忘れ物は「返送しない。取りに来て」温泉民宿の宣言が物議、こんな対応は法的にアリなの?
●着払い返送のほうが「合理的」といえる面も
ただし、宿泊施設は、善管注意義務を負って、忘れ物を管理しなければいけません。 また、返送費用は持ち主負担ですし、現実に請求する施設は少ないと思いますが、法律上は謝礼(報労金)も受け取れるわけですから、保管中の破損・紛失のリスクや、警察で詳細な情報を申告しないといけない事務負担を考えれば、着払いで返送するほうが合理的といえる面もあります。 もちろん、持ち主の確認が不十分なまま返送してしまったり、保管や返送中の破損をめぐってクレームを受けたりするリスクもありますから、「返送しない」という判断も十分に理解できるものです。
●警察とやり取りして「着払い返還」を求める
宿泊客が再び現地を訪れるのが困難で、宿泊施設が着払いによる返送にも応じてくれない場合は、施設に対して、できるだけ早く警察署に忘れ物を提出するよう依頼しましょう。そのうえで、警察署とやり取りし、着払いでの返還を求めることが現実的な対応となります。 ただし、警察署が実際に発送するのに相当な日時がかかる場合もあるようですので、すぐに必要な物品の場合には、やはり宿泊施設と返送に関して交渉するほうが合理的です。 着払いで返送を依頼すること、持ち主であることを十分に証明することはもちろんですが、輸送時の破損等について一切宿泊施設の責任を問わないことの念書を差し入れるなどすると、宿泊施設としても返送のハードルが大きく下がるかもしれません。 【取材協力弁護士】 池田 誠(いけだ・まこと)弁護士 証券会社、商品先物業者、銀行などが扱う先進的な投資商品による被害救済を含む消費者被害救済や企業や個人間の債権回収分野に注力している下町の弁護士です。債権回収特設ページURL(https://nippori-law-saikenkanri.com/) 事務所名:にっぽり総合法律事務所 事務所URL:https://nippori-law.com/
弁護士ドットコムニュース編集部