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米ハーバード大学の理事会議長、トランプ政権の補助金凍結を批判

  • 中国を含めた他国との技術競争に敗れるリスク-プリツカー氏
  • 外国人留学生の入学を妨害すると他国に流出の恐れもあると指摘

ハーバード大学理事会議長のペニー・プリツカー氏は、トランプ大統領による研究資金の補助凍結が中国を含む他国との技術競争に敗れるリスクを招いていると警告した。同氏はオバマ元政権で商務長官を務めた。

  トランプ政権は、ノースウェスタン大学やプリンストン大学などさまざまな大学への補助金を数十億ドル規模で凍結している。約26億ドル(約3800億円)の資金が停止されたハーバード大学に対しては外国人留学生の入学を妨げようともしている。

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今年ワシントンで開かれたイベントに参加したペニー・プリツカー氏
Photographer: Kent Nishimura/Bloomberg

  プリツカー氏はシカゴで開かれた量子コンピューティングのフォーラムで、一連の動きは先端技術分野における米国の競争力を損なうと発言。「医学や科学の研究が今、攻撃を受けている」と語った。

  また、「中国だけに限らない他国との特定技術分野での競争に勝利することが不可欠だ」と指摘し、外国人留学生の入学を妨げることは他国への流出につながる可能性があるとも述べた。

  イノベーションに焦点を合わせた非営利団体の共同創設者としてイベントに出席したプリツカー氏は特定の大学を指しているわけではないと強調した。

  トランプ政権は2023年10月のイスラム組織ハマスのイスラエル奇襲攻撃と同国による反撃を契機とした反ユダヤ主義への対応が不十分だとして、ハーバード大学への資金提供を凍結している。

  ハーバード大学のアラン・ガーバー学長はトランプ政権の要求の程度を見ると、「その意図は反ユダヤ主義に共に対処することではない」と反発。同大学は政府を提訴していて、連邦地裁判事は今週、政府決定の合憲性に疑問を呈していた。

  同じく凍結措置を受けていたコロンビア大学は4億ドルの補助金と契約を復活させることで政府と合意。プリツカー氏の発言はこの発表の前に行われた。  

関連記事:コロンビア大、罰金290億円などでトランプ政権と合意-補助金再開へ

  マクマホン教育長官は、プリツカー氏のハーバード大学での働きぶりを「最悪だ」と発言。「完全に混乱した形で大学を運営している」と批判している。政府は4月、大学の統治体制や指導部の刷新を要求している。

原題:Penny Pritzker Warns Trump Cuts Threaten US in Global Tech Race(抜粋)

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