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根津の根付屋 & 花 影 抄 blog

東京・根津にある主に現代根付、立体作品をご紹介しています、Gallery花影抄のblogです。
展覧会や取扱作家情報などを発信しています。

作家便り 2025.6月/大眞(三重)

もうすぐ七月、今年も半年が過ぎようとしています。

5月、根付の師であります元国際根付彫刻会会長、伝統工芸士の中川忠峰氏が亡くなりました。

今年で4回目を迎えた有志で行っている木彫根付展「森羅万掌」の初期メンバー夢峰さん、先生の友達であり根付の巨匠山田洋治さん。ここ数年でご縁のあった根付師が去っていきました。世は無常であると、改めて痛感しました。

2010年、思えば大雨の日、朝刊の地方欄にあった小さな記事が始まりです。中川先生が会長をされていた伊勢志摩木彫会の展示会(現会長は紫苑さん)の記事でした。何気なく家族に「興味あるんじゃない?」と勧められ、車飛ばして会場に。そこにいらっしゃった先生とお話しして、そのまま弟子入り。
そこから約15年。長いようで、あっという間。
正直まだ実感は薄いものの、日常の節々で様々な思い出が浮かびます。
夏の時期なんかは、よく工房でスイカを頂きました。外に出て種を飛ばしながら食べた思い出。
先日子供と同じような事をして、その事をふと思い出しました。
先生は私の人生にとてつもなく大きな影響を与えた存在でした。いままで多くの方と別れてきましたが、なんとも表現出来ない心境です。
こうやって書く事で、その形にならぬ気持ちを少しずつ受け入れようとしているのかもしれません。
先生は涅槃に還られお姿はもうありませんが、それでもこの15年の関係性は残ります。
大切に、自分なりの根付道を歩いて行く事が弔いになるかと勝手に思い進んで参ります。

2012年頃、先生の友達でもう亡くなったカメラマンに先生の工房にて撮ってもらった写真。

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さて、伊勢根付といえば何でしょう。私なんかはやはり「丸鼠」を真っ先に思い浮かべます。次くらいに「草履蝦蟇」でしょうか。蝦蟇ですね。
昔のおかげ参りなんかの土産で木彫蝦蟇はよく用いられたと聞いたような気がします。
「無事かえる(蛙)」
なんて感じですね。
「丸鼠」は下手ながらもいくつか彫ってきましたが、「蝦蟇」は私にとってここ数年の事です。
いや、数匹は彫ってきましたが加速したのはここ数年です。
ありがたい事にこれもご縁。そんな導きを頂き特にここ最近は彫る事が増えました。というより、「蝦蟇」を自分なりにものにしたい気持ちが根にはあります。リアル過ぎず、ほんのりデフォルメした蝦蟇を探究していきたいなと。草履蝦蟇は特に。
やる事やりたい事は尽きませんが、今今を噛み締め精進してまいります。

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そういえばお寺の研修旅行にて京都東本願寺に泊まってきました。

正確には敷地内の同朋会館というところに。ここに来る事で様々な事は他人事ではなく全て自分の問題であると教えられます。外ばかり見ている自分に出あう場所です。迷っている自分に対面します。
煩悩を具足する衆生(生きとし生けるもの)の自覚。
今回は特定の地域のお寺のグループが一般の参加者と泊まり込む研修です。仏法は難しいと皆さんおっしゃいます。
よく分かります。私もそうでしたし、今もある意味そうです。勉強はさっぱりです。しかし、知でなく智で出あう。頭ではなく身で出あう。そういうところに本当があります。
と、私は思ってます。
人生における大きな問題は「苦」とのであい。
どう向き合い、どう理解するのか。どれだけ「自分」から出られるのかが重要であると思います。
仏教自体は様々な歩みで今に届いています。時として伝導する教団も様々な問題を抱え、矛盾と苦悩を内包しています。しかし、仏陀の起こした風はそれでも今、私に届いています。それをどう受け生きるのか。問い直す良い日程でした。
疲れましたけど。

どう生きるか。

様々な出来事を通して改めて考えさせられるご縁を頂きました。

合掌


▼根津の根付屋内 大眞の作品紹介ページ

https://www.hanakagesho.com/nezu-netsuke/netsukeartists/dai/dai_sale.html
  1. 2025/06/26(木) 23:31:44|
  2. 大眞(三重)