支配人・小林恵司氏が語る「東映」

ふたたび丸の内TOEIの支配人・小林恵司氏にご登場いただこう。「東映はどのような映画会社ですか?」──富﨑氏と同じ質問をぶつけてみた。

小林:いろんなことにチャレンジして、突進していく会社ですね。「楽しくいこうや」と細かいところは気にせず、やるだけやってまえみたいな(笑)。実写だけでなく東映動画(現:東映アニメーション)は日本初のカラー長編アニメとして『白蛇伝』(58年)を作り、東映まんがまつりをスタートさせ、そして現在につながっていますから。

ロビーの大理石は開館当初のものという
2階の通路も懐かしい映画館の雰囲気
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──いちばん好きな東映作品を教えてください。

小林:今回の特集でも上映された『あぶない刑事』(87年)ですね。じつは東映ビデオ時代に講談社さんと組んでテレビシリーズからのDVDマガジンを出したんですが、それが大ヒットしまして、『あぶ刑事』の製作会社であるセントラル・アーツの黒澤満さんに「売れてますよ! 絶対また映画やったほうがいいですよ!」と事あるごとに吹き込んでて……そうしたら黒澤さんが本当に復活させたんです。

──あっ、『さらば あぶない刑事』(16年)のきっかけとなったDVDマガジンですね。生前、黒澤さんにインタビューした際にも同じお話をうかがいました。まさか小林さんが担当されていたとは!

小林:そうなんです。『さらば』も大ヒットしましたし、昨年の『帰ってきた あぶない刑事』(24年)でタカとユージがまた帰ってきた(笑)。だから今回「さよなら丸の内TOEI」での舘ひろしさんと柴田恭兵さんの舞台挨拶は感無量でしたね。復活の一端を担うことができた人間として、うれしい限りです。

──「帰ってくるのは、お約束」と言いたくなりますが、まさか『あぶ刑事』の話で締めくくりになるとは思いませんでした。ありがとうございました。

7月27日に閉館となる丸の内TOEI、同じ東映会館に居を構える本社も移転が決まっており、社内は引っ越し寸前の状況であった。その模様は続編「【「東映本社」最期の記録】「屋上で野球禁止」「歩行中禁煙」の掲示、“220円”食堂カレー、社内床屋…昭和が匂い立つ「東映会館」を探訪【65年の歴史に幕】」をご覧いただこう。

「さよなら丸の内TOEI」

2025/5/9(金)~7/27(日)開催

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