タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の差」は?「強気」カンボジアは本当に強いか
カンボジアは威勢よく啖呵を切るが
カンボジアのフン・セン前首相は、カンボジアでは「完全に戦闘準備が整っている」と表明し、タイに「自国の卓越した軍事力を誇るな」「最も厳しい報復に直面するだろう」と警告を発した。 しかし、フン・センの威勢のいい発言とは裏腹に、タイとカンボジアでは軍事力の規模に大きな差がある。 イギリスの国際戦略研究所(IISS)が2025年初頭に発表した世界軍勢評価によれば、タイには「大規模かつ十分資金が供給された軍隊」があるという。 グローバル・ファイアパワーによると、2025年のタイの防衛予算は約57億8788万ドルとされる一方、カンボジアでは8億6000万ドルとかなり低水準にとどまる。 空軍についても、タイがカンボジアを凌駕している。 IISSによると、タイ空軍は「東南アジアで最も装備と訓練の整った空軍のひとつ」とされている。2025年初頭のデータでは、タイは112機の戦闘機を保有しており、そのうち46機がF16系統だ。 他にも、スウェーデン製の第4世代戦闘機グリペンも少数保有している。これらは最新のF35やF22といった第5世代機ではないものの、適切に整備されていれば、極めて高性能とされる。 タイ空軍は現在、古いF16を段階的に退役させ、より多くのグリペンへの更新を進めている。 4万6000人の空軍兵力を有するタイには、グリペンと連携する2機のエリーヤ早期警戒機も存在する。 一方、カンボジア空軍は1500人規模とタイと比べて非常に小規模だ。保有する航空機についても、戦闘機は保有しておらず、26機の各種ヘリコプターを保有するのみだ。 英戦略地政学研究所のジョン・ヘミングス副所長は、「タイ空軍は米国製F16を保有しており、7月23日にはF16でカンボジア軍の拠点を一方的に攻撃した。一方、カンボジアには実動可能な戦闘機は存在しない」と述べている。
空のみならず、陸も海も...
陸軍や海軍についても、タイとカンボジアとの間に差がある。 IISSによれば、カンボジア陸軍の人員は約7万5000人で、約200両の戦車を保有している。その中には、59式戦車(中国製の旧ソ連T-54の改良型)約50両の他、T-54およびT-55型戦車も計150両以上含まれている。 他にも、カンボジアはソ連時代に設計された水陸両用の装軌式歩兵戦闘車BMP-1を70両保有している。BMP1は、現在もロシアやウクライナなどで使用されている。 翻って、タイ陸軍は正規兵13万人に加え、ほぼ同数の徴兵兵も擁している。旧式の米国製であるとはいえ、約400両の主力戦車も保有している。 他にも、タイ軍は空母1隻とフリゲート艦7隻を保有しているが、カンボジアには海軍戦力は事実上存在しない。 ヘミングスは、「タイ軍は中国製のVT4戦車を含む近代的な主力戦車を配備している。一方、カンボジア軍は1950年代に作られたT-54に大きく依存している」と指摘した。 「両国はともに自走式ミサイルロケット発射装置や牽引式火砲などの砲兵戦力を保有している。カンボジアはBM21のような戦後型に加え、1990年代の中国製も少数ある。一方、タイはアメリカ、イスラエル、中国の比較的新しい兵器を使用している」 タイとカンボジアの間には、大きな軍事力の差があるのは厳然たる事実である。ただ、現時点で全面的な衝突には至っていないため、その歴然の差は表出していないようだ。
エリー・クック