「ご心配をおかけし、おわび申し上げる」。日産自動車が6月に本社で開催した株主総会は、イバン・エスピノーサ社長の陳謝から始まった。1071人が参加した株主総会では、会社側が提案した取締役選任など2議案が可決された。一方、取締役報酬の見直しや、上場している子会社「日産車体」の完全子会社化を求める株主提案など、5議案は否決に終わった。
「“彼ら”からの説明がないのは驚き」
3時間あまりに及んだ株主総会の会場は一時、怒号が飛び交った。記者は同日、「提案が通らないのは当初から分かっていた。ただ、こんなにも“彼ら”から説明がされないとは驚きだった」と憤る50代男性の声を聞いた。この株主が怒りの矛先を向ける「彼ら」とは、同社の社外取締役だ。
日産は2019年、執行と監督を分離する指名委員会等設置会社へと移行した。カルロス・ゴーン元社長が逮捕された反省から、特定の役員に権限が集中するのを防ぐためだ。業務の執行と監督を切り離し、外部の目を入れて経営陣のチェック機能を強化する狙いがあった。
取締役会には指名、報酬、監査の3委員会が設けられ、委員の過半数を社外取が占める。報酬委員会で委員長を務める井原慶子氏は18年から、取締役会議長の木村康氏、監査委員会委員長の永井素夫氏など4人は19年から現職となる。
日産の取締役会は12人で構成され、先の株主総会までは8人が独立した社外取だった。そして6月24日、社外取8人全員の留任が決まった。一方、業績不振の責任を問う形で内田誠前社長や坂本秀行前副社長など4人は退任。「なぜ社外取だけ責任を免れているのか」。株主の不満は噴出した。
株主総会で社外取の責任追及
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