“減税は無意味”竹中平蔵氏があっさり断言するワケ「低所得者はそもそも税金を払っていない」
2万円給付は究極の手抜きだ…竹中氏が石破政権を断罪
――なるほど。 竹中: だからそれを一番楽な、というか簡単な方法で一律2万円(一部4万円)やったということです。毎年いろんな給付をやっているじゃないですか。しかし思いつきで給付を繰り返すのではなく、本来なら制度として給付の仕組みを作るべきです。その意味では、「ばらまきだ」という批判は非常に分かりやすい説明として納得できますよね。 ――ちなみに林さんはこの2万円で何を買いますか? 林: いやあ……一瞬でなくなっちゃいますね。大体僕がいつも行くところは麦茶ピッチャーで5,000円しますから。麦茶ピッチャー4杯ぐらいじゃないですか(笑)。 ――そもそも2万円が必要なのが低所得者層だとすれば、林さんご自身は喉から手が出るほど欲しいものでもないのではないでしょうか? 林: あったら嬉しいし、みんなにあげるんだったら僕にもちょうだいよとは思いますけど。「うーん、2万円か」って思う人は多いんじゃないですか?
“減税か給付か”の壊滅的な間違いとは「非常におかしい」
林: 竹中先生に色々聞いてみたいんですけど、じゃあ今、政府が本当にやるべき政策は社会保険料の削減ですか? 竹中: 社会保険料という制度自体をいじるのは大変ですから、限定的な給付というのはひとつの方法です。ただ私が非常におかしいと思うのは、「減税か給付か」という二元論で議論が進むことです。一番いいのは、給付を含むような税制改革をすればいいわけですよ。 林: なるほど。
単なる減税でも給付でもない…一部野党の政策を絶賛する理由
竹中: 「給付付き税額控除」ですよね。これはいくつかの国でやっているし、野党の一部も主張していますから、この議論をもっともっとすべきです。まあ、財務省は抵抗していると言われますが。 林: 給付付き税額控除、たぶん多くの人がよく分かっていないと思うので、詳しく教えていただけますか。 竹中: 日本の所得税は累進課税で、所得の高い人の税率は最高で55%、低い人は5%や10%、さらに低い人は0%ですよね。この累進構造の傾斜をもう少し滑らかにして、所得が極端に低い人の税率を「マイナス%」にすればいいんです。マイナスの所得税ということは、税金を納めるのではなく、逆にお金がもらえるということです。これが結果的に「給付」になるわけです。