第3に、日本企業による米国への投資を通じて、経済安全保障上重要な9分野等について、強靭なサプライチェーンを米国内に構築するという合意についてです。
日本は、その実現に向け、「政府系金融機関が最大5500億ドル規模の出資・融資・融資保障を提供する事を可能にする」とされています。
5500億ドルの投資は、「JBIC(国際協力銀行)による出資・融資」「NEXI(日本貿易保険)による保証」を活用するとのこと。
果たして、真水の財政負担は生じないのか?
政策系金融機関の業務円滑化の為に、政府が資本強化に必要な措置を講ずる必要が生じるのではないか…と思います。
しかも、出資の際の「日米の利益配分の割合」は1対9だとのこと。
5500億ドルは、約81兆2,156億9,559万7,666円です。
京都大学大学院の藤井聡教授からは、「こんな合意をするくらいなら(関税率)25%のままの方がずっとまし。米国の対日貿易赤字は約9兆円ですから、毎年の10%関税(15%からのオーバー分)は0.9兆円。80兆円あれば、100年近く補助できます」というメールが届きました。
確かに巨額のお金を研究開発や内需拡大策に使えば、日本経済は強くなります。米国からは真に必要な物を購入して、貿易赤字減に貢献する事もできます。
元々「投資重視の交渉」が石破内閣の方針でしたから、政府としては目的達成の合意だと思います。
ただ、投資対象分野については経済安全保障上の不安を覚えました。
対米投資対象は、半導体、医薬品、鉄鋼、造船、重要鉱物、航空、エネルギー、自動車、AI・量子の9分野です。
半導体、医薬品、船舶部品、航空機部品など、日本の特定重要物資に関係する分野も含まれます。
対米投資によって米国内に強靭なサプライチェーンを構築するにしても、シーレーンが使用できないなど緊急時に備えて、必ず日本国内でも生産能力を強くしていかなくてはならない分野だと考えます。