andymoriについて
大学の授業の発表をもとにしているので。
悪しからず。
とりあえず公式情報から。
2007年、小山田・藤原・後藤の早稲田大学出身の3人で結成、東京都内のライ ブハウスで多くのライブに出演 。 バンド名はアンディ・ウォーホルと「メメン ト・モリ」(藤原新也によるインドの写真集)を繋げた造語。
とまあこんな感じです。
ジャンル的にいうとオルタナティブ・ロックとかWikiで書いてあります。 簡単に言うと、ロックンロールっぽいかんじでスリーピースならではの 直球さ? みたいな下手に懲りすぎない素直な音でリズムもメロ ディもわかりやすいので聞きやすいってのが特徴です。
このバンドを好きな理由はいくつかあるけど、 そのうちでいくつかの大きな理由について書こうかなと思います
サウンドの話
まず初めに紹介する僕のお気に入りの部分はVo小山田君の声です。 子供のように純粋で透き通っているような声なのでとても聞きやすいです。 また曲調も軽いロックンロールみたいな感じなのですが、後々でも書きますが その声と音で精神異常だとか血で血を洗う争いの終末とか歌ってて痛快です。
一曲一曲が短くて、それもいい意味でこのバンドの曲を聴きやすくしていると思います。 また、初期のころのドラムの人がとても上手で独創的?なドラムを叩くのでそこにも注目してほしいです。 手数が多くて速いのにリズムがわかりやすい不思議なドラムです。 金で買収されてこのバンドに入っただけあります。(笑)
あとかっこいいのが早口で言葉をまくし立てるように歌われる曲です。 Vo小山田君の純粋な声色の歌声がマシンガンのように たくさんの言葉を打ち出すところがとても心地いいです。 普通だったら早口すぎて言えないようなペースの歌をギターを弾きながら歌えるんですごいです。 また、初期のころのライブだとドラムの人がいつも通りでも早いペースなのに さらに早いリズムで演奏するので面白いくらい早口で歌ってました。 また、基本的にスローな曲でも言葉は結構詰め込まれてて、 そのリズムに乗ってきっちり言葉が聞こえていいです。
歌詞について
これは一番重要といってもいいところです。 先ほどにも書いた通りandymoriの歌は言葉が多く詰め込まれていることが多いです。 その言葉選びのセンスの良さがその歌を歌った時の痛快さを生み出してるのだとも思います。
たとえば2枚目のアルバムであり、第3回CDショップ大賞の大賞を受賞した「ファンファーレと熱狂」では 人身事故、バグダットのボディーカウント、CNNの爆発音、カニバリズム、車いすの死刑囚 なんて暗いテーマを明るく陽気な声で歌う。 ボディーカウントとは、 ある作戦や期間に殺された軍隊の総数を数えることらしいんですけど、 その意味を知らないでその歌を聴くと god bless america(アメリカ万歳!)という歌詞も相まって 実際はアメリカへの皮肉の歌が、とても陽気な歌に聞こえます。
今まで陽気に歌ってた曲の本当の意味を知った時の驚きはとても大きいし、 そこがまた面白いです。 また、意味は分からないがこの歌詞は何かやばそうだから こういう意味なのかなみたいな推測をしながら聞いたりするの良いし、 これには裏があるんだろうなとか思いながらも 陽気にその歌を歌うのも楽しいです。
また、そのアルバムでは 所沢、ベニス、道玄坂、タイランド、アメリカ、バグダット、高円寺など、 日本国内に限らないたくさんの地名が いま思いついたものだけでもこれだけ出てきます。 この言葉選びが、このアルバムを通して異国と日本を行ったり来たりしてるような 不思議な感覚を与えてくれます。
そして、前に述べた過激な歌詞と相まって とてもカオスな世界観になっていますが、 メロディ的には聴きやすくキャッチーなので この感覚が癖になっていいです。 おすすめ!
そして一番印象的であり、僕がひきつけられたのはこの部分です。
それは、実在する特定の人物にむけた個人的な歌や実際にあった個人的な過去を歌っているところです。 たとえば、クレイジークレーマーという曲があります。
これは小山田君の実際の、 そして今はもう亡くなってしまった友達に向けて歌った歌です。 その友達とは鬱になってしまい、混乱した状態で、 薬の飲みすぎで亡くなってしまったらしいです。
その友達にむけて 「クレイジークレーマーそんな目しないで世界で一番お前が正しいんだよって俺が歌ってやるみんなの前で」 と曲中で歌います。 こんなにも個人的な歌なのに関係のない僕の心に響くのは 小山田君の彼に対する熱意が本気だからと思います。 個人的な歌だからこそ思い入れという点で他の歌より強くなって そこで良さを感じるのかもしれません。
そしてこの曲の初めと終わりにはその友達が言ったセリフがそのまま入れられていて、 「もう世の中に対して言いたいことなんて何ひとつありません」 という友達の肉声で曲が終わります。 クレーマーが言いたいことをなくしてしまったらもう生きる理由がない… という最後を意味しているのかもしれません。
小山田君は友達のための歌を作って、 それを歌詞通りにみんなの前で歌って現実にしています。 友達のための歌をこうやってみんなに向けて歌えるのは自分にとってとても斬新で、 またとても素晴らしいと感じました。 だけど、きっとその姿を彼にも見せたかったんじゃないかとおもうと悲しいです。
またベースマンは一番長い間小山田君と一緒に音楽を鳴らし続けた ベースの藤原さんについて歌った曲です。↓ >
「行こうよベースマン3メートル隣で鳴らす夢の続き誰にも真似できないその ステップで」 この歌詞はいつも隣で歌ってきた小山田君だからこそ書ける歌詞だと思います。 「愛してるなんて まさか言わないぜ 風と共に行くだけさ」「なんにも言わない 君の瞳の中」 の部分でを聴くだけで 藤原さんの寡黙であり、またひょうひょうとした性格がみえてきます。
そして「西荻窪 アパートの階段を登る音 ジャンダルムで揺れた鎖の音」 と二人の思い出の過去を歌います。 これを聞くと、自分の体験でなく、andymoriの二人の体験のはずなのに 自分が体験したような気持になってとってもいいです。
「学生会館忍び込んだ夜の星」なんて聞くだけで情景が目に浮かんで もはや体験してないのに懐かしささえ感じます。
そして、優花という名前の小山田君の恋人が歌われる曲が優花です。 おそらくandymoriの曲ではじめてピアノが大々的に使われた曲であり、 andymoriには珍しいラブソング調の曲なので 今までとは違ったandymoriを知れると思います。
「西荻南 アパートの二階 はじめて交わした口づけ」のところが 一番素晴らしくて胸がきゅんってなってやばい部分ですね。 西荻南でその経験をしていないのに自分がまるで経験したような気持になって ウェーイwってなります。
「あの夏の日はアルバムの中」のあの夏の日はきっとその日で、 「帰り道のオリオン座 耳を澄ませたやまびこ 遠くかすんでいく太陽 梓川」 がその帰り道の風景を思い出させる。経験してないのに。 「君の髪と体に触れて甘いにおいをかいだのさ」とかもいいよね。 くそうらやましい。 ふぁっく。
そして優花と何度も繰り返す。 この曲を聴くときも自分の経験はないのに優花に恋しているような、 あの夏の日を思い出してしまいます。 経験ないのに。
優花という個人に向けての歌が こんなにも自分に向けて響くとは思わなかったし、その感覚が新しいと思います。
そして極め付けにPeaceという曲があります。 「大好きなCDをかけてあの頃へ帰ろう まだ恐れも知らなかった無邪気なあのころに」 とはじまるシンプルでパンキッシュな曲なんですが、 この曲は一つ一つの歌詞が全部が全部素晴らしくて全部乗せたいくらいです。
この歌のサビでは「本当の心 本当の気持ち」 とのどがつぶれそうなくらいの絶叫で歌われている。 この言葉はandymoriの歌の中で何度も使われている彼らのテーマの一つです。
そして「恋人よ あなたのことを愛さない日は ない明日も百年後も 好きだよ 好きだよ」 で優花で歌ったような恋人への思いを込める。
「友よ ただ君のための僕でありたかったんだ 君のように美しくありたかったんだ」 これはきっとクレイジークレーマーでの友達に対してにも言っている言葉です。 このことばが胸に突き刺さります。 君のための僕でありたかったけど君を助けられなかった、 そんな悲しみもあるのかもしれません。
「父さんあなたの悲しみを僕は知りたいのです」
そしてこの歌にはもう一つ隠された過去があります。
小山田君には3つ離れた姉がいました。 その姉も早稲田大学に通っており、 福岡から上京して同じ大学に入学した弟の買い物に付き合った日に、 なんだかふわふわした彼を見送りながら 「どうか危ない目に遭わずに毎日を過ごしてほしい。 もう、東京中の人みんな揃って彼に優しくしてほしい。」 とブログに書くほど仲がいい兄弟でした。
しかし、その姉が24歳の頃、アルゼンチンのカラファテという所で交通事故で亡くなってしまう。
当時付き合っていた男性の車の助手席で、車が横転してしまったらしいです。
「姉さん 会いたいよ いつでも思ってるよ」
そんなにも自分を思ってくれた姉の死がどれほどつらいものだったかは 本当に想像もつきません。 誰かを恨んだって仕方がないくらい、 誰かを憎んだって仕方ないくらいの辛さや悲しみがあったと思います。 それこそ事故に関係ある人を恨むことだってあったと思います。 そして、君のための僕でいれなかった自分を恨むことだってあったはず。
それなのに、、、
この曲のタイトルが、、、
Peace
僕は悲しみの過去が詰まったこの曲に 自分の憎しみを超えて世界を愛するために
Peace(平和)というタイトルをつけられるandymoriが、小山田君が大好きです。
「疑った昨日も憎みあった昨日も過ぎた夢じゃないか兄弟」 これは兄弟という曲の引用ですが、 こんな信条を持ってるからこそこの曲がPeaceになったのだと思います。
そして、
愛する人を失うことだってあり得る儚い世界だけど、 「こんな儚い世界の中に信じた歌がある こんな儚い世界の中に信じた人がいる」 という希望を見つけて曲が終わります。 この曲は本当に最高です。
Peace/andymori
いろいろつらつらと書きましたが、これらのように、普遍的でない個人的な歌詞が 圧倒的な作詞センスによって関係のない自分にまで届くようになり、 普遍的な歌詞になる、そんなところが僕がandymoriで一番好きなとこです。
これをみて少しでもandymoriに興味を持ったらぜひ、 他の曲も聞いてみてください。 気に入ってもらえたらうれしいです。
拙い文章でしたが、最後まで見てくれてありがとうございました。
andymori
|