真面目で優秀な高校生の息子が女子生徒を盗撮して逮捕…「うちの子に限って」両親を襲った悪夢と揺らいだ家族
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増える未成年者の盗撮
子どもが未成年の場合でも、性犯罪の加害者家族になる可能性はあります。とくに近年深刻なのが未成年者による盗撮行為です。 なかには「悪ふざけしただけでしょ」という反応を示す親もいますが、盗撮はれっきとした性犯罪です。 2023年7月には、性的な撮影行為を取り締まる「性的姿態等撮影罪(撮影罪)」が新設され、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられることになりました。 私のもとにも、中高生の性問題行動として盗撮行為の相談が年々増えています。 警察庁の統計によると、2023年7月〜2024年11月に起きた中学生同士の盗撮行為のうち撮影罪で検挙されたのは83人にのぼり、うち38人は学校内での盗撮行為でした。 また、高校生同士の盗撮行為のうち撮影罪で検挙されたのは316人にのぼり、うち112人は学校内で盗撮をしていました。 未成年者である子どもが刑事事件の加害者となった場合、14歳以上であれば逮捕されます。少年事件の場合、成人のように起訴されて刑罰が下されるわけではなく、その処分は家庭裁判所の審判に委ねられます。
デジタルネイティブ世代の認識
こども家庭庁のデータによれば、小学生(10歳以上)で46.2%、中学生は82%、高校生は97.6%がスマホからインターネットを利用しています(※1)。 幼い頃からデジタル機器が身近にあり、「デジタルネイティブ」「SNSネイティブ」の彼らにとっては、画像や動画を共有することは日常的なコミュニケーションの一部です。しかし、その行為が他者の人権を著しく侵害する可能性があるという認識がまだまだ追いついていないのも現実です。 また、とくに男子生徒の場合、女性をまるでモノのように扱うことで、ホモソーシャル(男性優位を前提とした男性同士の結びつき)な仲間内の絆を深めていくなど、「有害な男らしさ」に過剰適応した結果として性加害行為に至ることもあります。 子育てをするなかでは、親が予想すらしない出来事が往々にして起こるものです。しかし、未成年の子どもが性問題行動を起こした…と知った親の精神的なダメージは計り知れません。 「自分の育て方が悪かったのではないか」と自責の念に駆られたり、実名報道こそされないものの地域や学校で噂されたり、コミュニティから排除されてしまうことも少なくありません。 また、きょうだいがいる場合には、その影響も深刻です。さらに被害者への高額な被害弁済に加え、休職や退職、転居費用など、家族の経済的基盤そのものが大きく揺らぐことになります。 斉藤章佳 精神保健福祉士・社会福祉士。西川口榎本クリニック副院長。専門は加害者臨床で、現在までに3000人以上の性犯罪者の治療に関わる。著書に『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)、『「小児性愛」という病』(ブックマン社)、『セックス依存症』『子どもへの性加害』(ともに幻冬舎新書)、『男尊女卑依存症社会』(亜紀書房)などがある。 (※1)こども家庭庁「令和6年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」
斉藤章佳
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