NHK党・立花孝志、堀江貴文と統一教会
2025年参院選では、立花孝志さんが率いるNHK党と統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係が改めて注目を集めました。NHK党党首の立花孝志さんが自ら、街頭演説において統一教会の信者約8万人に向けてハガキを送り、NHK党候補への投票を呼びかけたことを明言したのです。
この8万通というハガキの規模は一般的には立派な支援団体としての選挙活動のレベルです。立花さんはさらに、統一教会系のイベントにおいて講演者として登壇していたことも明らかになっていて、これは選挙協力を超えた、より深い関係性を物語っています。
すでに解散命令が出されている統一教会は、特に、反共産主義運動を起点とした自由民主党・保守傍流である清和研究会との関係が長らく維持されてきました。3年前の安倍晋三さん暗殺事件で改めて統一教会がクローズアップされてからというもの、しばらく日本政治の表舞台に出てくることは少なくなっていました。これを、党利党略の面から水面に引き上げた存在こそNHK党であって、再び選挙の場で公安も含め大きく名前が取りざたされることになったのです。
この立花孝志さんと深い関係にあるのが、大手ユーチューバーで情報商材屋の堀江貴文さんです。当時NHK党の幹事長を務めた上杉隆さん(その後、立花さんらとは係争関係となり離脱)の仲介で2019年ごろから始まったとみられる立花さんと堀江さん両者の関係は、単なる支援者と政治家という枠を大きく超えた、実質的な盟友関係にあります。2020年、都知事選への候補者出馬を模索していたNHK党は「ホリエモン新党」なる政治団体を立ち上げ、堀江氏を講師として招く「堀江政経塾」を開催してきました。さらに2022年、参議院選挙ではガーシーこと東谷義和さん(のちに暴力行為等処罰法違反・常習的脅迫で有罪判決)の擁立に際して、当選後は堀江さんの運転手だった齊藤健一郎さんに議席を譲るよう交渉したとされています。
実際に2023年3月、東谷義和さんの議員除名に伴い、齊藤健一郎さんが繰り上げ当選を果たしました。そして驚くべきことに、齊藤さんの議員秘書に堀江貴文氏が就任したのです。実際、齋藤健一郎さんのSNSには「秘書はホリエモン」と明記されているだけでなく、齊藤さんは2022年にNHK党の副党首にも就任しており、これらの事実は、堀江氏がNHK党の単なる広告塔ではなく、党の中枢に深く関与していることを示しています。
つまり、統一教会と深い関係にある立花孝志氏が党首を務めるNHK党において、堀江貴文氏は副党首であり、かつ同党所属議員の秘書でもあるという、極めて密接な関係にあると見られます。ごく最近も、立花さんは「NHK党はホリエモンこと堀江貴文さんの考えを具現化する為の政党である」とまで喧伝していました。言い換えれば、堀江さんの考えを統一教会でかき集めた票を使って実現するという意味にもなるわけで、著名な情報商材屋にすぎない堀江さんの思想や政策をNHK党議員が実現せしめようとするのであれば問題です。
このような背景を持つ堀江さんですが、対外的には第三者的な立場を装い、様々な政治家を集めてインターネット番組を手掛けています。実際に、堀江氏は「堀江貴文イノベーション大学校」と標榜する団体のイベントにおいて、執行猶予中の身でありながら有害な活動を繰り返している立花孝志さんと対談を行っています。2024年9月25日に開催された赤坂「Talk & Live Bar Shavel」でのイベントでは、堀江氏と立花氏が並んで登壇し、NHK党の広報活動を実質的に担っている様子が確認できます。有罪判決を受けた立花さんの、いわば広告塔、箔付けを堀江さんが買って出ている格好であり、視聴者の多くは、堀江さんがNHK党の副党首の秘書であり、統一教会と深い関係を持つNHK党の関係者であることを明確には示されないまま、これらの番組を視聴している可能性があります。
政治的な議論や情報発信において、発信者の立場や背景は極めて重要で、NHK党に深く関与していながらあたかも中立的な立場から政治を語ることは、視聴者に対する重大な欺瞞と言えるでしょう。堀江さんは、自身のNHK党における立場や、統一教会と関係の深いNHK党の広告塔とも言える関係を明らかにした上で、政治的な発言や番組制作を行うべきです。
重要な問題として、立花氏の過去の問題行動も忘れてはなりません。立花さんの政治活動関係で自殺した人物は、みんなでつくる党のボランティア男性や元兵庫県議の竹内英明さんも、立花さんやその周辺の人物による執拗な誹謗中傷や犬笛による騒動を受けた後に自殺したと見られます。竹内さんは兵庫県知事選挙期間中、立花氏から「ありもしないうそ、うわさ話をつくった人」と名指しで批判され、自宅前で「出てこい」と拡声器を使った街頭演説を受けるなど、深刻な嫌がらせを受けていました。
また、兵庫県知事選挙では「2馬力(以上)選挙」と称して、立花さん自身が出馬しながら当選を目指さず再選を目指す知事・斎藤元彦さんを応援するという公職選挙法の趣旨に反する選挙活動を行いました。この行為について、総務大臣からも「他候補の当選を目的とした選挙運動が公職選挙法違反になり得る」との認識が示されています。
さらに立花さんは、兵庫県議の奥谷謙一さんに対して「あまり脅しても自死されたら困るので、これくらいにしておく」などと脅迫的な発言を行い、脅迫と威力業務妨害の両容疑で被害届を提出されています。そして、みんなでつくる党の大津綾香さんに対しても、選挙ポスターで誹謗中傷を行うなど、公職選挙法違反にあたる行為を繰り返して刑事告訴されています。
統一教会の信者8万人にハガキを送って選挙協力を求めるほど同団体と深い関係にある立花孝志さんと、実質的に片棒を担ぐ形で広報支援の活動している堀江貴文さんも含め、現状のNHK党は、もはや通常の政党とは言い難い存在となっています。
折しも、参院選選挙期間中の7月17日に堀江さんのYoutubeチャンネルで放送された『ホリエモンのそれってどうなの!?』では、よりによって自由民主党からは平井卓也さんが出演し、偽情報・印象操作対策で投稿やアカウントなどの「消し込みを行っている」という問題が発言をしてしまいマスコミ沙汰になり釈明に追われる一幕もありました。ただ、堀江さんは統一教会にハガキを出したNHK党の関係者であることはきちんとディスクロージャーされたのでしょうか。
立花さんもNHKをぶっ壊すというシングルイシューで少しでも目立つよう政治活動を続けてきたら、模倣する他のインディー政党の活動量や組織力に負けて衰亡し、堀江さんらのテコ入れだけでは党勢を維持できなくなったので、やむにやまれず票を求めて統一教会に流れていった、ということなのでしょうか。確かに、統一教会も過去の経緯はどうあれ現在の信者は常識的な信仰を守って暮らしている人たちも多いでしょうから、そこを無碍にはしないと思っている面はあるのかもしれません。
しかしながら、立花孝志さんは不正競争防止法違反、威力業務妨害および脅迫の罪で有罪判決となり執行猶予中、また、堀江貴文さんも証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載、偽計・風説の流布)で実刑判決を受けた人物です。ネット社会は緩いので、それっぽいことを言って情弱を集めて票や情報商材で資金をかき集めて仕事になるのかもしれませんが、本来、政治に近づいてはいけないタイプの人たちではないかと思います。
もともとテレビ時代からテレポリティクス、政治討論のエンタメ化やショービジネス化は批判の対象になってきましたが、老いた田原総一朗さんの椅子を狙ってネットで情報商材や名貸しの情弱向けサービスを煽り立てるのと大差ない品質のネット政治ショーに堕したのだとしたら、非常に残念ですね。
現場からは以上です。
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