教員の不足を解消するのため教職の単位減は効果ある?部活負担減で神戸市は志願者増 #エキスパートトピ
教員の志願者の不足が深刻化し、文部科学省によりますと、2023年度の公立校の採用試験の倍率は小学校、中学校、高校ともに過去最低となっています。そこで文科省は大学で教員免許の取得のために必要な教職課程の単位数を削減することの検討を始めました。つまり、教員免許取得に必要な学習の量を減らせば教員志望者が増えるというわけです。しかし、これには「教員の質が確保できなくなる」という批判も起き、「そもそも教員不足は教員免許取得のハードルを下げても解消されない」という指摘も出ています。
ココがポイント
教員のなり手不足解消につなげようと文部科学省は大学の教員免許を取得するために必要な教職課程の単位数を減らす方向で検討
出典:NHK NEWS おはよう日本 - NHK 2025/6/12(木)
見直しは必須だとしても、最低限学ぶべき科目まで削れば、教員養成の質は担保できなくなる
出典:東京新聞デジタル 2025/6/5(木)
教員の負担を軽減し、本来業務に注力します。
出典:神戸市 2025/7/9(水)
エキスパートの補足・見解
かつては人気職種だった学校教員の志願者減少が問題になって久しいです。2024年の公立学校の教員の採用倍率は3.2倍で、3年連続で過去最低を更新しました。小学校、中学校や高等学校の採用試験を合計した受験者数は11万5619人、前年から5000人ほど減少しました。採用人数は増加傾向ですが、受験者数は10年前と比べて3分の2に減っています。この教員志願者減少を解消すべく、文部科学省は大学の教職課程の負担軽減のため、必須の単位を減らすことを検討、「憲法」など必修科目をなくすことも想定しています。必要な単位数を減らせば、教員養成系以外の学部の学生が教員を目指しやすくなるためです。これに対して必須の単位を減らすことは学習量が減るわけで、教師の質の低下に繋がりかねないという意見も出ています。また、そもそも「教員になりやすくしても教員志願者が増えるか」という疑問もあります。なぜなら、教員志願者が減ったのは長時間重労働であり、ワークライフバランスがとれないからです。実際、神戸市が教員の負担を減らすべく、部活の指導運営を地域に移行したところ、2026年度の神戸市教員採用試験では志願者が前年度より122人増加しました。