美に対する燃え上がる嫉妬心 「金閣寺」(1976年)

 公開当時のキャッチコピーは「有為子よ死ね! 金閣よ燃えろ!」という過激なもの。

 現在の金閣寺は55年に再建されたが、放火で焼け残った唯一のものがある。それは屋根の鳳凰。創建当時の室町時代のものだ。明治時代の解体修理の際、尾が破損したため取り外していたのだ。何が幸いするか分からない。ただし現在の鳳凰は87年製の2代目。

 全体が金箔(きんぱく)かというと実はそうではない。金箔は三層構造の2、3階だけで1階は木製のまま。再建時には10センチ角の金箔が10万枚、さらに修復に20万枚使われたという。

 三島の残したノートには「美への嫉妬/絶対的なものへの嫉妬」と記されていた。これは放火した犯人が「美に対する嫉妬と自分の環境が悪いのに金閣という美しいところに来る有閑的な人に対する反感からやった」という供述と共通する。

 裁判では懲役7年の判決を受けたが55年に恩赦で釈放された。だが金閣寺が再建され落慶法要が行われたわずか20日後に結核で亡くなったのも何か因縁めいている。(望月苑巳)

 ■金閣寺(1976年) 高林陽一監督、配給ATG。出演は篠田三郎、柴俊夫、横光勝彦(現克彦)、島村佳江ら。76年度のキネマ旬報ベストテンでは第19位。

 69年の東大全共闘ととの伝説の討論会を収めたドキュメンタリー映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』が公開中。

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