ヒ素で成長する細菌発見の論文、サイエンスが撤回 15年前に話題

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小川詩織
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 米科学誌サイエンスは25日、2010年に電子版に掲載した猛毒のヒ素を使って成長する細菌を米航空宇宙局(NASA)などの研究チームが発見したという論文について、撤回すると発表した(https://doi.org/10.1126/science.adu5488別ウインドウで開きます)。

 研究チームは当時、天然のヒ素を多く含む米カリフォルニア州の塩湖「モノ湖」の堆積(たいせき)物から見つけた細菌が、ヒ素を利用して増殖していたとの研究成果をサイエンス誌(https://doi.org/10.1126/science.1197258別ウインドウで開きます)で発表していた。

 生物が生命を維持して増えるためには、炭素や水素、窒素、酸素、リン、硫黄の「6元素」が欠かせないが、この細菌はリンの代わりにヒ素を取り込んでいたことから、それまでの「生物学の常識」を覆す発見だと言われていた。

 ただ、論文の内容を他の研究者が実験で再現することができず、論文の撤回を求める声が出ていた。

 サイエンス誌では近年、論文…

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この記事を書いた人
小川詩織
くらし科学医療部|AI・テクノロジー・宇宙担当
専門・関心分野
宇宙・天文、気象・防災、海洋・船舶