“こころが男性どうし”のふうふ「とても幸せ」子どもを産み育てて、今思うこと…「自分らしく生きていい」と思える勇気の輪へ
こころは男性のきみちゃんの、妊娠・出産
ちかさん(36)とパートナーのきみちゃん(32)。そして2歳になった長男みぃくんと、2月に生まれたばかりの長女じゅったんです。 【画像】こころが男性どうしのふうふが、子どもを産み育てて、今思うこと ちかさんは、からだは男性、こころは男性ですが、日によって女性よりの日もあって、好きになるのは男性だけ。きみちゃんのことは、「ひとりの人間として優しいし、頼りになる」と話します。 きみちゃんは、からだは女性、こころは男性のトランスジェンダーです。からだの性別と戸籍を男性にすることを考えていましたが、ちかさんと出会い、2人の子どもを持ちたいと思い中断。子どもを産むことを決意しました。(取材:HBC泉優紀子) 初めておなかに授かった羅希(らき)ちゃんを、失う経験をしました。インターネット上で、「ただの変態カップル」「申し訳ないけど気持ち悪い」などの心無い言葉を浴びました。 それでもきみちゃんは、こう話していました。 「世間から、父親と母親っていう概念がどうとか、子どもがいじめられるとか、かわいそうって言われてた。そんなことない、そんなことさせない、そうじゃないっていうところを、ちかさんと見せていきたいと思っていた」
自分が男性だと思っているのに、妊娠・出産をすることには、大きな葛藤もありました。 前編(【関連記事】参照)ではこれまでを振り返りながら、家族の今の姿をお届けしましたが、この記事では、妊娠・出産を経て、きみちゃんが今思うことについてお伝えします。(取材:HBC泉優紀子)
久しぶりに会ったきみちゃんは、あごひげを生やしていました。 からだを男性に近づける治療を今後再開するのかついては、「する予定はあるけど、本当にどうするかいろいろと話して結論付けていきたい」と話してくれました。 今の日本の法律では、子どもが成人するまで戸籍の性別変更もできないため、「長い目で見ながら考えていきたい」と言います。
妊娠出産を経て、きみちゃんはまわりから「母性が出て来た?」と声をかけられることもあるといいます。しかし自身が男性であるという認識は、揺らぎません。 「子どもを守らなきゃと思うし、でもそれは同じようにちかさんも思っている、母性というより親心だと思う」と、きみちゃんはゆっくりと力強く話します。