「いじめ」で追い詰められた心 留学生は教室で金づちを振り下ろした

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上保晃平
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 法政大学に留学中の女子学生(23)が突然、教室にいた男女8人の頭などを金づちで殴った。法廷では、来日前から精神面に不安を抱えていた点などが明かされた。なにが彼女を追い詰めたのか。

 2025年6月、女子学生は被告として東京地裁立川支部での初公判に出廷した。法政大多摩キャンパス(東京都町田市)の教室で1月10日、講義を受けていた19~22歳(当時)の学生8人を金づちで殴り、全治1~2週間のけがをさせたとして傷害罪に問われた。

 グレーのスウェット姿に黒色のメガネをかけた被告は、起訴内容について、日本語で「間違いないです」と認めた。

 検察側の冒頭陳述や法廷に提出された証拠などによると、被告は韓国生まれ。23年春に来日し、法政大に入学した。

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 最初のトラブルが起きたのは、24年11月ごろ。授業中に被告が資料の束で他の学生を殴った。被告は「学生から、くさいと言われている」と訴えたが、大学側は「加害者」を特定できなかった。被告は大学側にも不信感を募らせた。

 今回の事件について、被告は、逮捕後の取り調べで「いじめをやめさせるため」と主張した上で、「学生たちを殴るしかないと思った」と話したという。

 逮捕後の精神鑑定では、強迫…

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この記事を書いた人
上保晃平
立川支局|事件・裁判担当
専門・関心分野
社会保障、障老病異、社会思想