べつに陰謀論やオカルトに魅入られているわけでもない人たちに「あなたは洗脳されているのだから、さっさとこちら側に来なさい」と説いても逆効果というか、相手からすれば「自分の思想信条の自由を貶す無礼者」や「既得権益者の手先」に見えるだけで、余計に参政党に力を与えてしまう。
「参政党有利」の状況は、当分続く
結局のところ、参政党の追い風になっているのは、あまりにも影響力や発言権を世の中の各所で強め過ぎた左派言論人と、市民生活を数字的にも体感的にも視覚的にも一変させている猛烈なインフレだ。これらが参政党の最大の支持拡大装置なのだから、ここをどうにかすれば、参政党旋風は大きく後退する。
しかし、現実的にはどうだろうか。左派言論人(これ自体も実際には同語反復的で、この国で言論人として認められるのは左派だけだ)は相も変わらず主流メディアを支配していて異論を持つ人を追い出そうとしているし、インフレが大変な時期に、各党は減税や給付金政策で争っている。インフレ時に減税や給付を行ったらさらにインフレが加速し、円の購買力を低下させ、外国人にとって「安い国」であることを後押しするだけだ。参政党にとっては有利としか言いようがない状況が、当分続くことが確約されているようなものだ。
(1)放送・出版・新聞・雑誌・言論・政治・行政・司法・学問——といった「知」や「情報」を司る領域に、主流派(左派)とは異なる意見や主張を持つ者の席もフェアに用意すること
(2)財政健全性(日本円の国際的信用)を守りながら人びとの可処分所得を増やすこと
これらが参政党の急所だ。
逆に、参政党が自分たちの支持を集めるという観点からすれば、(1)インテリ文化左翼がこれからも世の中の各領域で「主流派」を独占し、異なる意見や主張に排他的な態度を示してくれたほうが都合がよいし、(2)日本の財政がガタガタになって円が暴落し、インフレがどんどん加速してくれたほうが都合がよい。
主流メディアにも「日本人の素朴なナショナリズム」に寄り添う言説が登場して大衆の溜飲が下がったり、あるいはインフレや社保負担問題が解決して人びとの暮らしむきがよくなったとき、ようやく参政党への熱は冷えるだろう。
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