日本の食文化を語る上で欠かすことができないクジラ。しかし、日本が令和元年、31年ぶりに商業捕鯨を再開するまでの長い年月で鯨肉になじみのない日本人や扱い方を知らない料理人が増えた。
料理人で日本の伝統食文化を研究する著者は「鯨食文化をこれからの世代に伝えたい」と本書を刊行。鯨肉の料理法のほか関東地方唯一の捕鯨基地、千葉県南房総市和田町でのクジラ解体作業のカラー写真も収載した。江戸後期の国学者、小山田与清(ともきよ)の著書にクジラが「古代中世には食べられていた」という記述があることなどを紹介した解説「日本人と鯨」も読み応えがある。(農文協・3960円)