“減税は無意味”竹中平蔵氏があっさり断言するワケ「低所得者はそもそも税金を払っていない」
石破政権の2万円給付案に竹中氏が苦言「目的がよくわからない」
――さて、そんなお二人にまずお伺いしたいのが、最近の政治の動きです。石破政権は物価高対策として「2万円給付」を打ち出しました。竹中先生、この政策は一体どういった狙いがあるのでしょうか? 竹中: 我々はどうしても理屈っぽく考える傾向があるんですが、その理屈から言うと、政策というのは、まず「何を目的としてやるのか」が重要です。景気刺激なのか、物価抑制なのか、低所得者の救済なのか。目的によって手段は決まるはずです。ところが、今回の給付は目的がよくわからない。
“減税は無意味”断言のワケ「低所得者はそもそも税金を払っていない」
竹中: 普通に考えれば、今回政府がやる目的があるとしたら、やはり社会保険料がすごく高くなってきたので、低所得者の人の負担が非常に大きい。だからその人たちを救わなければいけない。もちろん高額所得者、中所得者の人も物価高で困ってはいるけれども、全員を助けることなんかできないから、一番困っている人を助ける、と。 そうであるならば、低所得者の人はそもそもあまり税金を払っていないわけだから、減税しても意味がありません。彼らの負担が大きいのは社会保険料なんです。これは財務省にすごく責任があるんですが、GDPに対する社会保険負担の比率は過去20年で2倍になっています。 これはいわゆるステルス増税ですよね。こども家庭庁を作ったときも、本来なら増税で財源を確保すべきなのに、それが言えないから社会保険料に上乗せしてごまかしてきた。ですから、本当に困っている人を助けるなら、社会保険料を時限的に減らすか、あるいは困っている人たちに限って社会保険料分を給付すればいい。それなのに、なぜか全員に給付する。これはまったく意味がわからないですね。
たった2万円をもらっても物価高対策として意味なんかない
――表向きは米価や物価高騰への対策とされていますが。 竹中: そう言いますが、物価高を抑えるには、なぜ物価が上がり、なぜ賃金が上がらないのか、その根本原因に手をつける必要があります。でもそれはほとんど議論しないで、とにかく2万円。高額所得者の人が2万円もらって、物価高対策として意味があるかというと、とてもそんなことは考えられません。 結局、自民党がなぜあんなことを言い出したかというと、物価が上がったことによって税収が増えたんですよ。別に政府が努力したから増えたわけじゃなくて、物価が上がれば名目GDPが増える。税収は名目GDPで決まるので、知らない間に税収が増えちゃった。その増えちゃった分を「お返ししましょう」というのが趣旨でしょう。