩兵

◇山田:
 そうですそうです。

■トラ崎:
 XEの方はどうですか? 完全に後期主人公機のおもむきですが。

◇山田:
 ヒロイックにしようという意識がありました。元ネタとしてはパワードール5や6とか、割と新しめの機体を参考にしながらデザインしましたね。意図的に色が入る場所も増やしました。腕にもわかりやすくカバーをつけたりして。

■トラ崎:
 歴代見ると、XNのバイザー顔の方が新鮮よね。

◇山田:
 量産型はバイザー顔にするというお約束ですね。ゴーグル付きとかもデザインしましたね。ボツになったやつ。

■トラ崎:
 ありましたね……ボツにしたやつ。

◇山田:
 ボツラフ、残ってましたっけ?

■トラ崎:
 あるはずですね。貼っておきますよ。


・敵ユニットのデザインについて


◇山田:
 仕事全体から見て、最初に描いたのがXFPで、次に描いたのがジープ型、装甲車でした。こだわりポイントは後ろについてる携行缶。これは自衛官時代、車両で移動してサービスエリアとかで停まる度に、携行缶がちゃんと固定できてるかを確認してたんです。長距離移動だったらそこから給油するとか。そんな思い出があったので、小さくなろうともつけておきたかった。だから装甲車だけ妙に細かい。

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■トラ崎:
 こいつだけサイドミラーついてますよね。

◇山田:
 あ、そうですね。他の車両にも入れてよかったかな。

◇山田:
 輸送ヘリも、色々妄想しながら描いてました。このカーゴめちゃくちゃでかいはずだから観測員用のキャノピーがあるはずだとか、その下部分に空間があったりも。

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■トラ崎:
 輸送機らしいずんぐりむっくり感。どっからどうみてもヘリ型輸送機だってのは重要ですね。

◇山田:
 そこは意識しましたね。攻撃ヘリも思ったより可愛くなって。でもこれはこれで良いんだってなりました。この可愛いユニットが強かったら憎らしいかなって。

■トラ崎:
 今作1~2を争う嫌われ者じゃないですかね。

◇山田:
 それはもう過去作からずーっと継承ですよね。最初はミサイル、ロケット、機銃と盛々の物を描いて、武装を減らす方向で調整していきましたっけ。今見ると、主翼の下にキャノンを付けるのはカッコイイというか可愛いですね。これは結構いいなと思います。

■トラ崎:
 ゲーム的には機銃扱いですね。ヘリがキャノンを持ったら本当に酷い事になりそう。

◇山田:
 あとは、それぞれ何かしら未来要素を入れようとはしました。まずは過去作のデザインをベースにして、近代や近未来の要素を足していくような。戦車もエイブラムスやらドイツの新しい車両やら見ながら描いてました。

■トラ崎:
 過去作が作られた当時では最新兵器だけど、今見るとちょっとだけ古いって現象が起きますね。人型メカがいたりする近未来物のゲームなのに、使ってる武器はいまだに火薬ですし。

◇山田:
 この手のゲームって、設定が全てだって思っていたんです。この戦車の機銃は自動迎撃装置だ、みたいな。でも、ゲームに落とし込むにあたって形を変えたり要素を減らしたりする必要もあって。不安にはなるんですよね。あまりにもさっぱりしたものになるから。

■トラ崎:
 その、こざっぱり感はわかりやすさとイコールだとは思います。設定がゲーム的に反映されるかどうかはさておき、それが何か、見てわからないと話は始まりませんから。

◇山田:
 望むなら、ワールドタンクミュージアムばりのディテールにしたかったですね。

■トラ崎:
 それに揃えるってなると、ローダーのデザインがえらい細かくなりません?

◇山田:
 ……ただの妄想にしておきましょう。これはこれで可愛いし、カッコイイから良いかな。


・ユニットの色について


■トラ崎:
 あとは上から見た時、色が見えるようにってのもありましたね。ゲーム中は、基本的に盤面を見下ろす視点になるから。

◇山田:
 全部のユニットについて、色を置く所を気にしましたね。なるべくカッコ悪くならないように、パーツ分割のライン入れて色を入れて……もうちょっと上手くできたかなぁ。

■トラ崎:
 見やすく出来てると思いますよ本当に。付随してカラーパレットも作ってもらいましたね。

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◇山田:
 色決めもやりましたねぇ。オリーブドラブとタンカラーいれて、緑系だけもいくつかあるんですよね。90式の迷彩イメージは青に寄せるとそれっぽく見えるとか。ミリタリーを知ってて、こういうゲームを買う人から見れば、こういう色があったほうが嬉しいんじゃないかな。気に入ってくれた人もいたみたいです。

■トラ崎:
 こだわりが通じたやつですね。RGB極振りのほうが見やすいけど、それがかっこいいかどうかは別問題。

◇山田:
 コマの識別という意味からは少し外れたとは思いますが、こんなのがあっても良いと思います。

■トラ崎:
 良いと思います。

◇山田:
 あと、デフォルトになる赤青緑の色味調整もやりましたね。たしかこれやってた時、熱出してたんですよ。

■トラ崎:
 うなされながらやってたんだ……。


・装備品について


◇山田:
 銃のデザインは、見た目でわかるように心がけました。「アサルトライフルだ」「サブマシンガンだ」と現代寄りのデザインにしましたね。マガジンなんかも一般的な感じに。

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■トラ崎:
 昔話で、設定はケースレス弾なんだけど、上がってきた絵には薬莢が飛んでたとか聞いた事ありますね。

◇山田:
 人型ロボが出るような近未来物なのに、現代に近いものを使うのかよーって話もありそうですが。

■トラ崎:
 よくある形状バランスですよね。あれはアサルトライフルだ、ってわかる。

◇山田:
 そうですね。シルエットだけ見ても「よく見る形」となるように意識しました。

◇山田:
 あとは盾。

■トラ崎:
 ゲーム内の箱絵として描いて貰ったリアル頭身のXN、あれも盾持ちのアサルト持ちでしたね。過去の箱絵との共通点に気付いた人、複数いたみたいですよ。

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◇山田:
 あぁ~。あの盾の解釈も色々と考えましたね。元々はただの板だったのですが、今だと複合素材だったり、あえて隙間を空けたり、ブロックを後付したり。ただの板じゃないんだよ、を考えながら描きました。

■トラ崎:
 黒い素材が追加装甲としてくっついてる感じ。

◇山田:
 そうですそうです。あとは先端に爪がついてたりします。

■トラ崎:
 あ、確かについてますね。肩から外して地面に刺したりするのかな。

◇山田:
 ハンドキャノンを乗せて撃ったりはしないでしょう。


・次があるなら


◇山田:
 もし今後もまたこういう作品に携わるとしたら、このジャンルに詳しい人が欲しいですね。自分の知識だけではなく、相談できる人が欲しいというか、脳内で常に架空戦記作ってまーすみたいな絵描き。

■トラ崎:
 詳しい人がもうひとりいたら面白いのになー、って感じですね。

◇山田:
 ミッション作成も楽になったりします?

■トラ崎:
 フィードバックをもらえる先が増えるのは嬉しいかな。別に山田さんがミッション作っても良かったんだよ?

◇山田:
 いやそれは……。

■トラ崎:
 山田さんの台詞ですごい好きなのがあってさ「俺は突撃する側だからわからない」ってやつ。

◇山田:
 あー、ありましたね。

■トラ崎:
 あれは最高ですね。自分はライフルを持って突撃する側であり指示を出す側ではない。

◇山田:
 でも拠点側の兵士の動きはわかるかもしれませんね。特定の時間になると偉い人が来るから兵士が正面に集まって裏側が手薄になるとか。

■トラ崎:
 ちょっと生々しくありません?



■トラ崎:
 こんなもんですかね? あと何か言っておきたい事あります?

◇山田:
 こんなもんでいいですかね。追加ミッション、楽しみにしています。


◇山田:
 ……そういえば見せてもらった一枚絵、センターのキャラが一番人気だったりするんですか?

■トラ崎:
 一番人気かどうかはわからないな……人気投票とかやってないし。初期メンバーであり隊長格の人ではあるんだけど。うーむ……。



以上。

 山田さんが最後に言っていた一枚絵は、『One-inch Tactics』を遊んで頂いている皆様へ、近い内にお届けできると思いますので、お気づきの際は「あぁ、これの事言ってたのか」と思って頂けると幸いです。

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