自営零細の書籍編集発行所・龜鳴屋は、マニア垂涎の限定本出版社
どんな本が欲しいか?と聞かれたら、僕なら迷わずに限定本、稀覯本と答える。ベストセラー作家のまだ売れていない頃の初版本。知る人ぞ知る詩人の私家本。治安維持法下の発禁文学。マイナー作家の知る人ぞ知る名作。入手困難であればあるほど、欲しくなる。ベストセラー作家の大量印刷の本?全く興味ありません。読みますが。
そんな価値観とピッタリの出版社が今時あるわけない。そう思っておりました。ところが。あるんですネ。びっくりしました。FBのアートブック作家の田中淑恵さんから教えてもらいました。
龜鳴屋さんの弁
ちょうど二十世紀が終わる年、人生、にっちもさっちも行かなくなって、すがるように、一人こそこそ本づくりをはじめた零細自営の版元、かめなくやです。
時流におきやられ、世間から忘れられた作家でも、掬すべき作ありと思えば一冊の本に仕立て、この世にその痕跡をとどめるのが、零細版元の本領。
無名、世評、関係なし。野垂れ死にあり、消息不明あり、ただただわが趣味嗜好のフルイにのこった作家、作品を並び立てたのが龜鳴屋本。
わが趣味嗜好を越えて、他所では出しそうにないけれど、これは本にする値があると踏んだラインナップが龜鳴屋一般本。
まあ、別にどっちがどっちでもいいのですが、それにしても売れなさそうな本ばかり。どこまで行き着けるのやら、末路哀れは覚悟の前。のろい亀の歩みで、鳴き声をあげつづけていきたいと思いますので、どうかご贔屓、お引き立てのほど。
あるわ、あるわ、高祖保詩集、探してましたよ、室生犀星の映画鑑賞日記、こんなのあるんだ。見たことない作家の小説集。限定本じゃないか。なにー!
と言うわけで、まとめ買いしました。
と言う顛末。
いいなと思ったら応援しよう!

コメント
3単純な疑問なんですけど、この出版社ってどうやって経営が成り立っているんすか?本1冊あたりがめちゃくちゃ高いとかなんすか?
本の値段、そんなに高くないんですね。たぶん、夢を食べてるんだと思います。末路哀れと自分でおっしゃってますし。装丁、とても見事です。
なるほど。
夢を…。
バクみたいな方なんすね。笑