2年連続最下位…安堵した“クビ宣告” 決めていた中日コーチ辞任「よかったぁ」
高校や社会人などアマチュア指導で「僕のほうがありがたい感じかな」
高校野球、社会人野球などアマチュア指導は自身の勉強にもなっているという。「最近の若い子は、とか、よく言うけど、野球がうまくなりたいっていう本質は昔から変わっていない。そこをどうくすぐって、練習をしていって、うまくなってもらうか。そんなことを考えると面白いですもんね」と、やりがいも感じて取り組んでもいる。 「プロ野球選手でしたら、これ質問しちゃうと格好悪いかなとなるじゃないですか。アマチュアはそういうところもない。特に高校生はいろんな質問をくれるので、あ、こういうことを本当は考えているんだ、もしかしたらプロ野球の若い子でもわかっていない選手もいたかもな、って反省もしますよ。ここから教えないといけなかったかな、とかね。まぁ、比重としては、どっちかというと(アマチュア指導で)僕の方がありがたい感じかな」 今後については「野球が盛り上がっていってほしいなというのは特に思っています。もちろんプロ野球もそうですけど、アマチュアの野球もね。野球をやりたいと思う子どもたちが増えていってほしい。野球ってこうじゃなければいけないとあまりにも強く思っている人もやっぱりいますし、いや、実際そうじゃないんだよということも伝えていきたい」と言葉に力を込める。プロ球界復帰に関しては「今は考えられないかな」と話した。 荒木氏は星野仙一氏、落合博満氏ら多くの恩師に学び、いいところを吸収している。将来は中日監督候補として名前が挙がっても不思議ではないが「監督には魅力を感じないんですよ。今の段階では絶対やりたくないですね。まだまだ何かが足りないような気がする。今はユニホームを脱いでいる間にいろんなことを勉強しながらやっていきたいですね」と正直な気持ちも吐露した。 とはいえ、ドラゴンズ愛も誰よりも強く「選手、コーチで28年もお世話になりましたからね。何か恩返しはしたいと思っています。コーチをやらせてもらいましたけど、まだ何の結果も出していませんしね」とも。選手時代は練習に練習を重ねて成長していったが、指導者としても勉強に勉強を重ねており、外部での充電期間を経て、いずれ機が熟す時も来るのではないだろうか。 熊本県立熊本工への高校受験の時の勉強の日々で継続する力に自信を抱いた。外れの外れながらドラフト1位で入団し「お前が何で……」と言われながらも黙々と練習を繰り返し、代走、守備要員からレギュラーの座をつかんだ。最初のプロ5年間では計15安打だったのが、通算2045安打を放った。グラブトスをはじめ華麗な守備を連発し、足のスペシャリストとしても神走塁で何度もプロ野球ファンを魅了した。 下積みが長い選手に勇気、希望を与え、一流の選手には練習の大事さを証明した。超一流の選手の手本にもなる実直な姿勢が、そのまま荒木氏の現在も続く野球人生に結びついている。「もう1回やれ、って言われたら、絶対やりたくないですよ。次は生まれ変わったら、ホームランバッターになりたいです。走るの、しんどいですもん」と笑うが、まだまだ野球と向き合い、走り続けていく。これから先はさらに指導者としても実績を積んでいくはずだ。
山口真司 / Shinji Yamaguchi