繰り下がりの多い引き算は、筆算でも計算ミスが起こりやすい問題です。
暗算しようとすれば、もっと大変でしょう。
しかし、式の形によっては、工夫次第でとても簡単に計算できるかもしれませんよ。
問題
次の計算を暗算でしなさい。
8008−5979
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「2029」です。
引かれる数の8008は0が多く、繰り下がりの計算が複雑になりがちです。どうやって計算すれば、制限時間の中で2029という答えにたどり着けるのでしょうか。
次の「ポイント」で、この計算に使える暗算の工夫を確認してみましょう。
ポイント
この問題のポイントは、「引く数を切りのよい6000に変換すること」です。
もし引く数が6000だったとしたら、以下のように引き算はとても簡単になりますね。
8008−5979
→8008−6000 ←引く数を6000に変換
=2008
繰り下がりが発生しないので、すぐに2008という答えが出ました。
しかし、この問題の答えは2029で2008ではありません。引く数が違う以上、答えが違ってくるのは当然です。
ここで大事なのは、8008から5979を引いたときと、6000を引いたときの違いは何なのかという点です。
「6000−5979」を計算してみると、21になります。この計算にも繰り下がりが発生しますので、引き算として考えるよりも、5979に何を足すと6000になるかを考えると計算しやすくなりますよ(5979+?=6000⇔?=21)。
つまり、5979の代わりに6000を引くと、元の式よりも21多く引いていることになります。
そこで、この21を後から足してあげましょう。こうすれば、答えを変えずに、式を簡単にすることができます。
では、実際にやってみましょう。
8008−5979
=8008−6000+(6000−5979) ←6000と5979の差を足して調整
=8008−6000+21
=2008+21
=2029
これで2029という答えにたどり着けましたね。
まとめ
引き算で「引く数が切りのよい数に近い」場合は、今回紹介した工夫が利用できます。
工夫の仕方を一般化すると、次のようになります。
bより大きくて切りのよい数をb'とすると
a−b
=a−b'+(b'−b)
ただし、引く数が切りのよい数から離れていると、この工夫はあまり使い勝手がよくありません。
例えば、「8008−1234」のような式で1234を2000にしようとすると、その差を出すために「2000−1234」というややこしい計算をしなければなりません。
暗算の工夫をする際は、本当に計算が楽になる工夫を「式に合わせて」考えることが大事ですよ。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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