レンタルレイアウトっていう登録商標が話題らしい
商標に関するニュースを定期的に観察することが趣味の私。
今日もコロコロ、サクサク商標に関するニュースを見ていると、
どうやら、「レンタルレイアウト」という商標が話題らしいですね。
業界内では物議を醸しているようなので、弁理士の目線から勝手に語っていきます。
1、「レンタルレイアウト」は使ってはいけないのか?
結論、みなさまが適切に使い限りは、全然大丈夫ですよ!
なぜかというと、
「レンタルレイアウト」の登録商標を、
建物内スペースの貸与またはおもちゃの貸与等のサービスで、
適切に権利化しているとは言えないから。
まず権利内容を正確に確認します!
確かに、「レンタルレイアウト」という言葉で商標登録はされています。
ただ、商標登録している=その言葉は使ってはいけないと勘違いしそうになりますが、そうではなく、もう一つ重要な要素があります。
それは、権利範囲の話です。
商標登録する際は、
どの商品サービスについて権利が欲しいかを定めた上で権利化をするのです。(これを、「指定商品役務」といいます。)
よほどその名称が有名になっていない限りは、上の指定商品役務の範囲外であれば商標登録している言葉を使っても問題はないのです。
(正確に言うと、類似範囲も含みますが、今回は一旦置いておきます)
今回のケースの「レンタルレイアウト」の指定商品(権利範囲)は、「鉄道模型」のみとなっております。
つまり、
鉄道模型とそれに近い商品を販売する際にレンタルレイアウトという名称またはこれに近い名称を使うと権利の侵害になる。
ここまでは現時点では確定しています。
私は鉄道模型やそれについての遊戯は全く知らないのですが、
レンタルレイアウトって、一般的な使われ方としては、
鉄道模型を運転するための設備(レイアウト)を貸し出すサービスとのこと。
それを踏まえてもう一度権利を細かく見てみると、
この「レンタルレイアウト」に対応する
・建物内スペースの貸与(商標のカテゴリーでいう36類)は指定(=権利化)されておりません。
仮に、鉄道模型を走らせる場所を遊び場(=施設や設備)と考えた場合でも、
例えば、
・おもちゃの貸与
(商標のカテゴリーでいう41類)
・レクリエーション施設及びレクリエーションの提供
(商標のカテゴリーでいう41類)
などがやっぱり指定(=権利化)されていない。
要は、
今回の商標登録ではレンタルサービスは一切権利化できていないわけです。
繰り返しますが、鉄道模型を販売する際に「レンタルレイアウト」という名称を使用することは権利の侵害になる可能性があります。
ただ、鉄道模型を走らせる施設を貸す際のネーミングとして、「レンタルレイアウト」を使用することは現時点で全く問題ないのです。
この権利者は名義上は自然人の個人で、代理人がついていませんね。
なぜ、上述の建物内スペースの貸与またはおもちゃの貸与・レクリエーション施設及びレクリエーションの提供を権利化していないかは不明です。
あえて権利化していないのか、知識不足だったのかは正直分かりません。
ただ、少なくとも、現時点で使用している方の使用が制限されることはなさそうですね。
2、特許庁審査官はなぜこの「レンタルレイアウト」の商標登録を認めたのか?
(1、)を読んでいただいた方で察しが良い方なら気付くかもしれません。
なぜ、レンタルレイアウトの商標を認めたか?の答えは、
「鉄道模型」の商品名やブランド名としては、
このレンタルレイアウトはほとんど使用されていないと認めたから
と推察します。
特許庁審査官は審査をする際にググります。
特許庁審査官もネットをフル活用するわけですね。
もちろん、レンタルレイアウトが使用されていることには気付いたでしょう。よって、レンタルサービスとしては、使用されていることを確認したと思います。
一方で、鉄道模型の商品名としては広く一般に使用されていないようです。
つまり、「(指定商品が)鉄道模型だったら、まあ登録を認めるか。」となったわけです。
反対にいうと、レンタルサービスを指定して、レンタルレイアウトが商標登録出願された場合には、
「多数の使用者がいるから、商標登録は認めないよ。」となったはずです。
(これを専門用語で、「識別力要件」といいます。)
3、結論
「レンタルレイアウト」は「レンタルレイアウト」の使い方で使うなら大丈夫です!!
もちろん、Xで呟いたり、記事を書いたり、#でレンタルレイアウトを使うこともOK!
必殺技(ワード)は、
「商標法25条の侵害行為には該当しない。なぜなら、商品役務非類似であるから。」
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