オウガバトルシリーズ第2作、SFC『タクティクス オウガ』が株式会社クエストから発売されたのは1995年10月。
発売前から注目作であり、開発に長期間を要しながらも、発売後すぐさま大評判となった。
それから約30年。
発売時、既にスーパーファミコンの時代は終わりに近づいていたが、次世代機にも移植は進み、96年にはリバーヒルソフトからセガサターン版が発売。97年にはアートディンクよりプレイステーション版が発売。
いっぽう、シリーズ生みの親と言うべきディレクターの松野泰己は、SFC版の発売前にクエストを退社し、スクウェアに入社、『ファイナルファンタジータクティクス』を手掛ける。
松野の去ったクエストもシリーズを継続、99年には『オウガバトル64』、2001年には『タクティクスオウガ外伝』が任天堂から発売された。SNKからも2000年に『伝説のオウガバトル外伝』が発売。
その後タクティクスオウガを含むクエストの持っていた諸権利はスクウェアに買われ、松野の扱える範囲になり、スタッフもスクウェアに移籍、スクウェアはスクウェアエニックスとなり、しかし松野はその後でスクエニを去るも、さらに後で外部スタッフとしてタクティクスオウガの2度のリメイク『運命の輪』『リボーン』に参加するという混沌とした経緯をたどった。
という30年だったが、今回関係あるのはせいぜい99年くらいまで。タクティクスオウガの攻略本とその周囲の話だ。
『タクティクスオウガ公式ガイドブック』。
タクティクスオウガの攻略本は多数あるが、その中でファミ通の「公式ガイドブック」が以下の3冊ある。
- JK・VOICE編・著 「タクティクス オウガ 公式ガイドブック」(アスペクト 95年10月)
- ファミ通編集部責任編集 「タクティクス オウガ 公式ガイドブック・完結編」(アスペクト 96年1月)
- JK・VOICE編・著 ファミ通責任編集「サターン版 タクティクス オウガ 公式ガイドブック」(アスペクト 97年3月)
1冊目と3冊目の著者のJK・VOICEだが、「ファイナルファンタジータクティクス大全」、いわゆる「黒本」と同じ編プロであり、順番的にはこちらが元祖、おそらく本書の実績から黒本も任されたのだろう。
ただし2冊目「完結編」はJK・VOICEが外れている。
1冊目はSFC版のCルート中心の攻略で、一部のネタバレ未掲載。
2冊目「完結編」がLNルートと4章のサブシナリオ、ラスダン、死者の宮殿など。
それを1冊にまとめて改訂したサターン版「公式ガイドブック」が最終バージョンとなっている。
この3冊は「公式」を名乗るだけあり、クエストから提供されたデータ、資料を多数掲載したものとなっている。
しかし間違いがないわけではない。いや、結構ある。
ネット上であまり語られてこなかったが、この3冊は黒本に負けず変な記述が多い。
その考察を、今回は改めて行うことにする。
なお、本記事は2020年に『サターン版 タクティクスオウガ公式ガイドブック』のみに基づいて書かかれた記事でしたが、2025年にSFC版ガイドブックの内容を基準に、大幅に修正、加筆、再構成を行いました。
サターン版の内容は大半はSFC版と同じだが、一部加筆がされている箇所もある。サターン版で訂正された箇所もあれば、サターン版にのみ書かれている深刻な問題もあり、今回はそうした箇所の比較も行いながら見ていく。
あらかじめ断っておくが、隠しエンディングの記述について致命的な問題を指摘するため、その条件となるゲームシステムの詳細と、隠しエンディングの具体的な内容についてもネタバレを書いているのでご了承願いたい。
また内容はSFC版に基づくが、リメイク版(運命の輪、リボーン)についても一部言及する箇所がある。まだリメイクやってない人は気をつけてもらいたい。
- 忠誠度についての記述
- カオスフレーム関係
- 隠しエンディング関係
- 無意味な匂わせ
- 育成・パラメータ関連
- シナリオ解釈
- 誤字類
- 1冊目「タクティクス オウガ 公式ガイドブック」
- 2冊目『タクティクス オウガ 公式ガイドブック・完結編』
- 3冊目『サターン版 タクティクスオウガ 公式ガイドブック』
- そして…
- クエストの責を問う
- ギルバルド発見までの道
- 黒本との明暗
- 誰が書いたのか
- 移植版について
- 参考サイト
- 加筆した経緯など
- おまけ
忠誠度についての記述
まずは比較的わかりにくいゲームシステムである忠誠度について。
忠誠度の変動には、隠しパラメータである各民族からの評価(通称:カオスフレーム)が大きく影響する。
だがカオスフレームについて、公式ガイドブックは正しく認識していない。よって忠誠度についても、3冊通して不正確な記述しかない。
まずは1冊目p22から。
ストーリー中の選択肢で忠誠度が変化することが書いてある。これ自体はその通りだが、選択がどのように影響するかは明確に書かれていない。
1冊目p36
フィダック城の選択で、どちらを選んでもシナリオに大きな変化はないが、忠誠度が変化することが書いてある。ただし具体的な変動は書かず、「首尾一貫して同じ傾向で選択するのがいいか、TPOで主張を変えるのがいいか、はここでは言及しない。」とある。
ここはサターン版p35では、「思想に一貫性がない指導者に対して忠誠度が下がる、という傾向がある」と書き直されている。
これが妙な記述だ。
1冊目p188(サターン版p322)には 「忠誠度はどんな時に下がるのか? これには様々な要素があるが、一番大きいのは主人公の選択が首尾一貫しない時。」「最初はAと答えたのに、のちほどBになる。」「部下にしてみればリーダーを信じられなくなる最悪の状況を作り出すだろう」「常に首尾一貫した選択をし続ければ、最初は低かった忠誠度もやがて上がっていくだろう。」
と、何やら複雑な判定を行っているかのように書いているが、このような設定はない。実際は選択肢ごとに「Lの仲間が上がりCが下がる」といった単純な変動が設定されているだけである。
「これら選択が忠誠度を決める全てではない。」と、曖昧なことも書いている。実際はメンバーの忠誠度がだんだん上がっていくのは選択肢よりも主に戦闘時の変動によるのだが(戦闘に参加していても直接攻撃をしないクレリックはほとんど上下しない)、この公式ガイドブックにはそれが正確に書いていない。
完結編の用語集p197(サターン版p328)には「戦闘時にそのユニットと同じ種族を攻撃させると(たとえばガルガスタンでガルガスタンを攻撃)、若干だが攻撃側ユニットの忠誠度が低くなることも。」ともある。
これは不十分な説明だが、間違いではない。
サターン版で追加された記述もあり、p153には「忠誠度を、地道ながらも確実に上げる方法がある。戦闘でとどめを刺させるのだ。とどめを刺した敵ユニットの人種などにもよるが、忠誠度は確実に上がっていると考えていい」とあり、
サターン版p322では「同人種に対してとどめを刺すと、忠誠度が落ちる。」ともある。
民族が関わることは何となく書いているようだが、細かいところが正確に書かれていない。あと間違えてる人多いけど「人種」ではなく「民族」ですね。
忠誠度については、下記サイトが正確な知識だと思う。
忠誠度・離反
忠誠度は敵を倒さず殴るだけでも変動する。同民族で殴ると下がるが、それとは別に、敵民族のカオスフレームによっても変わる。カオスフレームが低ければ同民族でも上昇に転じる。
ゲームを続けると殺害数が増えるのとイベントによる変動で、だいたい全民族のカオスフレームが低下していくため、アタックチームの忠誠度は自然に上がりやすくなっていくというわけである。またレベルアップでも上がる。
すなわち「とどめを刺すと確実に上がる」というのは不十分な説明なのだが、雑な理解としては間違いでもない。この仕組みにサターン版の時点で気づいたようだが、正確な答えにはたどり着いていない。
もちろん「首尾一貫した選択」は見当違いである。
しかし、忠誠度の上昇に大きく関わるカオスフレームは隠しパラメータ。本書にその仕組みが一切書かれていないのは、メーカー側から正しい情報が提供されていなかったのだと思われる。
カオスフレーム関係
前作『伝説のオウガバトル』にあった「カオスフレーム」という言葉は、SFC版タクティクスオウガには出てこないが、ほぼ同じ概念として民族別の評価が隠しパラメータとして存在している。
ゲーム内でも隠しコマンドで表示できるが、ここでは単に「評価」と書いてある。カオスフレームという呼び方は攻略サイトなどが使い始めたものであり、当時クエスト内で使われていたかは不明。
ただし松野奏己氏もカオスフレームという呼び方を使用しており、リメイク版ではゲーム内でもカオスフレームと表記されているので、通用していたものと考えておく。
1冊目p160
ショップで雇った人間の忠誠度の初期値について「総じてガルガスタン人は忠誠度が低い。ウォルスタ人は、主人公のスタンスによって高くも低くもなる。バクラム人は、後半は高くなる」
同じ記述がサターン版p287だと「ウォルスタ人の忠誠度は、デニムのスタンスによって高くも低くもなる。基本的に第2~3章途中までのカオスルートは低く、ロウルートでは高めになる。」と、Lルートの傾向を加筆しているが、内容は不十分なまま。
実際は忠誠度の初期値にはカオスフレームが反映されている。変化するのはシナリオの進行というよりカオスフレームの変動によるものであり、完全にプレイスタイルで変わるとしか言いようがない。このようになるプレイヤーもいるだろうという程度の情報でしかない。
もちろんカオスフレームの変動はシナリオの進行時にも起きるが、Lルートに入るとウォルスタ人はむしろ下がるはず。そうならなかったのは、使ってるメンバーがウォルスタ人に偏っていたのだろう。
とはいえ、ある程度の検証はしたことが伺える記述だ。
すなわち本書のライターはカオスフレームの存在は知らず、ただこの初期忠誠度の変動には気づいたか、ヒントを伝えられるかなどして、調査はした。これをカオスフレームと結びつけることはできなかったか。
また完結編p194(サターン版p325)用語事典「競売」の項目
「売られていくLユニットの声を聞くと、はいを選ぶのに気が引ける。カオスフレームは存在しないけど。」
これは…「(Lユニットには)カオスフレームは存在しない」と言いたいわけではないと思う。カオスフレームの実在自体知らない人が何も知らずに書いた、という風に読んでいいだろう。
このカオスフレームは、隠しエンディングの重要な条件でもある。
その存在を正しく認識していたか疑わしいライターが、そこをどう説明しているか。
あるいは、サターン版執筆時に情報が解禁されなかったのか?
隠しエンディング関係
本作にギルバルドが出演していることは記載されているが、詳しい条件は書いてない。
ギルバルドの情報が出てくるのは完結編の用語事典p194「ギルバルト・オブライエン」。
ギルバル「ト」と誤字っているが、登場場所について「ヒントは、カチュアが……な状態でフィニッシュする。」あまりヒントにはなっていない。
SFC版にはこれしか掲載されていない。フィニッシュと言われても、エンディングであるということさえ明確でなかった。
同じ用語事典のサターン版p325「ギルバルト・オブライエン」では記述が変更されており「ヒントは、カチュアがいない状態でゲームをクリアする」と、明確な情報が書いてあり、これは正しい。誤字は直ってないが。
ただし意味のあるヒントとなっているのは、公式ガイドブック3冊を通してこれだけだ。カオスフレームが条件であることは、どこにも書かれていない。ヒントの欠片さえない。
問題はサターン版のp224「解答のない「タクティクスオウガ」クイズ」というコーナー。
「これから出題するクイズには、このページのタイトルからもわかるとおり、本書のどこを探しても回答はありません。」という挑戦的な趣旨の記事がサターン版で追加されている。
そのカオスルートの問題
Q6. ある条件でカノープスに会いに来る親友の名は?
…ギルバルドエンディングを見たことがある人ならおかしいことに気づくだろう。「親友」がカノープスに会いに来る場面などというものは「タクティクスオウガ」に存在しない。
ギルバルドエンディングにはギルバルドは登場するが、前作で示唆されていたカノープスとの再会シーンはないのだ。正解の存在しない問題を出すんじゃない。
もちろん「親友」がデネブということもない。「カノープスの死に際に彼の名が出てくることも」とご丁寧にヒントが書いてあるのでギルバルドしか該当するキャラクターはいない。
でも実際にギルバルドとカノープスの再会はない。どうしろというんだ。
なによりギルバルドエンディングはカオスルート限定ではない。この本を信じてカオスルートでやり直すプレイヤーもいたかもしれないぞ…
本ページの記述より、本書のライターはギルバルドの登場がカオスルートの話題だと思っている。そしてギルバルドがカノープスに会いに来るシーンが存在すると信じている。
すなわちギルバルドエンディングの正確な条件を把握しておらず、実際に見てもいない。内容すら知らない。
それでいて、あたかも自分が体験してきたような表現で書いている。非常に悪質な記述だ。
カオスフレームの存在を正しく認識していないと思われる本書の編者は、ギルバルドエンディングの条件も知りえなかったのだろう。だが、知らないことを書く必要はない。
実は教えられていた?
完結編p11に、「ちなみに今作では、隠れパラメータでもカオスフレームは存在しない」と書いてある箇所がある。
実際は同じものがまさに隠れパラメータであるのだが、気づいてなかったことがわかる。
ただし、同じ文章が書かれているサターン版p15では、この1文だけ削除されている。
もしかして「カオスフレームはある」という情報だけはどこかで知ったのか?
それがギルバルドにつながることまでは気づかなかったか、教えてもらえなかったか。
サターン版の筆者はカオスフレームの存在だけは知っていた可能性があるが、詳細までは知らない。ギルバルドを出すのに具体的にどうすればいいか、カオスフレームの上げ方、効果なども気づかなかった、と考えられる。
そこに生じる疑問を突き詰めることなく、思い込みの記述だけで流してしまったと。
またはこの一文だけは削除できたが、内部に反映してる時間はなかったか。
誤情報の解禁
SFC版ガイドでは各キャラクターのイラストと設定が初登場ページに掲載されているのだが、サターン版ガイドでは巻頭に切り離せるカードとしてまとめて掲載している(ロンウェーレオナールバルバトスザエボスが1枚のカードで説明が超短縮されていたり、ヒゲ以外に何の接点もないザパンとガンプを1枚のカードにしていたり、このカード自体にもかなりの問題を感じる)。
ここにはSFC版では掲載していなかった人物も追加されている。ロデリック、クレア、トリスタン、そしてギルバルドだ。
ギルバルド・オブライエン
「ローディスの奴隷となったボルマウカ人の反乱に力を貸す。」
「戦いの最中、病に倒れ、ゼノビアに帰還する途上、ヴァレリアに訪れる。」
『タクティクスオウガ』のゲーム中に一切存在しない情報が書いてある。
この「ボルマウカ人の反乱」という話題は、この2年後に発売されるエピソード6『オウガバトル64』の内容と部分的に一致する。既に構想が存在しており、こうして情報解禁されたものと考えられる。
なお、同じ情報はZESTのPS版の公式ガイドブックにも掲載されているようだ(今回未確認)。
ボルマウカ人の反乱がエピソード6の内容であることは、退社した松野泰己氏も96年ごろに非公式なインタビューで話していたと伝えられる。おそらく構想していたプロットの一部は退社前にクエスト内にも共有されており、こうして断片的に公開されたり、部分的にオウガバトル64に受け継がれたのだろう。
しかし、構想そのまま採用はされなかった。
ローディスに抵抗するボルマウカ人は登場したが、ギルバルドが病に倒れる場面などなかった。
松野泰己の構想したエピソード6については断片しか伝わっておらず、本書で書かれたギルバルドの顛末が松野案に基づくのかは不明。しかし退社前に書かれたものだという気はする。
いずれにしろ本書で明かされているのは、構想にすぎないものだ。この件については、ゲーム内に実装されていない描写を、公式と題する文献で明記してよかったのか疑問が残る。クエスト側も情報の解禁・制御を上手くやっていなかったと言える。
しかも本を書いてるのは、実際のギルバルドを見ていない人だ…
この情報をおそらくクエストから伝えられた本書のライターは、ギルバルドがヴァレリア島を訪れるイベントシーンがあると思い込んでしまったのだろう。それで親友に会いに来るなんて書いてしまったと。
元はといえば、前作でギルバルドの再登場を匂わせていたこと自体が、こうした誤解につながる原因だ。これは松野泰己がいた頃から既に始まっていたのだ。
そうであれば、ライターも一方的に責められるべきではない、とも言えるが。
そうだとして、条件も把握せずゲームに収録されている内容を確認することなく、存在しないシーンを想像で書いてしまっていい理由もない。
以上が重大と思われる隠しエンド関連の不正確な記述だが、他にもまだまだ間違いや、妙な記述がある。以下に指摘を続ける。
無意味な匂わせ
公式ガイドブック完結編では、メーカーの意向による情報規制があることを明記しており、いくつか掲載していない情報がある。
そうした情報は正確に書かず、断片や匂わせで書いてるものもある(パワーアップデネブの条件など、サターン版で情報解禁され掲載されているものもある)。
だが、ギルバルドもそうなのだが、匂わせてるつもりで妙なことになってるものが数箇所…
コルヌリコルヌの謎
実害が出てる有名な記述。
完結編p143 死者の宮殿の敵編成表。
「※コルヌリコルヌ入手後はハボリムに装備をさせると……!?」
完結編p195 用語集の「コルヌリコルヌ」(サターン版p326)
「ハボリムに装備させたい一品。」
で、効果は何なんだ?
このたった二つの説明には、多くのプレイヤーが惑わされてきた。
p143の記述はサターン版p253で「※コルヌリコルヌはMPの回復具合に影響を与える」と書き直されている。そんな効果はない。
おそらくはMP回復効果を持つ別の装備と勘違いし、ペトロクラウダーとしてのハボリムのブーストアイテム、と誤認していたのではないかと思うが…
それも憶測だ。本当のところ何を意図して書かれたものだったのか、今もって明らかになっていない。
性能で言うなら、コルヌリコルヌは両手用だしクソ重いし物理属性だし、ハボリムに装備させる価値は皆無。
MP回復量が倍増する装備としては黒の魔道衣、白の魔道衣があるが、公式ガイドブックはそれを知らなかったのか、その特殊効果は一切書かれていない。
エンジェルナイトの実力?
完結編p105 エンジェルナイトについて「理由は明かせないが死者の宮殿にて実力を発揮するクラスだ。」
何がだろう…飛行能力やスターティアラが使える利点はあるけど、それは隠してないし、言えないような強みが何かあったっけ?
この記述はサターン版ガイドでは削除されている。たぶん、何もなかったのだと思うが。
これも何かの勘違いだと仮定するなら…ライターが未解禁のネタバレと誤解するような特殊能力…たとえば装備の影響でMPの回復量が倍になったとか…使ってたらHPが自然回復してたとか…
そういえば装備によるHP回復効果も本書には書いてない。
ラスボスの弱点?
完結編p126
「最大のポイントはラストボスに通用する攻撃は何か? これに尽きる。ストーリー展開からすればアレ……か?」
どれだよ。
ラスボス前に手に入る強い剣が、ラスボス本人に全然効かないのは有名な話だ。「アレ」とは、このいかにも効きそうな剣が効かないことを言いたいのだろうか?
それとも、やはり何か勘違いしてるのだろうか。
まったくわからない。ラスボスの性能、具体的な攻略は書かれていない。
ラスボスは神聖属性に対して絶大な防御力を誇る。聖剣が効かないのはそのためだが、特別な耐性が設定されているわけでもなく、純粋に堅いだけである。他の全属性にも高い耐性を持ち、明確な弱点も設定されていない。
本書の影響か不明だが、弱点探しもされたようで、ラスボスにオウガブレードが効くと書いているものがちらほらあるのだが、そんな不自然な設定はされていない。僕の知る限りでは…
ひとつあるのが、ラスボスが強力な恐怖効果を持っていることで(本人と装備品で4つぶんの効果なんだと)、アラインメントLのユニットはかなりの弱体化を受けるが、Cならば恐怖効果を全く受けない。よってラスボスに近接攻撃で挑むと、ユニットによってかなりのダメージ格差を生じる、と考えられる。
ただし、このテラー効果のアラインメント格差はゲーム中では説明されておらず、公式ガイドブックでは認識している記述がない。
これを弱点がある感じに誤認したのかも…
仮定を重ねてもわかるわけがない。
効きそうなアレは効かないよ、ラスボスに弱点なんてないよ、ってことを言いたかっただけだったのかもしれないし。
この記述もサターン版ガイドでは削除されており、明確な弱点がないことに気づいたのかもしれないが、それも何もわからない……
答えのない匂わせなど邪魔でしかない。
育成・パラメータ関連
公式ガイドブック全体を通して、パラメータの意味や成長システムを、正しく理解していない。
1冊目p160「 LV、UP時の上昇値……レベルアップの際、どのパラメータが最高でいくつ上がるかを示す。」と書いてあるが、間違い。本書には各クラスの正確なパラメータ上昇値が掲載されているが、掲載してるのは最低値のほうだ。
完結編p174、サターン版p286でも間違えたまま、「LV.UP時の上限値」と、項目名も誤ったものに修正している。
実際は本書の数値にランダムで0~2加えて上昇する。STR上昇値が6のナイトの場合は、6~8のランダムという意味だ。
一般の敵ユニットの遭遇時のパラメータなどはランダム要素がない。これらは全レベル平均値、つまりナイトならSTR7で成長したものとして算出される(これは根気があれば人力でも検証できる)
こうした仕組みは、公式ガイドブックのどこにも書かれていない。本書はメーカーから提供された成長値をそのまま載せているだけと思われ、実際の訓練結果や、敵のパラメータを比較するなどの検証をしていない。
また完結編p174(サターン版p286)
敵専用クラスの成長値は掲載していないのだが、「味方になった場合のパラメータ、たとえばLV.UP時の上限値などというパラメータはない。」と変なことを書いてる。
いや、「LV.UP時の上限値」という表現自体がおかしいのだが。
敵専用クラスも成長値に基づいて出現時のパラメータが決定されており、遭遇レベルによってパラメータも上がる。そこに通常クラスと違いはない。戦闘中に敵がレベルアップすることも稀にあるし。
1冊目p93(サターン版p98)にも誤った記述。
ミルディンとギルダスの加入時のレベル22のパラメータについて「ランダム数値が入るのでこの通りの数値にならないこともある。」と書いてるが、加入時のパラメータは固定だ。別ルートのミルディン・ギルダスをレベル22に上げた場合と比較すると、ランダムによる差が出てくるので、これを勘違いしたのかな。
本書は成長システムも、加入時のパラメータの決定方法も正しく知らないのだ。
また1冊目p160では、人間ユニットの各パラメータの上がりやすいクラスを、1冊目の掲載クラスの範囲で書いている。男のAGI1位をソードマスターの7としているが正しくはニンジャの7。これは完結編p16でもサターン版p287でも同じ表が出てきており、直ってない。
またサターン版p287ではこの表に微修正が入り、男のMP1位に転生職のリッチ(男)を入れてる。だが男のINT1位のリッチ(男)、女のMP1位のリッチ(女)や女のHP・STR1位のエンジェルナイトの数値は入れてない。加筆内容が一貫しておらず、いい加減だ。加筆せずリッチ(男)を除外するのが適切。
本書は完璧なクラス成長値のデータを持っていたのに、その意味を自分でちゃんとわかっておらず、数字を正しく読み取るだけの注意力も不足していた。
AGIの意味がわかってない
各パラメータの意味も、理解していたのかどうか。
1冊目p14~15。(サターン版p18~19)
レベルアップによるWT減少について、「減少するポイントにはある程度のランダム性はあるものの、クラスによって基本値が設定されている。」「たとえばニンジャなら1度のレベルアップで8前後減るところを、ウィザードは4前後しか減っていかない。これはステータスのAGI(素早さ)に関係しており、傾向は先ほど説明したクラスの基本WTと対応していると見ていい」と書いて、クラスチェンジ時の基本WTの少ない職は下がりやすい傾向があると書いている。
まわりくどい書き方だし、正確ではない。
WTは「AGIに関係しており」、ではなくAGIがそのままWTの減少値だ。
これはチュートリアルで説明あるんだけどな…
厳密には合計じゃなくて減算だけど。
ニンジャのWTが「8前後」で変動するのは、ニンジャのAGI成長値が7~9のランダムだからだ。本書はニンジャのAGI成長値も7が最大だと思って書かれてるわけで、一部の職のWTだけを大雑把に調査して、成長値との比較・観察をしてないのでは…
ウィザードは4~6なので正しくは「5前後」。丁寧に検証していないこともわかる。
実際に本書はWTの速いニンジャの評価を高めにしている記述は少しあるが、全体を通してAGIを重視しているわけでもない。ペトロクラウドの命中率以外でAGI自体の重要性を書いている箇所は少ない。
またクラスごとの基本WTはAGIの成長値とある程度傾向が似るが、これも直接関係ない。例としてソードマスターの基本値はソルジャーより遅いが、AGI成長はソルジャーより上。
初期値は提供された?
パラメータについて、気づいたことがもうひとつ。
完結編p175。エンジェルナイトについて、「レベルアップのたびにSTRが減るのは、それでも悲しい。」と、意味不明の間違いがある。
言うまでもないがエンジェルナイトのSTRは普通に上昇し、本書にも正しい成長値7が掲載されている。なんだこれは?
(この記述はサターン版ではさすがに修正されているが、代わりに変な記述に置き変わっているので、あとで別に書く)
この謎の記述については、今回調べた中で閃いたことがある。
タクティクスオウガの全てのユニットには、レベル1のパラメータが設定されている。これを解析系の攻略サイトでは「初期値」とか呼んでいるが、開発側でどう呼んでいたかは不明。敵の一般兵など、多くのユニットがこの初期値から登場時のレベルぶん成長したパラメータで登場する。
そのレベル1のエンジェルナイトのパラメータだが、内部的にはレベル1のSTRが「-1」に設定されている(成長値を知っていれば、敵エンジェルナイトのパラメータから人力でも逆算できる)。
一般ユニットでSTR初期値がマイナスになっているのはエンジェルナイトのみのようだ。
参考:全クラスデータ一覧(ステータス・成長率)
ドラグーンやエンジェルナイトなど、初登場が高レベルでSTRの成長値が高いクラスは、内部データでは初期値を低くして登場時のバランスを取っている。
もちろん敵エンジェルナイトがレベル1で登場することはないので、この初期値をゲーム中で見ることはない。
各クラスの初期値は公式ガイドブックには掲載されていないが、クラスチェンジして育成する味方ユニットには初期値は無意味だ。味方側では途中加入のキャラクターの初期値の計算にのみ使われる。実用上は大きな意味のないパラメータであり、掲載しないのは妥当と言える。
だがそのデータ自体は、クエストから提供されてしまったのではないだろうか。「STRが減る」という異常な間違い、他に説明がつかない。
しかし本書のライターは成長システムを正しく理解できていない。それでデータだけ見て、エンジェルナイトの異常な初期値を成長値と見間違えて、こんなことを書いてしまったのでは。
クエストもデータを提供しただけで、数値の読み方までは教えてないのだと考えられる。各クラスの成長値と初期値は噛み合っていないものが多く、意味がわからないまま初期値を見ても、誤解のもとにしかならなかっただろう。「初期値」という表現もクエスト側では使ってないかもしれない。
成長値を正しく読み取れていない本書では、初期値から高レベルのパラメータを想像するということもできなかったはずだ。もしかしたら各クラスの評価も、初期値を見てしまってズレているのでは…
そういえばドラグーンやテラーナイトは高く評価してるけど、「鈍足で火力が高い」「鈍足で防御に優れる」のような成長値だけでわかる明確な特徴が書かれてない。不必要な初期値も考慮してしまってる可能性がある。
固有の顔があるキャラクターは初期値が高いが、それも一般兵より1レベルぶん程度高い程度にすぎない。そこの比較にこそ初期値の差を見るとわかりやすいのだが。
本書は各キャラの加入時のパラメータはそれなりに掲載しているのだが(掲載漏れしてるキャラも多い)、同レベルの一般兵との比較は行っていない。
クラス評価の乱れ
本書では各クラスの特徴を「一般的評価」としてゲーム中のヘルプの文をもとに書いたものと、「編者の主観的感想」を「本音」として書いてる。
本書は全体を通して万能職を嫌っており、スペシャリストとしての育成を推奨している。だからソルジャーなどは「パラメータが平均的に上昇するほど使えないものはない。」と低評価。
そこは妥当な評価かもしれないけど。
1冊目p161~165、完結編p175、サターン版p288~293に各ユニットの評価、本音が掲載されているが、内容に異論がありそうな部分を以下に挙げる。
ナイト
盾役としてバーサーカーに劣る評価をしているが、ナイトはDEXで優位であることを書くべきではないだろうか。ナイトが防御に長けるとはゲーム側でも言っておらず、もとより盾役というより攻撃に重きを置いたクラスだと考えられる。
確かにAGI低いわりに強度も低めで、バーサーカーとのDEX1の差も大差ではなく、評価の厳しい職ではあるよ。
ドラグーン
ドラゴン以外には戦闘力は並という記述に対し、バーサーカーやビーストテイマーから作ればドラゴン以外にも「すごい攻撃力」になるとしているが、これはゲーム内ヘルプでも読める「凡人並」という表現に惑わされている。
ドラグーンはドラゴン以外に対しても大火力職であり、バーサーカーやビーストテイマーからの転職は確かに有効だが、前職は前衛なら何でも強い。
そのうえで、「すごい攻撃力」だけ見るならナイト経由のほうが強い。魔法の性能もナイト経由のほうがややマシと言える。
ドラグーンについては、完結編の用語事典p196 ジュヌーンの項目(サターン版p327)でも「ドラゴン相手以外では力は今ひとつ、と広報資料にあるドラグーンもジュヌーンに関してはそれはない。」と称えているが、フォルカスをドラグーンにした場合などと比べて、ジュヌーンが例外的に強いわけではない。一般のナイト経由ドラグーンより少し強いくらい。
…ところで「広報資料」って何だろう?
ゲーム内のヘルプでも凡人並という説明は読めるのに気づいてない…?
ビーストテイマー
防御力も高いと書いておきながら、「しかし結局は獣系を使わないと、その能力は宝の持ち腐れになってしまう。」そりゃないぜ。
特殊能力抜きでも普通にバーサーカーより固いビーストテイマー。その強さに困惑するくらいだ。
ガンナー
「レンドルだけでいい。」としているが、レンドルはただの一般兵で、パラメータは汎用ニンジャの劣化版。平均成長のニンジャと比べて数ポイントの程度の差ではあるが。
これは1冊目p129でも「レンドル以外がガンナーになるには」「絶対条件として、銃が2丁以上あること。」と一人はレンドルであることが前提の書き方をしてる。サターン版p183でも「銃を2丁以上持っていないなら、レンドル以外のユニットをガンナーにしても無駄になるだけである。」と、表現を変更しつつも認識はそのまま。
だが銃が1丁しかなくても、まともに使う気があるならナイトやドラグーンで火力を上げるなど、使用スタイルを考えて育てるべきだろう。
適当に銃で遊ぶだけならレンドルでいいです。
ヴァルキリー
中途半端なユニットを嫌う本書では、ヴァルキリーについては「攻撃力はアーチャー以下、魔法力はセイレーン以下」として低評価だが、さすがに攻撃力ならSTRの高いヴァルキリーの方が強い。何を見て判断したのだ?
完結編の用語事典p193(サターン版p324)にも「アーチャーよりも攻撃力が低い」と繰り返し書いているが、威力だけなら弓でもヴァルキリーのほうが上になる。アーチャーの弓には得意武器補正があるため、その差は小さいが…
弓で戦わせるならAGIとDEXの高いアーチャーのほうが向いてる、という言い方なら正しいだろう。
もちろん、近接武器で比較するならヴァルキリーのほうが大きく勝る。火力を求めてヴァルキリー育成のアーチャーにするという手もないわけではない。
ドラゴンテイマー
こちらは「アーチャーから転向させるなら、ヴァルキリーよりこちら。」とヴァルキリーにドラゴン強化のついた上位互換みたいに書いてるが、VIT成長が異常に低いことに言及していない。
リッチ
完結編p175では「STR、VITなど、肉弾系のステータスがほとんど上がらないため、できる限り極めたウィザードでないなら、魔法が使える肉弾系で鍛えたユニットを転生させたい。」
何を言ってるんだ?魔法が使える肉弾系とは、一体……
リッチはRESに秀でるので、STRとVITの高い前衛系から作ればすごい防御力になるという小ネタがある。
そこまで説明してるならともかく、通常はリッチのSTRとかどうでもいいし。逆にVIT重視するなら魔法を使えるクラスを選ぶ必要もなく(ヴァルキリーから作るのはありえなくはないが)、なんなら魔力を捨ててバーサーカーやビーストテイマーで鍛えても構わないが…
本当はどういうユニットを想定して書いたんだろう…
サターン版p290では記述を改め、普通に魔法系から作ることを推奨している。
リッチ自体が強いのかどうか微妙なところもあり、どちらの記述も一方的におかしいわけではないのだが。
ゴブリン
「リザードマンを使うくらいなら、彼らを盾に利用する方がいいだろう。」としているが、移動力はあるが耐久力は優れてない。
ホークマンよりは堅いが、リザードマンよりは劣る。これはゴブリンが耐久力に優れるというゲーム内の説明のほうがおかしいのである。ドラグーンの逆パターン。
また完結編p192以降(サターン版p323以降)の用語事典にも、いくつかのクラスについて微妙なことを書いてある。
ウィザード
「一度はウォーロックにして修行させることを勧める。最大MPとMENの上昇率が高いためだ。」とあるが、何レベルくらいウォーロックで鍛える想定なのか。
ウォーロックの成長値はMPとMEN以外ウィザードに勝っているパラメータがなく、MENの高さを考慮しても魔法攻撃力は同じ。VITとAGIで劣るので耐久力も劣る。育成職にはあまり向いていない。MENが重要なのはスペシャル攻撃くらい。
アイテムのスペシャル攻撃主体で戦う構成や、MPを大量に使う竜言語魔法にはウォーロックは有効だが、ウィザードとして使うならMPが不足することも滅多にない。ウォーロック育成は私はあまりおすすめではない。
ソードマスター
ハボリム以外のソードマスターを作る場合「前職はビーストテイマーかナイトがいいのでは」と根拠を説明せずに無責任に書いているが、スピード・威力・補助魔法と運用法で変わりすぎる。
1冊目のユニット紹介では「ニンジャからチェンジさせるのが美しい」って書いてあったぞ。
あえて言うとビーストテイマーで育成した防御型のキャラクターなら、ドラグーンやテラーナイトならともかくソードマスターに転職させる必要が感じられない。
本音を書くなら、補助魔法以外何をやればいいかわからないというのがソードマスターだが…
バーサーカー「ニンジャと交互にチェンジして成長させれば、かなり有用になるとのこと。」となぜか伝聞。
ビーストテイマーでも「ニンジャと交互のチェンジさせて育てるといいだろう。」こっちも同じようなことを。
ビーストテイマーとニンジャの成長値の中間を取ると、前衛パラメータだけ見るとHP7.5、STR5、VIT5、AGI5.5、DEX5.5。ソルジャーよりは微妙に強いが、ミルディンの下位キャラみたいな性能だ。使えないということはなさそうだが…これは典型的に本書の低評価している中途半端キャラではないのか。
このパラメータならアーチャーをそのまま使っても大差ないような…
ミルディンといえば、固有クラスの評価も一部正しくない。
完結編p73。Nルートのホワイトナイトについて「単純に考えればナイトのパワーアップ版と位置づけておけばいい」と書いてるが、ミルディンはギルダスと特徴が違い、AGIに優れるが、単純な火力だと一般ナイトと比べても負ける。ここはサターン版p153でも、表現は変わっているが同じことを書いてる。
パワーが控えめで、その他の全てに優れるミルディンの特性をちゃんと認識できていない。
完結編p101。ロードについて「神聖系魔法が使えるナイトと考えていい。召喚魔法中心に戦うのがセオリーのゲーム後半では、撃たれ強いクレリックとして重宝するだろう。」と、召喚魔法偏重の記述がアレだが、実際はロードの成長値や基本性能はナイトよりかなり上だ。
また4章に入った時点でクラスと関係なくデニムの成長値はロードと同じになるのだが、そのことは公式ガイドブックのどこにも書かれていない。
召喚魔法とセリエの運用
これは公式ガイドの複数個所で見られる記述だが、セリエをセイレーンにして、姉妹全員を魔法職で起用し、全員が召喚魔法を使うことに妙にこだわっている(だからマジックペーストを使いまくるよう書いてる。チャージスペルの異常性能に気づいてない)。
1冊目p12にはCルートの固有ユニット(専用の顔がついてるキャラ)の一覧があり、クラスチェンジ方針が書いてあるが、
・フォルカス:ニンジャ→ドラグーン
・システィーナ:クレリックかセイレーン
・セリエ:セイレーン
・オリビア:セイレーン
フォルカスを少々ニンジャにするのも微妙な判断だが、システィーナはまだしもセリエを魔法系にするのは、かなり思案の必要があるだろう。
最初から高レベルのヴァルキリーで加入するセリエ。ヴァルキリーのINTは結構あるので、魔法専門に転向するのもありえないわけではないが、実際にやると魔力でウィザードに劣り、代わりに耐久力(と物理攻撃力)の高めなセイレーンという、難しいバランスのユニットに仕上がるはずだ。
それで使えないユニットになるということはないのが難しいのだが、結果をちゃんとわかって書いているか疑問。
一応計算してみた。Cルートのレベル22で加入するセリエをセイレーンに転職してレベル30、普通に育てたシェリー、バイアンと比較する。
成長値は全レベル中央値で計算。実際は結構ずれるが…
レベル30 | HP | MP | STR | VIT | INT | MEN | AGI | DEX |
セリエ(セイレーン育成) | 299 | 126 | 202 | 154 | 240 | 205 | 166 | 194 |
シェリー(セイレーン) | 244 | 193 | 158 | 128 | 269 | 224 | 159 | 181 |
バイアン(ウィザード) | 254 | 190 | 149 | 118 | 257 | 230 | 174 | 174 |
び、微妙…ありえないと言えないくらいの魔力と、中途半端な耐久力…
召喚魔法偏重だと魔力低めでも構わないので、逆にこのセリエでもいけそうだな…
そしてバイアンのほうがシェリーよりAGIは高いがVITが低い。シェリーや一般セイレーンは途中までクレリックで育成したのに近いパラメータになっているためだ。やはりバイアンには引っ込んでもらうべきなのか…?
SFC版1冊目の攻略本ではシェリーの情報が解禁されてないので、4章で四姉妹が揃ってないが、三姉妹をやたら重視する記述はある。
そこが解禁されたサターン版p119だと、4姉妹全員に召喚魔法を持たせてアタックチームに入れる編成を提示している。他がアロセール、ハボリム、クレリック×2、プリースト、デニム。前衛をデニムひとりに任せる構成だろうか。ホワイトナイトやカノープスすら外されており、明らかに魔法系が多すぎだ。クレリックも多いが味方が脆いせいではないのか。
こういう偏った編成でやってると結果的に(比較的)頑丈なセリエが生きたということはあったかもしれない…
ページによっても記述が違い、1冊目p110(Cルートのセリエ加入マップ)ではセリエのSTRとVITを見て「そのままヴァルキリーとして前線で使うのがいいだろうか。」と普通のことを書いているのだが、この記述はサターン版p113で改訂されており、「後々のことを考えると、魔法使い系のクラスにしておくのが適当か。」だと。後々とは一体。
本書にはバイアンをベンチに送りたくてしょうがない記述が複数個所にあるが、火力過剰な単体召喚魔法ならウィザードの魔法攻撃力で十分。ニンジャで少し育てたウィザードや、クレリック育成のセイレーンという手も考えられる。
確かにヴァルキリー育成セイレーンもなしではないのだが。
本書にそうした葛藤はなく、実際のセリエの魔法攻撃力がバイアンや一般セイレーンより低いことも見ておらず、「セイレーンは強い」「四姉妹は特に強い」「召喚魔法は強いから4人必須」という3つの思い込みでセリエを選んでいる。
そのようにしか言えないだろう。
完結編p67(サターン版p147)だと魔法系固有ユニットが少ないLルートについて、「カオスシナリオにおいてひ弱という点でベンチウォーマーだった(かもしれない)バイアン」がいないのを嘆いている。
バイアンがいないぶんは確かに苦しいが、システィーナとセリエを魔法系と位置付けてきた本書の判断にも問題がある。
そこで「オクシオーヌは武器も魔法も得意なので、彼女に召喚魔法のひとつをまかせてもいい。」と書いてるが、レベル30で加入するオクシオーヌの魔法力もまた一般ヴァルキリーよりわずかに上回る程度だ。決して魔法が使えないわけではないが、ヴァルキリーそのものを低評価している本書の方針と噛み合わない記述。
(ドラゴンテイマーは召喚魔法を使えない。武器も魔法も活かすならセイレーンにして弓を持たせるなどは可能ではある)
だいたいの記述がパラメータを読まずに、ぼんやりイメージのみで書いてる。
シナリオ解釈
公式ガイドブック1冊目は、2冊目以降と違う特徴として、シナリオの解説パートがある。ゲーム中のセリフを引用しながら、デニムたち登場人物のゲームで語られていない心情を語っていく内容となっているが、どうもライターによる解釈違いの気配が少々ある。
Cルートは4章までだいたいネタバレを書いているのだが、
>デニムは若い。ニバスの所業を許すわけにはいかない。
とか、
>デニムはここで、自分でも思ってもみなかったことを口に出した自分に驚いた。
といった感じで、ノベライズしてるみたいな記述でゲームだけでは読み取れない心情を追加してるのだが、この是非は気になるところ。
こういう小説みたいなのが入ってる攻略本は他にもあったが。
シナリオはあくまで解釈なので、明確な間違いを指摘しにくい。でもやっぱりおかしいと思う箇所はある。
全部ツッコむとキリがないので、以下は一部に絞って引用する。
1冊目p119、4章冒頭の暗黒騎士ランスロットについて、
>「第1章での頭を下げたシーン、第3章でのヴァイスを逃がすシーンなどで、少しはヒューマニズムのある男かと思われたが、それは全くの芝居であった。彼ほど支配者思想に凝り固まった男はいないのである。
と、欄外にライターによる評。
あの白ランスとのやり取りを見てそういうふうに受け取る人もいるのか。いるからこう書いてあるんだろうな。
確かに1章の謝罪シーンでは嘘をついているし、大袈裟な行動に出ているが、あれも全て演技だったのかはわからない。
3章では芝居以前に普通にキレてるように見えた。
タルタロスは全体的に真意を隠しているが、支配者思想という言い草で合ってるのか私にはわからない。
1冊目p127
バーニシア城のカチュアの選択肢の1問目、「決してウソをついてはならない。彼女が受けた心の傷を、デニムは自らの心を裸にして癒やさなければならないのだ。」「まず最初の選択肢は、取り繕ってごまかさないようにする」と、あやふやなヒントだけで、正解を書いていない。後述の松野泰己氏の意向から、正解を直接書くのを回避したのだとは思うのだが…
だが正解の選択肢が取り繕ったものなのかそうじゃないのか、ライターの解釈があってるのかも私にわかんないということは言っておきたい。
2問目は、だいぶ明確なヒントが書いてある。
ちなみにここリメイクだと1問目の正解も変わるんですよね…正しい解釈はあるんだろうか。
サターン版p181だと、解釈は書かず普通に正解の番号が書いてあった。
1冊目p132
>押し黙るランスロットに、ヴォラックが驚きの声で尋ねる。ドルガルアの遺産を独り占めにしようとしていたのは本当だったのか?
と、地の文がマルティムのセリフそのままなのだが、ヴォラックの心情として書いている。
マルティムの言ってることは煽りの混ざった想像だ。SFC版では暗黒騎士ランスロットの真意は、ある程度予想は可能だが、明確にされていない。この未詳の情報に対して、本書は独自に何らかの答えを出そうとしていないか?
リメイクではここを補完するセリフがあり、マルティムの推測は間違いだと確認できる。
もっともマルティムも自身の発言に責任は持ってないようには思うが。
正義とかアラインメントとか
1冊目のシナリオ部分はどうも解釈に不安を感じる内容だったが、2冊目「完結編」ではシナリオ説明パートはなくなっている。その理由についてp5で、「"ユーザーにはウォーレン・リポートから情報を引き出してほしい"とするメーカーの意向に添ったもの」と書いてある。
前巻に対してクエストから何か言われたのかもしれない。
LNルートはセリフ引用によるシナリオ解説パートはなく、サターン版ガイドではCルートについても削除している。
だが、それでも解釈が怪しい点が出てくる。
完結編p11(サターン版p15)。
「最良のエンディングは、すなわちカオスルートを選んで」「正義を貫く生き方こそ、作者が意図したこのゲームのテーマである。」
ここで作者の意図を代弁するのは、かなりよくないと思う。作者(個人?)の話を聞いて書いたのだろうか。
シナリオ解釈については相変わらず信頼できない。「正義」という言葉をここで持ち出してしまうこと、それ自体が作者の意図に合っているのかどうか。
もちろん松野泰己氏は「そもそも制作当時は、95パーセントのプレイヤーがCルートを選ぶだろうと思っていましたね。」とはおっしゃってるが。
こちらのインタビューでは「ファミ通さんで攻略本を作っていただいたときも、Chapter-4のネタバレは絶対にイヤだと断固拒否しました。」など公式ガイドにも言及。1冊目の攻略本の時点で意見は出しており、4章のネタバレが一部伏せられているのと、分冊になったのはその意向が出ているようだ。退社前の話かな?
確かに初見でLルートを選ぶ人はどうかしてると思うし、L2章のデニムの行動は劇中でも決して肯定されない。これは作者の意図を聞くまでもなく、はっきりしている。
だがそこから逆転が始まるところを、公式ガイドブックはちゃんと見ていないのだろうか?
だいたいエンディング自体はどのルートでも一緒だ。違うのは最良のエンディングではなく、そこに至る過程のほうであり、その中で最良を、作者の意図したテーマなんてものを決めることが果たしてできるというのか。
あと編者は本作のカオスは自由の意だと認識したうえで「カオス=悪」だと世間が思っている、と思っているようで、「先入観のある人には、カオスが最良であることに抵抗があるかもしれない」と書いてる。
が、読者に対するそういう先入観があるのは編者のほうだ。ゲーム中にそうした説明はないでしょう。
またシナリオ解釈にも関わる話で、この完結編には重大な誤字が。
ロウルートが全ページでLowになってる。ロウ=秩序だって書いてるのに誰も気づかなかったのか。
実際Lawは秩序というより「法律」で、本当はChaosの対義語じゃないらしいけど(D&D由来?経緯は詳しく知らない)、Lowではないです。
サターン版ガイドではさすがに気づいたようで、Lawに修正されている。
アラインメントは完結編p192の用語事典(サターン版p323)にも変な記述。
「直訳すると属性。」違う。
それは直訳じゃなくて、ゲーム等で意訳されたものだろう。alignmentは直訳だと「整列」というか「並び」というか、訳しにくい言葉です。
ここで「ロウ=善、カオス=悪、ニュートラル=調和という意味ではない。」と強調して否定しているが、それこそ先入観というものだ。
まだ怪しい完結編
他にも完結編の気になる箇所を上げていく。
完結編p14。「ゼテギネア」がいつごろの時代か書いてあるけど、これゲーム中ではかなり最後まで伏せられてる情報で、ネタバレに相当するんじゃないかと思うんだけど…
隠しエンディングの内容まで書いてる本記事で伏せるのもアレなので、ネタバレを書いてしまうけど、ゼテギネアについて「BC4,000~3,000年のことだ。」って本書には書いてある。
これは松野泰己氏も紹介している発売前のチラシの記述とは一致しているのだが、ここにはゲーム中では語られていない情報が多い。ゲームで語られるのはヒッタイト人の台頭についてのみ。
ここに書かれてるBC3000というのは現実のヒッタイトの歴史と数百年ほどずれてるっぽいのだが、それは誤差か(私は考古学は詳しくない)。
オウガバトルサーガが紀元前の話であること、クエスト的にはネタバレじゃなかったのかもしれないけど…よかったんかな?
完結編p101
あるキャラクターの過去が明かされる4章のイベントの条件を記載。登場人物の名前や内容を伏せながら紹介しており、条件となるキャラクターさえも明記していない。
だがその同じページに、そのイベントに登場するキャラクターのヴォグラスのプロフィールが載っており、この人のネタバレは全部書いてある。配慮が浅い…
また完結編p192以降の「人物・地名・用語事典」(サターン版p323以降)には、他にもシナリオ解釈に関わる記述があるので指摘する。
猊下
「げいか:閣下と同じ。非常に古い言い方。」とあるが、「猊下」は高僧に対する敬称であり、閣下とは意味が異なる。
シナリオ理解の上でも、本作の各支配者が宗教の指導者であることは意味を持っている。ここは辞書を調べて書くべきだった。
なかでも猊下と呼ばれる筆頭のバルバトス。彼はガルガスタン王国の王ではなく、フィラーハ教の高位の人物なのだが、この説明はSFC版のゲーム中にはなかったりする。
説明がなくとも枢機卿の肩書きからそれが察せられるようになっているわけだが、「枢機卿」が教会の役職だと気付かない人はいたかも…
リメイクでは「フィラーハ教ガルガスタン派」という表記がされている。
ネオ・ウォルスタ解放同盟
「現代風に言えば、極右国粋主義団体」とあるが、Lルートまともにやっていればこんなこと書けると信じられない。
さもなくば「国粋主義」の意味について何か僕と理解が違う…
これも国語の問題なのか?単なる反体制を意味する言葉だと思って書いてるんだろうか。バッドエンドで出てくるウォルスタの人と記憶が混ざった?
後で少し指摘するが、LNルートについては丁寧にプレイしてないと思える記述がちらほらある。これもその一つなのかもしれない。
アンドラス・ガフラヌ
シナリオ解釈に関わる部分だと、これも迷ったが、書いておく。
アンドラスたちボルマウカ人が肌の色で差別されている描写は、タクティクスオウガの範囲にはない。なかったと思う。(リメイクにもなかったはずだが…一部記憶が定かでないのでご容赦を)
ボルマウカ人はローディスから差別的な扱いを受けている。これはアンドラスの言動からわかる。だがアンドラス個人はコマンドとして一定の地位と評価を得ており、Lの騎士からもCの騎士からも信頼があった。内心ではわからないが、表向きは差別的な待遇など受けていない。
ニルダムに対するローディスの動きに、肌の色、人種差が原因だという描写はこの時点ではない。
だが一方で、現代のそれを意識しないで描写しているわけもない。それを当然想起させる描写として、ボルマウカ人の肌を褐色にしているのだろう。
その後、オウガバトル64ではボルマウカ人の「身体的特徴」が影響していたことについてはレポートで言及がある。こうした状況を見ると、本書の書き方は間違いとは言いにくい。
しかし、ゲーム内で深く掘り下げていない人種問題について書くならば、なおのことこんな短文で済ませていい話題とも思えない。
(ところでゲーム側は意識してやってると思うのだが、トリ野郎に対する一部のセリフは明確な差別表現だと思う)
ボルマウカ人と異なり、ヴァレリア島の3民族については人種差はない。このことは松野泰己氏も過去に何度か言及していた。
ヴァレリアの戦いは1国に住む同人種間での紛争であり、宗教も同じフィラーハ教が主。その他の宗教も信仰されているが、それも3民族の中に含まれる。
ここは「人種」と「民族」の言葉を間違えないよう気を使うべきなのだが、上でも書いた通り本書はしっかり間違えてます。
誤字類
イクソシズムがエクソシズムになってたり、召喚が召還になってたり、誤字は結構あるのだが、特に固有名詞の誤字で気になるのを以下に列挙。
1冊目p110
オズ登場のボード砦。テンプルナイトの初登場マップだが本文が全部「テンプルコマンド」になってる。サターン版p113では修正。
完結編p34(サターン版p86)
「祈りのカズン」は誤字。ガズン。p201の敵リーダーリストや索引ではあってる。
完結編p46
L3章ラストの攻略。このページで「オズ」と書くべき7箇所が全部「オズマ」になってる。
サターン版p126では改訂されて一部オズになってるが「オズマ」が残ってる箇所も2箇所、さらに新たに追加された「オズマ」が1箇所で、オズとオズマが入り乱れている。
用語事典のオズマの項目で巨人の星のオズマについて言及しており、たぶん男性名のイメージがあったんだろうな…
完結編p47(サターン版p127)
L3章のフローチャートでは逆に「オズマ」と書くべき箇所が「オズ」になり、オズと2回戦ってる。サターン版でもそのまま。
完結編p108
「オクシオーヌ・ラヴァン」と誤字。ラヴィン。サターン版では直ってる。
完結編p143,151,167
死者の宮殿の敵編成紹介、レリクスナイトと書くべき3箇所全部が「レクリスナイト」と誤字。だからライターはレクリスだと間違って記憶してる可能性が高いのだが、ユニット表では全部正しく「レリクスナイト」になっている。クエストから入手したユニット表はexcel?Lotus 1-2-3?のデータのようなもので、そのままコピーして誌面に掲載できる書式だったのかもしれない。
サターン版では修正。
完結編p181
ノトス「四風神通話のひとつ。」という奇異な誤字。
神器→神うつわ→神つうわ→神通話?
サターン版では直ってる。
サターン版p204
騎士ヴェルマドワを「ヴェルマドゥ」と誤記。SFC版では間違えてない。
サターン版p207
エルリグが「エルリガ」になってるのが1箇所。SFC版とほとんど同じ内容のページだが微妙に文章が差し変わっている。
サターン版p216
SFC版で未掲載のマップで「ゾジョネルの神殿」と基礎的な誤記。ゾショネル。
打ち間違いというより、間違って覚えてるものが多いと感じる。
そして若干だがサターン版で追加された誤字がある。編集体制がかなり気になった。
1冊目「タクティクス オウガ 公式ガイドブック」
大きめの問題点の指摘は以上だが、まだ指摘は終わらない。ここから1冊ずつ別々に見ていくことにする。
まずはCルート4章のラスト前まで攻略している1冊目「公式ガイドブック」から。
サターン版ガイドでも修正されていない記述は、そちらのページ数も併記。
p16(サターン版p20)
ステータス異常魔法の命中率が対象の向きの影響を受けるのは正しいが、「命中率変化の度合いは通常攻撃時と同じ」とするのは間違い。
補助魔法は向きの影響も半減し、後ろからでも25%の上昇になる。
完結編p45(サターン版p125)にも同じ間違い。
p20~21(サターン版p24~25)
盾と小手でのノックバックについて、相手のWTが自分より遅い場合確実に発生し、相手が速い場合50%の確率になるとし、「WTの早い飛行ユニットなどに盾を装備させてみるのもおもしろいのでは。」と書いてあるが、違う。
正しくは攻撃側が「重い」場合に確率が100%になる。
これはウォーレンレポートにも書いてある知識だぞ。
この「重い」とはWTそのままではなく、実は現在のWTは関係ない。
参考:計算式(クリティカル率・ノックバック) | タクティクスオウガ攻略・解析
>攻撃側装備重量+WT > 防御側装備重量+WT の場合100%発生
>攻撃側装備重量+WT ≦ 防御側装備重量+WT の場合50%で発生
つまり重量+WTが互角だと双方50%、とのことですが、軽く検証したところ、こちらの式のWTというのはユニットの現WTではなく、クラスの基本値のようです。WT基本値に20の差があるニンジャとウォーロックで、装備重量差も20にしたところ、重さは互角になったのを確認しました。AGIの数値は影響していません。
AGIが速いユニットに重い装備を持たせることで、ようやく本書の言うようなWTが速くてノックバックが得意なユニットになる。
p21(サターン版p25)
補助魔法と召喚魔法の命中率「相手の側面から攻撃すると12.5%、後方から攻撃すると25%命中率が上がる。」
補助魔法についてはp16と違って正しい数値だが、召喚魔法(と一部の投射攻撃魔法)は普通に25%、50%。
どっちのページも不正確。
p46(サターン版p42)
ブレッゼンの落とすフランシスカを「カノープスに装備させるといいだろうか。ホークマン系はオノが得意武器だからだ。」とシンプルな間違い。普通のホークマンと違いカノープスの得意武器はハンマー。
こんな初歩的な記述さえサターン版で直ってない…
p65(サターン版p57)
MVPの条件に「自分より高いレベルの敵を倒す」が挙げられているが、倒した対象のレベルは関係ないようです。
参考:MVP取得条件(行動ポイント・活用方法)
p87
シナリオページの欄外。3章バハンナ高原1回目の堅いドラゴンに対して「ドラグーンを作って戦わせるか、もしくはペトロクラウドをかければいい。」とあるがペトロクラウドの入手はこのマップより後。どういう順番でこの補足を書いてたのか…このマップの攻略ページのほうではそんなこと書いてないし。
サターン版p97では書き直されドラグーンのみになっている。このようにちゃんと見て直してる箇所もあるのだが…
p90
レオナールとの一騎打ちを受けると仲間の忠誠度が上がることが書いてない。
一騎打ちでやる場合はニンジャでヒットアンドアウェーで挑むよう書いており、直接攻撃同士では勝ち目はないと書いてあるが、育て方や装備にもよると思う。
(どうも本書は普段からデニムをニンジャで育成しているように思うのだが、デニムの職業が明確にわかる記述はない)
逆にニンジャならヒットアンドアウェーというより下段に誘って逃げるハメ技が使えるのだが、それも書いてない。
p95(サターン版p98)
オーブについて「実は同じエレメントのユニットよりも、VITの高いユニットの方が使用効果は高いのだ。」それでドラゴンに持たせるといいという記述。
実際はMENとSTRに依存する。もちろんエレメントも効く。
特に下位ドラゴンはSTRが高くMENも良いほうなので、オーブのダメージは高いほうだが、それをVITが理由と適当な推測で導いたのだろうか。むしろVITこそ人間前衛と大差ないんだが…
この件は他にも1冊目p125(サターン版p181)、1冊目p179、完結編p17、完結編p33(サターン版p85)、完結編p52(サターン版p132)と、複数ページでオーブとVITのことを書いてある。
またオウガ・オーグでも話題になっていたが、他社のPS版の本に間違いが受け継がれているらしい。
オーブについての疑問
p95,96
1冊目のシナリオパートではなぜかフィダック城南を攻めるルートを選んでいる。特にCルートでは雷神の弓が取れる西に行ったほうがいいと思うのだが、この1冊目では入手できる弓の違いに文中で全く言及しておらず、トロフィーのリストに載せているのみである。
完結編のp63などでは弓で選ぶよう書いてる。
p124
ブランタが悪夢を見ている場面。「このブランタの夢に出てきた場所を覚えておくと、かなり終盤になって嬉しい思いをするはずだ。そうか、ブランタの見たモノって◯◯◯なんだ!」
これもネタバレ防止の匂わせのようだが、何を匂わせてるのか普通にわからないんだが。
夢に出てくる場所は確かにゲーム終盤に登場するが、ブランタが見たものは3文字じゃない気がするし、ここに嬉しいものがあった記憶はないが…何のことだと思います?
ここは終盤のマップだったんだ!と遊んでて気づいたら嬉しいってこと?
サターン版では記述がなくなってた。なんだったん…
p138(サターン版p189)
アースワンドの使用効果のエイクオブソーンだが、使うとダメージを受けることを問題視。「無理にこの特殊効果を使うよりも、INTを18もアップさせてくれる装備品として活用したほうがいい。」としているが、それならバルダーメイスのほうが同じ数値で軽い。スペシャルを活用するか近接攻撃に使わなければ価値がない。
p140(サターン版p191)
ランベスの丘で「久々に忠誠度の低いユニットが登場している」ので説得して数を減らしてもいいとあるが、その攻略の妥当性以前に2つ前のマップでも同じくらい低いやつがいる。
p162(サターン版p289)
アーチャー「成長すれば、高いところにも矢が届くようになる」と書いているが、弓の攻撃範囲は成長と無関係のはず。
確かめたことはないけど…
p165(サターン版p293)
ブルードラゴンはサンダードラゴンと比べて「「眠り」のほうがかけやすい」としているが、特にないと思う。
「氷のマップなどではいつもより活躍するはず。」ともあり、確かによく出てくる氷原マップなら眠りもかかりやすい可能性はあるか。
p169(サターン版p301)
地形移動コスト表。移動コスト2のパネルをジャンプで飛び越えることで、コスト4必要な2パネルをコスト2にできる、と書いてあるが着地点の移動コストは軽減できない。細かい間違いだけど、この場合は正しくはジャンプしてコスト3。
p170~179
アイテム一覧。1冊目の範囲外のアイテムも一部掲載されているが、全部ではなく、掲載基準が謎。入手法が書いてないドラゴンシリーズや属性盾を掲載していたり、死者の宮殿のアイテムも固定パーティのものだけ載っていたり、画像が伏せられていたりいなかったり。
サンゴの竪琴の画像は載ってるのに、入手法がほとんど同じの蛮族の角笛の画像は「?」になってる。謎だ…
p174
小手「装備していると素手でも攻撃力が上がる」とあるが間違い。パワーグラブのSTR+5のことを言ってるのだろうが、そもそもパワーグラブ以外の小手にはSTRの補正はない。またパワーグラブについても装備していると素手で殴れない。小手で殴るのは盾と同じ低ダメージ。
パワーグラブのSTR+5は武器での攻撃力には影響しない。近接武器を持たなければパワーグラブでも反撃は素手になるが、これにもSTRの補正は影響しない。スペシャルの威力にも反映されない。
パワーグラブのSTRは通常攻撃には関係なく、防御力にのみ微影響する。これはゲーム側の設定がおかしいとも思えるが。
まったく同じ文は完結編p185にもサターン版p307にもあり、3冊共通の間違いとなっている。
p180(サターン版p312)
使用者と魔法のエレメントについて、「同系のエレメントのユニットが使用すれば効果は大きく」という記述は正しいが、逆のエレメントは「効果が半減する」と極端な表現。正しくはエレメントによって10%増加or減少で、半減は言い過ぎ。
ここ、サターン版p312では記述を残したまま、さらに「同系では効果200%、逆系なら50%」、と異常な数値を加筆している。
200%は検証以前に、どう見てもありえない値だ。なんでこんなことを書き足したんだ。
それとも正確な数字じゃなくて、編者の気持ちの表現か?1000%!
参考:エレメントの影響
p180~183
魔法とスペシャル技リスト。各説明はヘルプを元に少し書き足したものになっている。1冊目の掲載範囲で登場しない竜言語魔法は未掲載だが、6属性魔法は全て掲載しており、禁呪はおろか、完結編でも入手法が伏せられているストライクノヴァも掲載している。
※情報解禁されたサターン版でもスーパーノヴァと間違えてるので、ストライクノヴァの入手法は未掲載のまま。
スペシャル技は掲載基準が謎で、1冊目の範囲でも登場するエイクオブソーンなどのアイテム使用技や暗黒騎士の必殺技など、さまざまなものが未掲載。
なのに1冊目には掲載もしていないダグザハンマーの固有技「ブレインストーム」や、ラスボスの攻撃など明らかに範囲外のものも掲載している。
あとスペシャルの一覧に「ラディウス」と「ウンブラ」が掲載されているが、これゲーム中で使われることないよね?
クラッグプレス
「消費MPの割に効果は?」と、妥当な評価ではあるが、対象の高さで威力が変わることが書いてない。
スーパーノヴァとメテオストライクにも高さで威力の上がる設定があるらしい。
ペトロクラウド
「成功率はMEN、DEXの高さに比例」とあるがMENは成功率に無関係(効果範囲には影響)。補助魔法の命中率も主に影響するのはAGIとDEXである。
本書全体でハボリムにペトロを推奨しまくって、AGIが成功率に効くのはp94にも書いてある。これは単なる書き間違いだとして、サターン版p314でもMENとDEXのまま直ってない…
参考:命中率計算
p187
埋もれた財宝の表。LUK0~40,41~60,61~100の3種類のテーブルに分けているが、実際は0~42、43~56、57~100。
サターン版p321では正しい数値に直った。
2冊目『タクティクス オウガ 公式ガイドブック・完結編』
完結編の内容は前巻で書かなかったLルートとNルート解説、4章の隠しイベント、ラストダンジョン、そして死者の宮殿だ。
データ集としての不備はなく、隠しイベントと死者の宮殿の攻略情報としては十分な内容といえる。ただし1冊目に掲載されていた内容は省略されているので、本書だけでは完結しない。
アイテムは全部載ってるが、魔法は前巻に載ってなかった竜言語魔法しか載ってない。
スペシャルは前巻に載ってなかったものだけを掲載しているため、ラスボスの攻撃などが完結編のほうに載ってなくて、1冊目にだけ載ってるという状態(なぜかコールドブレスが前巻と重複して掲載)。
未掲載なのはラスボス戦、死者の宮殿100階の攻略と、ファイアクレストの入手条件、パワーアップデネブの加入方法。あとエンディングの分岐(ギルバルド以外のエンドの変化も未掲載)。
禁呪イベントの発生条件は掲載しているが、なぜか禁呪の砦と内部の戦闘は掲載していない。砦のマップのみ掲載。
ファイアクレストはうっすらヒントは書いてある。
パワーアップデネブの加入方法はp176の隅っこにかなり正確な答えが書いてあるが、それがデネブの加入条件であることは伏せられている。
ギルバルドについては前述の通り、ヒントも少ないが正確な条件を知らなかったと考えられる。
p24(サターン版p76)
「ヴァイスはそのアラインメント、エレメント、シナリオ上の立場、すべてがデニムと相対しているのである。」とあるがLルートヴァイスのアラインメントはL→Nで全然相反してないし、エレメントも最初の質問でデニムと無関係に決まる。
p48(サターン版p128)
リザードマンやドラゴンの弱点はINTの低さだとし、「正面では難しいが、横くらいならナイトメアやコールドブレスで簡単に眠ってくれる」と書いてある。横からのほうが成功しやすいのは正しいようだが、INTが抵抗力に影響するなんて話は聞いたことがない。公式ガイドでもこのLルートマドュラ氷原の攻略にしか書いてない謎の記述で、非常に疑わしい(検証したことはないが…)。
解析によるとナイトメアの眠りも補助魔法と同じみたい。INTは関係ないよね?
参考:暗黒系魔法
>睡眠の成功率はスタンスローター等と同様の計算式であるため
p56(サターン版p136)
ミュンツァーは「ゴブリン、スケルトン、ゴーストを召喚する」とあるがゴブリンはグレムリンの間違い。
またミュンツァーにアンデッドを召喚させてMVPを狙うことを推奨しているが、リスクが無駄に大きくなるだけだろう。
p58(サターン版p138)
アルモリカ城で「トロフィーをたくさん落とす。ぜひゲットしたいもの」とあるが光のオーブとカルディア以外の4つは全て市販品。連続戦闘で取っても難易度が無駄に上がるだけだ。
p73(サターン版p153)
ここからNルート。
バイアン死亡時のセリフが忠誠度で変化するとあるが、実際は現在の章とルートだけで決まっている。忠誠度を回復しても3章が終わるまで同じセリフである。
p74(サターン版p154,155)
Nルートのペトロクラウドを取りに行くルートを推奨しているが、こちらで加入するハボリムの忠誠度が異常に低いことに言及がない。p80掲載のユニット表ではハボリムの忠誠度84になっているが、もらったデータを載せてるだけだろうな。
(サターン版p160では45に変わっている。ゲームのほうで修正されてるのかもしれないが、未確認)
またペトロクラウドは4章でも寄り道すれば入手できる。希少性なら3章の別ルートのアクアハンマーのほうであり、そこはもう少し強調すべきだろう。
p80
石化したユニットは物理防御力2倍と書いてあるが、正しくは全属性のRESが70に変化だそうです。きっちり半減にはならない。
サターン版p160では記述が消えている。
参考:ステータス異常
p108(サターン版p208)
攻撃が高いが耐久が低いオクシオーヌの運用プランとして「ドラゴンテイマーかアーチャーで後方支援、ないし魔法系というのがハマリ役だろう。」と提案しているが、オクシオーヌはLなのでアーチャーになれない。エアプにも程がある。
サターン版では記述が変更されているのだが、「ドラゴンテイマーでもよし、アーチャーで後方支援させてもよし、防御力の高いクレリックになるもよし」と誤りをそのまま、余計な追加を。
耐久力が低いとSFC版で書いてた通りで、HPとSTRはともかくVITは高い方ではなく、むしろ標準以下。普通のクレリックよりは少しマシだが、「防御力の高いクレリック」とは言い難い。もちろん普通のクレリックよりINTも劣る。
また彼女の連れてくるバハムート4体が仲間になることがどこにも書かれていない。この不審な記述の集中は、オクシオーヌ加入イベントを実際に体験せずに書いてる疑惑をかけてもいい…
p126
ラスボス1個前の戦いのデータは伏せられていて、ヒントだけ書いてある。「最初はデニムひとりで戦うことになる。」とし、ニンジャにして投射武器を持たせるという定番の攻略を書いてるが、ここはデニムの配置が突出してるだけで別に一騎打ちではない。ひとりの弓だけで倒せるわけでなし、応戦できるほど頑丈なデニムでないのなら、単に逃げるのがいいだろう。下手に弓攻撃すれば追いつかれる。
サターン版p238ではマップと敵編成を掲載し、記述を改めているが、初期配置後ろの高台に登って召喚魔法というまた回りくどい戦法を紹介…仲間は前進して援護すれば十分だ。
p131
死者の宮殿で習得する10の必殺技の性能だが、不正確な記述が多数。
「ステータス数値に比例して攻撃力が上がるもの」について、例示している神鳴明王剣は「DEXの数値分の武器攻撃力を有するようになるのだ。」と不正確な表現がされているが、正しくはDEXの数値そのままの固定ダメージ。
また竜牙烈風剣の関連ステータスをDEXと書いているが、これは完全な間違いで、武器の攻撃力×2の固定ダメージ。
また鬼哭血散斬は単に「大ダメージ」としか書いてないが正確には現在HPがそのままダメージ。
怒号魔破拳の対応武器も投射系武器としているが、正確には素手でも使える。
覇王獄炎波と天聖雷妙波は関連ステータスをMENとしているが、実際はこの2つは普通のスペシャルと同じでMENとSTRからダメージを算出するそうだ。まあ、MEN依存として厳密には間違いとは言えないんだが…
逆に物理系の月花地霊斬、風烈天破斬、波動次元斬は普通の物理攻撃と同じでSTRとDEX、武器の威力で計算するが、関連ステータスとしては未記載。
双魔邪王剣以外の全技で何か間違ってる。
サターン版p241では「DEXの数値分の武器攻撃力を有するようになるのだ。」という誤表現はそのまま残っているが、技の説明は加筆され「パラメータDEXの数値分のダメージを与える」と正しいものに。竜牙烈風剣も「装備した武器の強さをダメージとして与える」と、まだ厳密には正確じゃないが修正。
しかし覇王獄炎波と天聖雷妙波まで「パラメータMENの数値分のダメージ」と新たに間違えた修正。正確なダメージ算出は難しいとしても、MENそのままじゃないことは一度でも使えばわかる。
他の間違いはそのまんま。
参考:必殺技(ロデリック・暗黒騎士団)
p135(サターン版p245)
これは書き忘れなのかもしれないのだが、ラドラムを救助すると仲間にできることが、なぜかどこにも書かれてない。
あと、かなり簡単に判明するラドラムの正体について用語事典にもどこにも言及がないんですよね…クエストからNG出そうな内容も匂わせで書いてるのに。
p138
死者の宮殿B4初回バトルのNルート。リーダーをさっさと倒せばいいマップだが、そうると「バーサーカーのゾンビが持っている神秘のハンマーがもらえなくなってしまう。これは悲しい。」ので、エクソシズム(誤字)を使えるユニットを二人用意する攻略を書いてる…
本作のアンデッドは絶対にトロフィーを出さず、説得も通じないゾンビの持つ神秘のハンマーはどうやっても手に入らない。完全なるエアプ攻略だ。
いや、エアプでもおかしいよな。なんで手に入ると思ったんだ。
GCGXによると、内部データ上は神秘のハンマーはトロフィーに設定されているらしい。クエストから提供されたデータにもおそらく書いてあったのだ。それをそのままトロフィー一覧に載せてる。だが実際落とさないので、このデータは無意味だ。
もらったデータだけ見て、何か特別ルールでトロフィーを落とすとでも誤解して、実際には一度も試さないまま書いたってところか…
サターン版p248ではこの記述はカットし、トロフィーの記載も、神秘のハンマーを持ってるゾンビがいるという事実も削除。会話イベントが発生することを書きつつ、さっさとリーダーを倒す適切な攻略に改められている。
p143
オウガアーマーの敵チーム「1のレクリスナイトは説得したいユニットだ。」と誤字りながら無茶を申す。「説得したいユニットだ(けど無理)」という意味だと思うけど、誤解を招くような表現はやめてほしい。サターン版p253ではレクリスの誤字ごと削除。
p155
死者の宮殿B50。トロフィー一覧に風の法衣があるが、これもゴーストが持ってるので落とさない。
攻略はスターティアラで全滅させる方法を取り、「いささか、もの足りないくらい……。」と書いてるが、ゴーストを説得して風の法衣を取る方法を書いてない。
風の法衣の入手法に気づいてないのか、読者に意地悪してこういう書き方してるのか、あるいはこれもトロフィーで落とすと思ってるのか、どれだと思います…?
サターン版p265ではトロフィー欄の風の法衣を削除し、スターティアラで楽勝できることを書いた後で「……などど書いてしまっては、開発者の「ひっかかったな」という声が聞こえてきそうだ」と、実は説得でアイテムが取れることを追記。ひっかかったのは誰なんだか…
神秘のハンマーもだけど、これは設定ミスだと仮定すれば、作者の意図した引っ掛けではないですね。
p171(サターン版p282)
オウガシリーズと暗黒魔道器シリーズをセット装備するとそれぞれ攻撃力、防御力が999になると書いてあるが、固定で999になるわけではなく、低レベルのキャラクターだと防御999に達しない。
参考:セット装備
こちらでも誤りを指摘されており、見かけの数値は上がっても耐性の低下なども起きているそうだ。
p174(サターン版p286)
ガーディアンの写真を掲載し「一見グリフォンやゴーレム、ドラゴンにコカトリスに見えるが」としてるが4種のガーディアンにコカトリス型はいない。
サターン版では写真を撮り直してるが(SFC版と同じ場所でも全てセガサターンの画像になっている)、キャプションはそのまま。
ゴーゴン
「仲間になりづらい。2回以上説得する必要がある。」とあるが別に一般人と差はないと思うが…
サターン版p292では「仲間になりづらい。HPをかなり減らしてから説得するように。」と記述が修正されているが、普通と違わないよな…?
p182(サターン版p304)
神秘のハンマーの入手場所「死者の宮殿」と書いてあり入手不可と書いてない。このページはサターン版でも直ってない。
p184(サターン版p306)
吹矢「抜群の命中率を誇る」とあるが特にそういう差はない。
p192以降 人物・地名・用語事典(サターン版p323以降)
既に何度か妙な記述に触れてきた用語事典。ここまで指摘した以外にも、ライターの主観が強く出ている箇所がちらほら。
エレメント(属性)
「クラスチェンジ以外に意味なし?」って謎の記述。言うまでもなくエレメントは地形相性、属性攻撃の威力に大差がある。
確かにドラゴンのクラスチェンジにも影響するが…
アラインメントと間違えた?アラインメントも他の影響あるから、それもおかしいよな。なんだろう…
ジルドア(障碍)
「しょうがい:障害と同義。法律用語。」としているが違う。むしろ法律は「障害」表記をしている。調べずに書いてる用語が本当に多い。
参考:障害、障碍、障がい その表記の違いはいつから?
神竜騎士団
「デニム部隊名をCOM任せにするとこの名前に」としているが、これはデニムの誕生月で変わる。誕生日までデフォルトの1月1日(神竜の月1日)にしてると神竜騎士団になる。
チャージスペル
「装備するのはMPの高いユニットが効果的」としているが回復量は術者のINTで決まり、MPは関係ない。
ブルースパイラル
「スパイラルとさほど変わらないがMPを大量に奪うという特徴を持つ」とあるがスパイラルって何だ。トルネードの間違い?
3冊目『サターン版 タクティクスオウガ 公式ガイドブック』
リバーヒルソフトのセガサターン版の発売にあたり、1冊目と完結編の内容を合わせ、一部加筆を行ったものが97年に発刊されている。
追加された情報として、前述したが一部キャラクターのイラストとプロフィール、ラスボス1個前のバトル、禁呪探索のマップが追加されている。
Cルートのシナリオパートは削除。
ここまで見てきた通り、前2冊の間違いの幾つかはセガサターン版で修正されているし、ほったらかしのものも目立つ。
そして、既に一部は触れたが、もともと間違ってなかったのにサターン版で新たに追加された間違いも少しある…中には致命的なものも…
p119
フォリナー四姉妹の全員が仲間になるのはカオスルートのみと書いており、「4つの召喚魔法を、それぞれのエレメントに振り分けて装備できるのも、このルートならではだ。」と書いてるがNでも全員揃う。
Nだと問題のセリエの加入レベルが高いので、魔法系にしたい本書の意向には沿わないが。
p137
ガンプが連れてくるグリフォンとコカトリスに「ペトロクラウドはほぼ無効」としているが、正しく完全無効と書くべき。SFC版の同じマップ(完結編p57)では「石化することはない。」と明記してあるのに、わざわざ間違った修正をしている。
p164
Nルートのデスナイトについて「強烈な一撃を受ける前に、イクソシズムで天国に還してあげたい」と衝撃の記述。絶対効かないぞ。
SFC版(完結編p84)ではイクソシズムが効かないことは明記してあり、いったいどうしてこんな間違いを?
p247の死者の宮殿のデスナイトにはイクソシズム無効って書いてる(SFC版では書いてない)のに…
余談だがNルートのデスナイトは本名書いてるのに対し、死者の宮殿のデスナイトの名前は伏せられている。
p179
無血開城は忠誠度に一切影響しないとあるが、戦うとカオスフレームが下がるらしいのでまあ無関係ではないよね。これも本書がカオスフレームの存在を知らないことの裏付けになるだろう。
p183
カマンダスガンを最強の銃と書いているが、威力だけならアッサルトのほうが上。
p199
ウェアラムの町の攻略。飛行アイテムの購入を促す記述が加筆されているが、オークションで買えるのはウイングブーツではなくウイングリングの間違い。
p215
上のほうで書いた通り、死者の宮殿B4とB50のアンデッドのトロフィーは、サターン版ガイドでは削除している。
だが新たに掲載されたゲルド砦のバトルについては、ゾンビの所有する死者の指輪と聖なる指輪をトロフィーの一覧に載せている。もちろん入手不可。
p251
死者の宮殿はレベルが上がらないので敵ユニットを倒して忠誠度を上げるのに使えるとあるが、死者の宮殿の大半の敵の民族は「不明」で、殴っても倒しても忠誠度は増減しない。民族を意識しないと意味がない記述。
p282
強化版デネブが「禁呪・スーパーノヴァを持つ」と書いてるがストライクノヴァの間違い。
これは本書巻頭付録のキャラクターカードにも「禁呪・スーパーノヴァを所持している。ヴァレリア島では封印されている禁呪を、独自のルートで入手していることからも」と書かれており、ただの誤表記ではなく普通に誤解していることがわかる。
p290
エンジェルナイトはレベルアップでSTRが下がるという謎の間違いがサターン版では修正されている。
それはいいが、代わりに「アンデッド系には無類の強さを発揮。」とあるが、これも何のことだろう…
イクソシズムが使えて命中がまあまあで空が飛べる、程度の利点はあるが、まさかこれが完結編で匂わせてた謎の正解なんだろうか…
p309
SFC版では「敵装備品。」と書いてあったウイングブーツの入手場所が「死者の宮殿」に変わっている。確かにB50の敵の説得で取れるが…同じ方法を使うならウェアラムの町でも取れる。
p323以降 人物・地名・用語事典
完結編とほぼ同じ内容の用語事典だが、サターン版でギルバルドについて加筆されたほか、なぜか項目名のミスが増えている。
「暗黒系魔法」
「暗黒騎士団のコマンドのみが持つことを許される(もしくは、暗黒系魔法をマスターしないとコマンドになれない)」と、SFC版では「暗黒騎士団の必殺技」という項目名だったものが、「暗黒系魔法」に誤修正されている。
彼らの技のうち、ランスロットらの暗黒属性のものに限ってはヘルプで「暗黒系攻撃」と表記されてるので、これを誤認したのだろうか。
「オズ・モー・グラシャス(暗黒騎士)」
姉と弟の両方の項目がオズになっている。
「グルーザの神殿」
同じ項目が連続。片方の内容は「グリムスビーの町」の誤り。
そして…
以上、ゲームシステムの理解不足、シナリオの偏った解釈、データの読み間違いと、様々な方面からの問題を指摘した。
気付いたものは重箱の隅的なものも書き出した。
間違いとは言い切れない微妙な記述も挙げた。完全な間違いと言える比率は黒本ほど多くないと思うが、たんなる誤字とかではない、見過ごせない問題もあったと思う。
後年の解析サイトによる知識がなければわからないものもあったし、当時でもすぐわかったものもあった。
僕自身タクティクスオウガはそこそこやり込んだが、解析を続けている人たちと比べて特別詳しいほうでもない。その僕が気づいただけでこれだけあるのだから、もっと詳しい人が調べればまだ重要な問題は出てくるかもしれない。
間違いの特徴としては「忠誠度は首尾一貫した選択」や「VITでオーブの威力が上がる」が典型的だが、「妙な仮説をもとに、追検証が不足したまま事実のように書いている」と思しき記述がちらほら見られる。
クエストの責を問う
一方、この「公式ガイドブック」に、クエストは全面的にデータを提供していたことがわかる。本書はゲームで参照不可能な敵リーダーの忠誠度も全て掲載しているし、ランダムで変わる敵ユニット、Lルートバハンナ高原に出る「民族つきホークマン」「Nのプリースト」のような不自然なユニットも正確なデータを掲載している。
もちろんシェリー加入のような隠しイベントの条件もきっちりメーカーから聞いたものだろう。これは典型的にメーカーから流された情報そのまま使ってる本であり、情報が充実しているのは、クエストがそれだけたくさんのデータを提供していたからだ。
ライターの私見による記述から目を背けて、純粋なデータ集として使えば今でも有用な文献である。
…クエストの提供したデータに間違いはなかったのか?
たとえばクラッグプレスの効果が不正確なことや、最初の質問によるパラメータ変化の法則が一切書いてないこと、テラー効果がCのユニットには無効であること、4章デニムの成長率がクラスと無関係にロードと同じになることなど、本書には重要な情報の不足がかなりあるのだが、これは単にクエストが教えてくれなかったからじゃないのか。
はっきり見える例として1冊目p21(サターン版p25)
魔法の有効範囲について、INTとMENの合計値が150、300で範囲が広がる、ということが書いてある。正確な数字だが、これは実戦で特定するのはかなり困難だ。つまりクエストから教えられた数字をそのまま載せているだけと考えられる。
この数値は天候によってさらに変化する。p19(サターン版p23)に天候によって攻撃範囲が変わることはちらっと書いてあるが、こちらは正確な数値を書いてない。教えてもらってないのだろう。
あるいは、クエストから一部実装と異なる企画書のようなものがうっかり渡されていた可能性は?
たとえば天候抵抗について。アマゾネスなど天候抵抗の強いクラスは「天候と関係なく常に性能アップしている」という、ミスと思われる設定がされているのだが、気づかなくても仕方ないし、クエストも気づいてなかった可能性が高い。はっきり言って微妙な差なので検証も難しい。本書がそれを正確に書いていないのを責めることはできまい。
参考:天気の影響
パワーグラブのSTRもそうだし、忠誠度などのゲームシステムの誤認も、もしかしたら無自覚に間違った情報を伝えられていた可能性もある。
カオスフレームの公開については、松野奏己氏が以前言及している。
時期が来れば隠しコマンドについて情報公開する可能性があったことを明かしているが、裏返せばある時期までは隠蔽する意図もあったことがわかる。本書のライターに対しても、存在自体が隠されていたと考えられる。
ではカオスフレームの関わる隠しエンドについては、どのように情報公開されていたのだろう。
本書がギルバルドを実際には見ていないことは指摘した通りだが、「ギルバルドがゲーム内にいること」「バッドエンドであること」はクエストから聞いていたのだろう。そこは書いてある。
もしかしたらカオスルート限定のエンドだと誤認しかねない情報も、クエストからもらっていた?
それとも、クエストの担当者も詳しい条件を把握していなかった?
(Cルート限定ではないが、やや条件を満たしやすいのは事実である。ヒントとして出したものが答えと誤認された可能性はある…)
存在しないカノープスとの再会シーンについても。
ギルバルドがヴァレリア島を訪れる、という設定があることだけ伝わっていたことは、本書から確認できる。
まさかそれが存在しないシーンについての設定だったとは、気づかずに書いたと…
逆に、エンジェルナイトなどの事例からクエストは初期値と成長値の完全なデータ、正しすぎるデータを提供していたと考えられるが、その読み方を伝えていない。
現在の解析サイトと同等の情報があっても、それを本書は正確に読み取ることができなかった。
こうした大量のデータを渡すことで、ライターが混乱することに思い至らなかったか?
そして、間違いが掲載されるのをクエストは止めようとしなかったか?
公式ガイドブックは3冊も出たのだ。途中でツッコミを入れるタイミングは何度もあったはず。解析までしなくても、パッと見でわかる間違いはかなりあったが…
既にSFC版で間違えている箇所が、サターン版でそのまま流されていくことを、クエストはどう思っていたのだろう…?
(※サターン版の攻略本は監修がリバーヒルソフトとなっており、クエストがノータッチの可能性は否定できない)
本書の誤りの原因について、一部はクエストに疑いをかけることはできる。
今回読み直して思ったが、クエストは完璧に近いデータを渡しながらも、部分的に不完全な情報も伝えている可能性は高い。
それは実はクエストにも悪意があって、編者に理解できるはずがないデータを渡しているという可能性、なかったとは言い切れないと感じた。
そうでなくても、明らかな間違いが放置されていることから、クエストおよびリバーヒルソフトが本書の内容をちゃんとチェックしてないだろうとは言える。「公式」ガイドブックの名で出すものなんだから、もう少し真面目にチェックしろとは言いたい。
だがそうしたメーカー側の立場とは関係なく、編者がわからないことを見てきたように書く必要はない。ギルバルドエンディングを見つけられなかったのなら、正確な条件は内緒だと書けばいい。
FFT黒本に至る前に、本書の不正確な記述、そしてその編集姿勢はもっと深く批判されるべきではなかったのだろうか。
ギルバルド発見までの道
サターン版の公式ガイドが発売する97年までの間に、パソコン通信時代のニフティの会議室ではかなりの攻略が進んでいたと伝えられる。成長値の調査、どう考えても無理な隠しイベントも発見され、攻略情報は揃っていたという。
ギルバルドも95年には既に発見報告があり、96年にはその条件としてカオスフレームの存在も仮定されていたという。ただし、その時点ではまだ断定はされていなかったようだ。
参考サイト
ニフティの会議室から生まれた「パルチさん会議中」という同人誌があり、参加した方のpodcastがありました。こちらの情報で、発売後の隠し要素の発見順序がかなり明確に把握できます。
公式ガイドブック完結編の発売前、ギルバルドより後に発見された隠し要素も多いようです。
公式ガイドブックは、こうしたニフティ方面の情報は全く見ていなかったのだと判断する。だからゲームシステムの理解も不十分だし、実際のギルバルドエンディングのぼんやりした条件さえつかんでいないし、内容も知らなかった。
ニフティのタクティクスオウガ特設会議室は96年には終了。
インターネットでは、ニフティの研究が引き継がれたのかはわからないが、調査は続き、97年には民族別の友好度(カオスフレームと呼ばれていなかった)が条件であることはほぼ確定…という順序のようだ。
「Meet Guilbult」というページが情報を集めており、ニュースグループでも情報収集していたそうです。
98年ごろには完全に条件が解明され、解析系サイトのオウガ・オーグが正確な情報を書いた。
しかし97年前半に出たサターン版ガイドの執筆時には、まだそうした情報は届かなかったのだろう。
なおCルート限定であることを匂わせる本書の情報についても、97年のインターネットで検証対象となっており、否定されていたのを見つけた。完全に余計な情報だった。
公式サイドの情報公開もまだ続いており、電撃NINTENDO64の98年7月号に新たにヒントが掲載されていた、という情報も見つかった。
ただし、そこで公開された条件は忠誠度を上げることと、全民族を加入することであり、やはりカオスフレームについては未掲載だった、とのこと。
忠誠度を上げるとカオスフレームが上がる場合もあるため、初期の調査では条件としてよく検証されていたのだが、基本的には無関係であり、クエストはまだ正しい情報を解禁していなかった、らしい。
松野泰己がクエストに残していったらしい隠しコマンドの情報が、公式側から公開されることは最後までなかった。
攻略本にも意見を出していたという松野泰己、クエストに在籍していたら、解禁されていく内容も変わっただろうか…?
失われていたカオスフレームの隠しコマンドは2014年に広まりましたが、匿名掲示板で発見報告があったのは2006年だそうです。スレの場所は知らない。
黒本との明暗
この公式ガイドブック、これほどの間違いがあるにもかかわらず、どちらかといえば世間での評価は高いようだ。実害の出ている記述もあるのに、それほど批判はされていない。
確かに言えるのは、データ集としてはかなり完璧なことだ。現在の攻略サイトでも、全バトルの民族まで完璧なデータを掲載しているものはない。
4章の隠しイベントも掲載。味方ユニットの成長値も全て正確。そして各種公式イラストも網羅。
公式ガイドブックとして期待されるものは全て掲載している。読みにくいレイアウトということもなく、ここは全く完璧な本だと言える。
本書の高評価は、クエストが与えたデータが完璧であり、それを適切に本にまとめたことによる。
攻略だって、全体を見ればそんなに大幅に間違ってるとは言えない。確かに途中からペトロクラウドと召喚魔法ばっかり書いてるページが続くが、このゲームはそれで何とかなるので。
ところどころデータだけ見てエアプで書いてるとは思ったが、それが確信できる記述は上記で紹介した一部のみ。
ユニット評価の微妙なところも、個人の感想としては間違いとは言いにくい。ナイトやヴァルキリーが低評価なのは本書に限った話でもない。
用語事典の軽い記述も…こういうジョークめいた記述のある攻略本は、どっちかというと評価される傾向はあったな。
個人的に言わせてもらえば。
本書の間違い、インターネットで調べなくても気づくようなものが目についており、当時でもなんだかなとは思ってた。
本書の間違い指摘は現在に至ってもそれほど盛んでない。これは黒本の批判が行き過ぎているのではないか、と前々から思っていた理由でもあるが、一方で本書の批判も足りてないのではないかとも思う。
すぐわかるような間違いが多いので、実害が出る記述が少ないというのもあるか。
神秘のハンマー手に入ると思ってイクソシズムかけたプレイヤー、いないとは思わないが。源氏と違って1発で確認できるので、大した被害は出ないのだ…
私もどうせ手に入らないだろうと思いつつも、念のためそれをやった、せざるを得なかった記憶はある。あまりにも堂々と手に入るように書いてあるからさ…
ゲームの高度化
ファミコン時代の攻略本を思い出してみれば、パッとわかる間違いが目に付くもの…意外となかった気はする。それと比べて本書にすぐわかる間違いが多い理由、それ自体も思い当たる。
ひとつは、1冊目の発刊時期。95年10月6日発売のゲーム本編に対し、10月26日初版発行とある。
9月退社とされる松野泰己氏が攻略本に意見を出していたようなので、退社する前には攻略本の執筆は始まっており、相当きついスケジュールで書かれていると考えられる。それで載せなくていいネタバレ範囲のスペシャルが載ってたり、ストーリー解釈が微妙な記述に…
攻略に使われたソフト自体は製品版と同じものが提供されていると思うが、そこもわからない。
もうひとつ上げられるのは、この95年後半はSFCも終わりが近づき、ゲームの複雑化のピークにあったことだ。
タクティクスオウガは大容量のROMに膨大な量のデータ、メッセージが詰め込まれている。特にテキストデータの量は桁違いに多い。それによって紡がれる長いストーリー。スーパーファミコンでは異例の難しい表現、言葉使い。ストーリーに対して下手な解釈を書いてしまうというのは、ゲーム側が高度になってきたせいもあるわけだ。
いや高度ではあっても、難解なストーリーというわけではないと思うが…
ヴァイスを極右国粋主義と判断…ううん…
データの量も膨れ上がり、攻略本も分冊しなければならないほどの情報量があった。
間違いが多い理由のひとつは、純粋に量が多いせいもある。
サターン版ガイドは340ページほどある。p4には「辞書のようなヴォリューム」になったことへの釈明が書いてある。当時としては分厚い本だったのだ。
この少し後には、もっと厚い本が台頭してくるが。90年代末、ゲームの複雑化と、それに耐えられる編者が揃いつつあった。
だが95年は、まだその初期段階にあった。
ゲームも長いから遊ぶのに時間だってかかる。Nルートの死者の宮殿までやってられっかという気持ちはわかる。
本書のライターは、タクティクスオウガの複雑さに勝てなかった。
悪い言い方をすれば、ライター側がゲームの進歩に取り残されたのだ。
並行して起きたのがインターネットの発達。本作発売時はまだパソコン通信が最先端だったが、FFT発売までの2年足らずの間にインターネットの普及は進み、本格的な攻略サイトも登場するようになった。
タクティクスオウガは、ライターがインターネットを参考にするだけの環境はまだなかったと考えられる。と同時に、インターネットもまた本書の内容を検証するほど進歩していなかった。
だから本書の致命的な批判は届かず、黒本へと続くのである。
世間での批判
たまには、うち以外でも間違いを指摘してるものもあるんですけどね。
書籍/【ファイナルファンタジータクティクス大全】 - ファイナルファンタジー用語辞典 Wiki*
FF辞典の黒本の記事。クソ記事です。
同じJK・VOICE著ということで話題にしてるわけだが、
>FFTの前身であるタクティクスオウガの攻略本はSFC版当時に上下巻、その二冊をまとめた内容+αのSS版対応攻略本が存在したが、以下の点(いずれも要約)が特に批判された。
>“「エンジェルナイト」はレベルが上がるとSTR(Strength。力強さ)が下がる”
>“「ナイト」や「ヴァルキリー」はAGL(Agility。素早さ)の伸びが悪いのでいらない。素早い「ニンジャ」「アーチャー」こそ至高”
と書いてるが、まずAGLじゃねえ。ゲームでも公式ガイドでも素早さの表記はAGIで完全に統一しており、ツッコむ側が間違えてる。
「特に批判された」って、どこで批判してたんでしょうね。ユニット評価には多数の問題点があるのに、この2点だけが特に批判されてたと?
エンジェルナイトのSTRについては本記事で指摘した通りの意味わからん間違いだが、AGIは公式ガイドでは過度に重視してない。
上記で述べた通り、本書はAGIとWTの関係を見逃してるから。そしてAGIの低いクラスであってもドラグーンやテラーナイト、セイレーンなどは高い評価だ。
もちろんWTはそれなりに重視しており、ニンジャとアーチャーの評価の理由としても書いている。
だがナイトの低評価については、遅いのも理由だが、むしろ防御に優れるバーサーカーとの比較がされており、それは妥当な評価でしょうね。
ヴァルキリーの低評価も、WTについては書いておらず(実際ナイトと同じくらい遅いんだが)、攻撃力がアーチャーに劣ると誤認してるせいだ。
逆にアーチャーはAGIだけでなく普通に強いので、高く評価して当たり前だろう。本当は攻撃力でヴァルキリーに劣るけど、それで十分な威力は出るのがアーチャーの強み。
その点ではニンジャは気をつけないと弱いが、そこを過大に高く評価してもいない。機動力だけでなく弱い魔法が使えることも理由に「序盤必須のユニット」と書いたり、一部の一騎打ちで推奨するなど高評価だが限定的なものにとどめている。
>AGLはドーピングできない能力なので確かに重要だが、だからといって紙装甲なニンジャばかりで編成すると敵の攻撃で瞬殺されるので壁役も大事。
こう書いてる人がいるが、本書にニンジャばかりで編成しろなどと書いている箇所はない。
うろ覚えで捏造した情報に勝手にキレてる。
アンビシオンが入手不可能とも書いていないって、言いがかりも極まってる。入手場所に「ランスロット・タルタロス装備」って書いてあるのを読めば、入手できないという意味だと普通は理解できると思いますが。
こういう人たちが黒本の話を永遠に続けて、情報を劣化させ続けてるというのが現実です。
誰が書いたのか
1冊目の奥付を読むと、編・著はJK・VOICEとなっているが、「構成・編集」の2名の片方だけがJK・VOICEとなっており、もうひとりは違うようだ。
実際2冊目「完結編」はJK・VOICEの著ではないのだ。JK・VOICEからはライターも外れ、「構成・編集」のライターは4人に。4人の中の一人は1冊目の片割れの人が続投しており、前著の体制は引き継いでいたと考えられる。
またサターン版は、編・著はJK・VOICEとなっているが、こちらはライターの名前がない。ファミ通関連の編集者の名前があるのみ。
サターン版の加筆箇所は、誰が書いたというのだろう…?
ちなみにFFT黒本は「企画・構成」と「構成・編集」の担当はJK・VOICE所属の人たちだが、特に問題のある攻略部分の執筆はタクティクスオウガとはまた違うライターの名になっている。表記上は同じJK・VOICE著なのだが、こちらもライターが入れ替わっていたことがわかった。
移植版について
偉そうに書いてきたが、この記事自体もサターン版をやってない(本だけを持ってた)でエアプで書かれた記事だということには注意していただきたい。
サターン版はボイスつきになった弊害でセリフが違うと聞いているが、内容の差は、あまりわからない。サターン版固有のバグも少しあるらしいとは聞くが…
上記指摘の大部分はSFC版の公式ガイドブックから受け継いだ間違いであり、「SFC版のときは間違いだったがサターン版では正しい」という可能性は極めて低い、ぶっちゃけありえないと考えているが…
PS版についての疑問
PS版は違うのかも…?という疑問があるのも事実である。
忠誠度について、上記で参考に上げたサイトのほか、オウガ・オーグにも説明がある。
Ogre.org: 「タクティクス オウガ」の忠誠度
こちらによると攻撃した側の民族と、敵の民族のカオスフレームによって忠誠度が変動し、
>同民族か他民族かということには関係ありません
とあり、さらにガルガスタン人とローディス人は攻撃では上がらないとしている。
だがこれは私のほうでNew3DSのVC版で軽く調査した結果、同じカオスフレームでも相手の民族が同じだと下がる、違う民族だと上がることを確認した。
ガルガスタン人がカオスフレーム50のウォルスタ人に投石を続けた結果、レベルが上がらなくてもそのうち忠誠度は上昇する。逆にガルガスタン人同士だとカオスフレーム50でも下がる。防御側の民族の影響もある。
>すべてソニー・プレイステーション版の「タクティクス オウガ」での解析結果ですので、他のプラットフォームでもそうだとは必ずしも断言できませんが、違っていることはまずないと思います。
結論として、これは間違っていた。SFC版で確認したわけじゃないが、New3DS版と違うとは考えられず、民族の影響はあるだろう。
公式ガイドブックは忠誠度についての記述は不正確だが、民族の影響についてはむしろ正しかった。
…もしかしたら、これはプレステ版だけ違う、移植ミスではないのか。オウガ・オーグの数字はSFC版で同民族を殴った結果と一致しているようだが…
SFC版は3DS版と同じだろうが、PS版は持ってないので、こちらの表の通りなのかは未検証である。わかる方は検証してみてほしい。
PS版については、他にも妙な挙動の情報がある。
機種ごとの違いというか、バグっとる。
PS版についての情報も少ない。伝説のオウガバトルには移植で追加されたバグがあると聞いているが、タクティクスのほうもそうなのかもしれない。
サターン版はどうなのだろう。もしかしたらカオスフレームの仕組みも違って、ギルバルドはカオスルートにしか出ないのかもしれない…?
いや、それはないだろうが。
移植メーカーも違うサターン版、こちらにも固有の移植ミス、もしくは声以外にも移植時のアレンジがあるだろうか。サターン版をお持ちの方はぜひ検証し、本ページに間違いがあれば指摘をいただきたい。
カノープスに会いに来るイベントがあるわけないことは断言できるが。
参考サイト
隠しエンディングの条件を早い時期に発見し公開していたオウガ・オーグのほか、
GCGX(レトロゲーム攻略・解析):タクティクスオウガ 攻略・解析
色々なゲームを極める:タクティクスオウガ攻略・分析
この2つの攻略サイトは非常に参考にしました(タイトルは似ていますが別サイトです)。
いずれのサイトも僕が知らなかった情報が多く、現在も加筆が続いており、大変参考になったことを記載しておきます。
加筆した経緯など
もともと、本記事は2020年にFFTの黒本について書くついでで書き始めたものだった。
本書はその余談として触れるつもりだったのだが、読み返すうちに記憶よりも、そしてネットの評価よりも遥かに問題の多い本だと気付いたため、本書単独の記事としてまとめたものであった。
それが2020年の公開時。
その後2021年ごろにSFC版の攻略本を見直したら、サターン版には無い間違いが出るわ出るわ…
上記の通り、逆にサターン版にしかない致命的な間違いもあった。
このへんをいつか加筆しなきゃらならないなあと思ってて、それを2025年になって加筆したきっかけは…特にないが。
FFTも6月になってリメイクが決まり、黒本についても追記したい箇所は見つかったので、関連してこちらの記事も大きく構成を変更しました。
タクティクスオウガ30周年のついでなどで読んでもらう必要は…ないが…
こんな古い本は忘れてしまうほうが「正義」なのではないだろうか、と思ったりもする。
でも、みんないまだに黒本のこと忘れてないみたいだし…
黒本についての見解は次の記事をどうぞ。
→続き:「ファイナルファンタジータクティクス大全」を真面目に語る気があるのか
おまけ
SFC版タクティクスオウガは「マドゥ」という名前の爪が出てくるが、インドの武器「マドゥ」はファキールズ・ホーンズという角のような武器に盾を組み合わせたものだという。
ぜんぜん爪のような武器ではない。
この武器は新紀元社の『武勲の刃』(1989年)で紹介されているのだが、「バグナク」と近いページに掲載されている。タクティクスオウガはこれを何かの拍子に混同したか、わざと名前を間違えたか…
架空の武器名なら別に構わない気もするが、変なのは事実である。以降のオウガシリーズにはマドゥは登場していない。