通称「9階」と呼ばれている屋上
通称「9階」と呼ばれている屋上は、インタビューの写真撮影で使われることもある広いスペースであり、一角に赤い鳥居の連なる「東映稲荷」が存在する。映画のヒット祈願が行われ、経営陣が定期的に詣でる場所であり、柱には大川博、岡田茂をはじめ歴代東映の社長7人の名がずらり。柱は京都の総本宮・伏見稲荷大社から取り寄せたものという。
屋上のフェンスからは高速道路のカーブを見渡すことができる。拙著『あぶない刑事インタビューズ「核心」』の一倉治雄監督のポートレートも、ここをバックに撮影したことを思い出す(東映Vシネマ『狙撃』のラストシーンをイメージ)。
かつてこの屋上では社員たちのキャッチボールやバッティングが行われていたが、いまや禁止されており、階段には総務室による張り紙が残されていた。
7月19日から21日の3連休で東映本社は同じく中央区の「京橋エドグラン」へと移転、従来と異なり横に広いワンフロアのオフィスとなる。東宝日比谷ビルに居を構える映画会社・東宝と同じスタイルであり、昔ながらのビルがなくなるのはさみしいが、これもまた時代の流れだ。
なお、東映会館の跡地には、ホテル・店舗を中心とした東映の商業施設が建設される予定という。さよなら東映会館──。
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