はじめに
TRON(トロン)とは、1980年代に、坂村健が発足したプロジェクトの名前です。
よし今から OS を作るぞーと考えただけで、発足時に動く OS はありません。
Windows 95 の発売の 10 年前に動く TRON など存在していませんでした。
ひーこら頑張って 1990 年代にようやく作れました。
しかし、そのころ Windows はすでに発売されていました。
頑張って作った TRON も普及することはありませんでした。
日本人に Windows を超える OS 開発なんてできませんでした。
どうしてこうなってしまったのでしょうか?
本当は BTRON を区別して書くべきですが、TRON(トロン)に統一しています。
1. 慢心
一つ目の理由は慢心です。日本は米国よりも圧倒的にパソコンの OS の研究開発が遅れていましたが、1984 年、今から開始しても米国に追いつけると慢心していました。
OS はアメリカの発想で研究も開発も全てにおいて日本より 10 年以上先を行っていました。
日本が OS 開発で先行していたことなどありません。
米国で初の GUI システムが誕生したのは 1973 年の Xerox の Alto で、Macintosh や Windows の GUI システムのモデルです。TRON の GUI も Alto や Macintosh や Windows の真似です。
Apple が Lisa、Macintosh といった GUI を備えた一般ユーザーが使えるレベルの実用的なパソコンが登場する中、ようやく OS を作り始めようとしました。GUI ではない MS-DOS になら勝てると慢心していたのでしょう。
しかし TRON は MS-DOS と互換性がありませんでした。最初から MS-DOS 用アプリという膨大なソフトウェア資産を持っていた Windows にくらべて、TRON は使い物になりませんでした。MS-DOS の資産がなくても勝てると慢心していたのでしょう。
互換性を無視しゼロから始めようとした TRON は MS-DOS にすら負けました。
TRON は使いやすく抜群の安定性を誇るなどという主張がありますが、1980 年代に存在しない OS について、なぜそのようなことを言えるのでしょうか? 日本の OS が米国の OS を超えているなど、すべては想像の世界の話でした。
2. 環境の違い
二つ目の理由は環境の違いです。米国は昔から OS の開発を行っていました。最初はメインフレームで 1950 年代には簡易的な OS を作っていました。1960 年には 1バイト = 8 ビットを普及させた、OS/360 という OS が誕生しました。
1970 年代にはミニコンピュータ上で TOPS-10 などの OS が使われていました。1969 年には Unix も誕生し、1975 年には Unix は広く無償で提供されました。TRON はソースコードがなく、パソコンメーカーが自社開発しなければならないので、実質有料、高コストでした。
1974 年には、マイコン(今のパソコンに相当)用の 8 ビット OS として CP/M が誕生しました。1978年には Apple DOS が誕生し、1981 年には MS-DOS も誕生しました。
米国は昔から米国内で様々なメーカーが OS 開発競争でお互いに競っていました。そこに 1980 年代にようやく OS を作り始めても追いつけるはずがありません。
日本政府は、日本に米国のパソコンが参入できないように、教育現場に用いるパソコンに TRON 搭載パソコンだけを指定しました。まだ TRON 搭載パソコンなど存在しないというのにです。ガラケーならぬガラパソで独占しようとしていたのです。
この決定は、当時日本で 90% のシェアを持っていた NEC が反発しました。NEC は MS-DOS を採用しており、すでに多くの MS-DOS 資産を持っていたからです。しかし他のメーカーは NEC に対抗すべく TRON 搭載パソコンに賛同しました。
日本は米国が参入できない環境を作りましたが、それに怒った米国は TRON をスーパー301条の候補に指定しました。日本は教育用パソコンに TRON を指定することに断念し、その結果、TRON 陣営は崩壊しました。
競争によって OS の事実上の標準を作っていた環境と、政府の管理の元でみんなで仲良く TRON 搭載パソコンを作ろうとしていた環境とでは、競争力に大きな差が出てしまいした。政府が余計なことをしたせいで、日本はパソコンを作る技術力を失ってしまったのです。
さいごに
1980 年代に Windows より 10 年進んでいたと言われる OS を日本人が開発していたなんて、空想の物語でした。
TRON は完成しており現在も販売されていますが売れませんでした。OS を作る力のない国産 OS「TRON(トロン)」は今も 30 年前の姿のままです。
いろいろ省略しましたが、内容は大体あっていると思います。
もっと真面目な記事は後で書きます(笑)
いろんなものを参照して記事を書いていると、デタラメばっかり書いているのが目についてイライラするんですよね。さっさと結論を書きたくなったので、この記事は私のストレス発散です。
Comments
ITRONとかμITRONとか
探査機の「はやぶさ」に採用されてたりするやつ?
@X___MOON___X
この記事は雑に書いていますが、ちゃんと書くと BTRON がメインです。Windows と競合するはずだったやつの話をしています。ITRONやμITRONは別物です。
いくらなんでも、もう少し調べてから記事を書いた方がいいと思います。
まずは『孫正義 起業の若き獅子』を読むことからお勧めします。
あと、BTRONは実際に動かしたことはありますか?
文章からは実際に触れてみたという感じがしませんでしたので、一度使用してみることもお勧めします。
まぁ、国を挙げ、仮に一度大成功を収めたとしても、最終的にはガラパソとして消えることになったとは私も思いますけどね。
ただあれほど特異なOSであれば、これはこれで関わった方々に新たなインスピレーションを与えてくれたのではないかと私は思います。
比較する土俵が違う。組み込みをやられた経験はあるのでしょう?また、当時の貿易摩擦やスーパー301条など調べられたのでしょうか?
@hideyama0
では P286 から引用しますね。どの話を加えてほしいでしょうか?
(読みやすさのために漢数字はローマ数字に置き換え。太字は私によるもの。誤字があると思いますがごめんなさい。)
音もろくに鳴らせない今となっては使い物にならない OS を試用するのに 2万円は高すぎますね。代わりに実際に動かした人の意見をどうぞ
あなたは実際に動かしたことはありますか? どういった点がよかったでしょうか? 実身化身がどうとかではなく、実際に使って良かった(実際にメリットがあった)ところを教えて下さい。当時の基準でいいですよ。
@takkymodoki
すでに書いたように、この記事は BTRON がメインです。みんなあまりにも TRON と BTRON と ITRON を区別せずに TRON、TRON と言っているので、みんなの認識に合わせてこの記事は TRON という用語を使うことにしました。
組み込みについては、トロンフォーラムの「組み込みイベントで日本人たった100人に聞いただけのアンケート」は参考にする価値がない。世界シェア一位だとか60%のシェアがあるなどというデータは存在しないと思っており、海外ではユーザーが使用しているというデータは見つからないけれど、それなりには使われているんじゃないでしょうか? データがないのでどれだけ使用されているのかわかりませんね。
@takkymodoki
これを書くのを忘れていました。当時の貿易摩擦やスーパー301条を知りたければこれを読むとよいですよ。
TRONプロジェクトの標準化における成功・失敗要因
https://dspace.jaist.ac.jp/dspace/handle/10119/355
誰に言うわけでもなく、もう一度書きますが、私は ITRON の方はシェアが高いはデータがないしウソやろ?と思っていますが、それ以外は特に問題視してないんですよ。
私がイライラするのは、BTRON が Windows よりも優れていたとか、日本は Windows 95 よりも 10 前に画期的な OS の開発に成功していたとかいう与太話と、それに付随する陰謀論。
古参の組み込み屋です。
申し訳ない。TRONがWindowsと同種のOSとして扱われているのに衝撃的な違和感を感じました。
組み込み屋以外の人にはTRONプロジェクトはBTRONを指すのですかね?
恐らく組み込み屋の中にはTRON≒MPU向けRTOSだと思っている人はけっこう居ると思います。
名前を正確に伝えるって大事ですね。
自分も気を付けないといけない。TRONはプロジェクト名であり、その中にBTRONやμITRONなどの成果物がある。
TRONプロジェクトは、組み込み、通信、汎用OS、ビル管理?、までいろいろあるらしいし。
@sannwao
昔のパソコンの世界を知らない人が増えてきたせいか、TRON = BTRON となっており、日本では TRON という Windows を超える画期的な OS の開発に 10年前に成功していたが、それを米国に潰された。さらに最近は 123便墜落事故でトロンの技術者が乗っていて(一人も乗っていないことが新聞などで明らかなってる)、米国のトロン潰しの一貫で攻撃されたとかいう陰謀論と化していますね。
その陰謀論を後押ししているのが、インベスターZと、その元となったであろうプロジェクトX(こっちはまだ見てない)です。ひどいもんですよ。
総論同感なのですが、各論に気になる点がありましてコメントをさせてください。
メインフレームのOSの開発は日本も60年代頃から始めていたかと思います。「PC用のOS」は開発していませんが、前段ではメインフレームのOS/360に言及されていました。
https://museum.ipsj.or.jp/computer/os/index.html
この文、もう少し深掘りしてご意見伺いたいと感じました。
仮に日本政府が教育用としてBTRONを指定しなければ、当時日本でデファクトだったMS-DOSとNECのPC98が普及したと考えられますが、その場合他のPCメーカーが撤退せざるを得なくなり、むしろ競争力が下がってしまったという推測も成り立つのではないでしょうか。
また、そのNECも結局はMS-DOSを採用していたわけですから、BTRONが教育用に指定されなくても日本メーカーのOS開発力が伸びる効果は無かったのではないでしょうか。
ちなみにメインフレームでは、当時の通産省が主導して、日本メーカーにIBM対抗機を開発させた歴史があるようです。
富士通、NEC、日立などは通産省の支援のもとで開発したメインフレームを中心として企業向けのシステム開発で成長しており、メインフレームがほとんど消え去った現代でもそれらの企業が大企業としてビジネスの第一線にいる事を鑑みれば、当時の政府の判断は正しかったように思えます。
ただ、メインフレームで上手く行ったことが、PCでは結果的に上手くいかなかったのではないかというのが個人的な意見です。
あなたが指しているTRONは「BTRON」です。
TRONは実際はシェア1位です(ITRON、μITRON)
「TRONって組み込みOSでしょ?Windowsと何の関係が?」と思ってたら、
「BTRON」なるプロジェクトの話だったのですね。筆者様と皆さんのコメントにてようやく理解できました。
恥ずかしながら逆に「BTRON」の存在を今回初めて知り、良い機会になりました
なんかコメント来てるようですが、これ書くのに疲れたので明日以降に読んで返信します。
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