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滅びが近い出版業界を復活させる、たったひとつの冴えたやり方

僕が出版業界で働き始めたのは、約20年前からです。西暦2000年当時においては、まだまだ出版界は元気でした。しかし、今の日本の出版は、『死』に直面していると思っています。その理由は、出版不況や紙の衰退、リッチメディアへのトレンドシフト、趣味の多様化など様々な要素が絡み合った結果なのですが、もうひとつ『黒船のコンテンツ支配』を忘れてはなりません。

コンテンツ業界も、製造やIT、物流やソーシャルサービスと同様に、外資の脅威にさらされています。GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)による圧倒的な物量と徹底した効率重視の戦略、旧態のルールを無視したプラットフォームサービスの提供などで、日本が誇る世界でも類を見ない高品質なコンテンツが、統一規格としてカタログ化されつつあります。出版業界は目先に利益に抗えず、メガプラットフォーマーにコンテンツを供給し、気づけばサブスクリプションサービス(定額制コンテンツ閲覧サービス)によって、コンテンツのダンピングが日常的になっています。

もちろん悪いことばかりではなく、支配的プラットフォームに乗せることによって新たなユーザーの開拓が可能になり、一つ一つのタイトルの売上が伸びることにもなりました。しかし、そのハンドリングやイニシアチブは、プラットフォーマーが保持しています。たとえば為替変動によるKindleの一方的な価格変更は代表的なものでしょう。決定権や裁量権が、コンテンツ供給する版元ではなくプラットフォーマーにある現状です。

ビジネスとしては当たり前のことですが、自分たちのような、作家のIPを預かってコンテンツのライセンスビジネスをしているような業界は、この画一的カタログビジネスにたいして、細かく作品ごとの判断をすることができないのは問題です。

いまはまだ、この状況で戦い続けるしかないのかもしれません。しかし、起死回生を狙って動き始めるときでもあると思っています。そうしないと、出版業界は、自分たちが良いと思ったものをきちんと作品として世に出していくことができなくなる。つまり存続しているけれども『滅亡』している……。そんな世界が来てしまうと僕は思っています。それを防ぐためにも、個性的な『面白さ』を生み出す土壌を、今まで以上に育てていかないといけないのです。そうしないと、出版業界の『滅亡』は近いと考えています。

『滅亡』を回避するには、どうすればいいのか――僕が出した答えは、こうです。

『媒体ファースト』ではなく、『ユーザー(作家)ファースト』に徹すること。

今までの出版業界は、自社の利益のために(当たり前ではあります)、『媒体ファースト』で事業を展開していました。媒体とは、レーベルや雑誌、提供するプラットフォームなどのことです。会社というのは、事業を行い利益を生み出し、社員に還元することが命題ですから、これは当たり前の考え方です。ですが、ITによって事業革命が起こった今の時代には、この考え方では負けてしまいます。

なぜなら、今は個人ですらもメディアになれる=媒体を持てる時代だからです。昔は、出版というのは取次と取引実績があったり、ISBNコードの提供を受けることができた、限られた会社のみが行える事業でした。ゆるい意味での免許制度があったと言ってもいいでしょう。ゆえに、本を発売する行為自体にプレミア感、『選ばれた感』があったのです。つまり本という媒体の価値がとても高かったのです。

しかし今は、誰でも本という媒体を持つ事ができ、出版することができます。ここでいう本の出版とは、紙の書籍や有償に限りません。Kindleなどの電子書籍や文章で綴るブログ、小説投稿型ウェブサービスなども含まれます。今までは選ばれたものしか持てなかった媒体を誰でも持てるようになったのです。これによって、媒体の価値は下がりました。

価値が低いものをファーストプライオリティにしても、当然ながらビジネスは上手くいきません。現代では、(有形無形問わず)価値の高いものをファーストプライオリティに持ってくるビジネスが市場では成功します

今、価値の高いものは、媒体ではありません。僕は、ユーザーだと考えています。読者、購入者、閲覧者……その表現はたくさんありますが、とにかく『受け取る側』のことを第一に考えた事業こそが、今の時代は生き残ります。GAFAのような巨大プラットフォームは、当初から一貫してそれを徹底したからこそ今の成功があると思っています。

旧態依然とした『媒体ファースト』ではなく、『ユーザー(作家)ファースト』で展開する出版サービスこそ、滅び行く出版業界で『勝つ』ことのできるたったひとつの冴えたやり方である、と自分は考えています(インターネットユーザーは、情報を受け取るだけではなく発信もする人達=作家とも定義します)。

その具体的なプロジェクトが、本日発表されました。

『ユーザー(作家)ファースト』で展開する出版事業『LINEノベル』です。

常に『ユーザーファースト』であり続けたLINEだからできること。
常に『作家ファースト』であり続けたストレートエッジだからできること。

そのハイブリッドが『LINEノベル』です。

『LINEノベル』の基本となるのは、誰もが読者になり、誰もが作家にもなれる、次世代の小説投稿サービスです。あたらしい出版のカタチがここにあります。

こう書くと、「あれ、似たような投稿サイトはいっぱいあるけど」と思われるでしょう。既存の投稿サイトとの違いは、もちろんあります。主な違いは、以下です。

①LINEという日本国内7000万DLのインフラメディアで展開するサービスであること
②『LINEマンガ』と同様に、いろんな出版社の人気小説作品が『読めば無料』で読めること
③書き手への還元サービスとして、『有料チケット』制度や『広告レベニューシェア』制度があること
④LINEノベルから生まれた作品を書籍化する場合は、既存の大手出版社と同等の印税率を保証すること

⑤『あたらしい出版のカタチ』で、作家が出版社や編集者を選ぶシステムがあること

すこし細かく説明します。こういった投稿サイトはとにかくユーザーの多さが全ての機能を向上させます。
まず①によって、たくさんのユーザーがあらかじめ流入してくるというアドバンテージがこのサービスにはあります。
そして②は『ユーザーファースト』の考え方をもとにしています。あらゆる出版社の人気小説を、『読めば読むほど』どんどん無料で先まで読むことができます。この『読めば無料』を提供するのは、ユーザーが一番求めていることだからです(詳しいシステムはローンチをお待ちください!)。
③は、『作家ファースト』の考え方をもとにしてます。書き手への応援として、読者からのコメントだけで無く、運営を介した金銭的なバックアップをシステム化します。
④は、これは出版オファーを受けたことのあるウェブ小説家さんならご存知ですが、その印税率は通常よりも(なぜか)低めに設定されているケースが多いです。その理由はわかりませんが、LINEノベルから書籍化される作品は、他の小説投稿サービスを展開する各社の一般的な印税率よりも高く、既存の大手出版社と同等の印税率を保証します(もちろん、実売部数ではなく刷り部数計算です)。※書籍はLINEの新レーベル『LINE文庫』と『LINE文庫エッジ』から刊行されます。

そして、⑤が自分たちが伝えたい、もっとも革新的な項目です。

僕達が展開する『LINEノベル』は、より作家の考えを重視し、より創作に集中でき、そしてさらにより多くの人に向けて自身の作品を広めていくために、『あたらしい出版のカタチ』と呼ぶスキームを構築しました。

小説投稿サイト『LINEノベル』には、ユーザーからたくさんの小説がアップロードされる……はずです。読者としてのユーザーはそれを閲覧して楽しみます。たまにコメントをして、作者の方と交流するといったこともあるでしょう。『LINEノベル』にはランキングもあるので、人気小説は上位にランキングします。読者もより一層増えるでしょう。

そうすると、この作品を自分の版元で書籍化したいという編集者が出てくるはずです。

作者にとっては書籍化はより多くの人に作品が広がるチャンスになりますし、読者にとっても自分の好きな作品が羽ばたいていくことは嬉しいことだと思います。編集者にとっても、新しい才能を発掘できることは業界にとってとてもプラスです。

『あたらしい出版のカタチ』は、書籍化のスキームを抜本的に改革します。

※ここからはやや専門的になります。ご容赦ください……!
LINEノベルの小説投稿サービスに掲載した作品をスカウトしたい場合、(版元であるLINEではなく)弊社ストレートエッジが『エージェント』窓口として立ち、エントリーがあった各版元からの出版プロポーサル(提案書)をとりまとめ、作家さんに弊社レビュー(経験則からの感想)と共に提供し、選択してもらうシステムを採ります。

これはあくまで『暫定』エージェントであり、LINEノベルに掲載し、そこに出版オファーが来たらストレートエッジとエージェント契約を強制的に結ぶシステムではありません。

今までの、『小説投稿サイトでスカウトされて作家としてデビューする』という道のりにおいては、有象無象の怪しい編集者や、うさんくさい出版関係者も中にはまじっており、作家本人がそのセルフコンサルティングと声をかけてきた人間の見極めをする必要があります。

しかし、交渉する知識もリーガルの経験も余裕もない作家にこの作業を強いるのは酷です。印税は何パーセントが妥当か、出版契約書ではどういう権利を版元に付与し、どういう権利は著者側にホールドしておくべきか、海外翻訳版や電子書籍の扱いはどのように考えておくべきか……。本来は、版元の編集者がそのあたりをレクチャーしたりトリートメントし、作家をアシストしてくれていたのですが、投稿サイトからのデビューですとそういったことに期待はできません。

『作家ファースト』の『あたらしい出版のカタチ』では、そのあたりもフォローし、そしてオファーが来た作品を一番良い媒体でデビューさせる、というのがコンセプトです。『LINEノベル』の売りの一つは、ここにあります。

そして、この『新しい出版のカタチ』のポイントは、提携する編集部(レーベル)をある程度厳選させていただいているところです。

前述した投稿サイトからのデビューシステムでは、良くも悪くも有象無象の出版オファーが大量に舞い込み、ピンからキリまでの内容を吟味もできず、またエントリー期間などの調整もすべて作家個人がしなければならず、その処理だけでもクリエイティブを阻害するものでした。

そのフォローを弊社が担い、そして投稿サイトからのスカウトに散見される『使い捨て』のような作家デビューではなく、版元の編集者たちが責任を持って、良いと思った作家に声をかける、そういったスキームを作っていきます。

信頼のおける編集部(レーベル)については、この『あたらしい出版のカタチ』の趣旨に賛同いただけた方々と提携させていただきました。

以下のレーベルの方々です。

電撃文庫
講談社タイガ
新潮文庫
新潮文庫nex
集英社j-books
文藝春秋
宝島社
スターツ出版文庫
野いちご文庫
実業之日本社
東京創元社

上記のレーベルを持つ出版社、そしてLINEノベルの出版部門の全社が、皆様が投稿した作品へ出版依頼をするかもしれません。そのオファーを受けるかどうか、どの版元から出版するかは、作家であるあなた次第というのが『あたらしい出版のカタチ』の売りであり、『ユーザー(作家)ファースト』のサービスの真骨頂です。

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もちろん他にも、世の中にはきちんと『作家を育てる』ことを意識した編集者が集まっているレーベルもたくさんあります。ですから、このチームメイトになってくれるレーベルをもっともっと増やしたいと思っています。数が増えれば増えるほど、デビューのチャンスも広がります。

今後、LINEノベルならびにストレートエッジが、各社様に誠意をもって提携のお誘いをさせていただくつもりです。ですので、もしこのスキームにご賛同いただける版元の編集部/編集者の皆様がいらっしゃいましたら、ぜひご一報ください。具体的な説明をさせていただきます。

今の時代は、呉越同舟などと言っている場合ではありません。敵は、狭く閉鎖的な日本の出版界にはいません。打ち倒すべき敵は、外にいます。それらは巨額な資本と外資的掟破りを得意とする巨大なプラットフォーマーであったり、youtubeやTikTokなどの娯楽時間を占有するソーシャルメディアであったり様々ですが、滅亡に向かう出版業界で起死回生の一手を打つのはこの『あたらしい出版のカタチ』だと、僕は信じています

もちろん手を取りにくい事情があるのもわかってます。しかし、一方の手では握手をし、もう一方の手では殴り合うというのがビジネスです。折り合いをつけ、組めるところは組み、相反するところは戦う、それでいいと思うのです。打算でも構いません。手を組むことができたなら、そこから新たなカルチャーがきっと生まれます。僕はLINEノベルにそんな『あたらしい出版のカタチ』という将来像を見据えています。出版社の皆様、『狡猾に』LINEノベルと手を組んでいきませんか。お待ちしています!!

『LINEノベル』のサービスはこちらです。

『LINEノベル』から刊行される文庫レーベル創刊情報や、

『LINEノベル』のために制作されたオリジナルアニメ映像賞金300万+書籍化+映像化の『令和小説大賞』のお知らせなど、たくさんの『驚き』が詰まっていますので、是非チェックしてみてください!

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【SEオリジナル】完全新作『LINEノベルプロモーションアニメ ラノベ編』はこちら。

【お知らせ】

その①

LINEノベルのクリエイティブを統括する『クロスメディアルーム』の新メンバーを募集しています。

これから、『あたらしい出版のカタチ』をLINEノベルにて本格的に展開していくストレートエッジでは、新しいメンバーを募集しています。 
ヒット作を作れば、編集者個人へもインセンティブで報酬が還元されます。加え、専属契約ではないので、今メインで活躍している業界との兼務も可能です。自分の手で名作をプロデュースしたいと考え、このスキームに共感していただける方はぜひご応募ください!!
くわしくはこちらから。


その②

ストレートエッジで働いてくれる仲間を募集しています。

LINEノベルだけでなく、弊社がクリエイトする様々な作品やプロジェクトの方針に共感してくださった方はこちらまでご連絡ください!! 即戦力を求めているので経験者歓迎です!
くわしくはこちらから。

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ピックアップされています

エージェント会社ストレートエッジのマガジン

  • 131本

コメント

4
TenTem
TenTem

LINEでやるには韓国の会社のサービスである点も含まれているし、期待です

老害は思います。どうして横文字や略語が多いのだろう。業界隠語で話し合うのは肝心な部分を知られたくないから?そこに仕組みがあるから?アマゾンがドローン飛ばして山奥に配達すると思いますか?私は出発当初からキンドルを使っています。入っているのは印税切れの古い本か、最近のがらくた本です。読む気がしない。利便性だけでは行き詰まる。これも一過性の現象です。出版社もダンピングするものなくなったら完全に終わります。

夢を渡る小説家イーノ
夢を渡る小説家イーノ

小説投稿SNS+出版エージェントの組み合わせ、すでに実現していましたか。

鷹

今読むと哀しい。諸行無常

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編集者(エージェント)です。イラストは「はいむらきよたか」さん。(株)ストレートエッジ(http://straightedge.jp)所属。
滅びが近い出版業界を復活させる、たったひとつの冴えたやり方|三木一馬
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