中国、「抗日・反日」ドラマが大量生産される本当の理由はこれだ | 勝又壽良の経済時評
2013-02-25 03:13:58

中国、「抗日・反日」ドラマが大量生産される本当の理由はこれだ

テーマ:ブログ
3割は「反日・抗日」ドラマ
日本より中国歴史書が歪曲化

中国で放映される「抗日・反日」映画では、旧日本兵は悪逆非道の輩として描かれている。この「悪魔集団」が、中国赤軍によってバッタバッタと撃ち殺されてしまうのが、「抗日・反日」映画の粗筋になっている。どの反日映画でも全てこうしたストーリーなのだ。もちろん、中国を侵略した日本の責任は何年経っても消えるものではないし、二度と再びこうした悲劇を引き起こしてはならない。これは日本人共通の心情であろう。

それにもかかわらず、戦後67年経って現在でも、相変わらず「日本憎し」の映画を流している理由はどこにあるだろうか。すでに日中友好条約も締結されているというのに、相変わらずの「反日・抗日」を裏に回って仕掛けている魂胆はなんであるのか。尖閣諸島をめぐる中国の好戦的対応は、この「反日・抗日」映画と無縁ではなさそうである。国民を戦争に駆り立てて行くには「反日・抗日」映画は打って付けの舞台装置になっているはずだ。

3割は「反日・抗日」ドラマ
『レコードチャイナ』(2月18日付け)は、次のように伝えている。

①「近年中国では多くの抗日ドラマが放送されているが、2012年の1年間でゴールデンタイムに放送されたドラマは200本以上で、そのうち抗日ドラマが70本以上を占めたと華声在線が伝えている。その勢いは2013年も続いており、中国・浙江省にあるアジア最大級の映画撮影所『横店影視城』の運営会社によると、現在、『横店』では19本のドラマの撮影を行っているが、そのうちの9本が抗日ドラマだという」。

②「新華社通信は公式ミニブログで、『抗日を減らし日本への理解を深める』と題した文章を書き込んだ。書き込みでは、『蛇年になったが、横店影視城では依然抗日を題材としたドラマの撮影隊が多い。歴史問題に加え、釣魚島(尖閣諸島)問題が抗日に勢いをつけているのだろうが、これではお互いを理解し合うことなどできない。中国のテレビにはもっと日本に歩み寄ったものや、日本への理解を深められるものが必要だ。テレビは本当の日本を伝えるべきである』と指摘している」。

2012年の1年間でゴールデンタイムに放送されたドラマは200本以上で、そのうち抗日ドラマが70本以上を占めている。ざっと3分の1は「反日・抗日」ドラマである。政府系の新華社通信は公式ミニブロでは、こうした行き過ぎた「反日・抗日」に冷水を浴びせかけているが、中国社会がいかなるものかを如実に示している。口先では「ニーハオ」などと言いながら、裏に回れば日本批判の映画を全体の3分の1も放映しているとは、理解に苦しむのである。

これには裏があったのである。中国では映画製作では厳しい検閲制度があるので、安心して製作できるのは「反日・抗日」ドラマだけある。この歪んだ中国の政治状況が、中国の映画文化の質を落としているのだ。「文化強国」をつくるというスローガンを打ち上げたのは胡錦涛政権であった。文化産業を盛り立てて大いに輸出産業化させようという狙いであったが、「反日・抗日」映画主体ではその雄図も挫折するほかあるまい。

『サンケイビズ』(2月4日付け)は、次のように伝えている。

③「最近の抗日ドラマは史実を無視したものが多い。寺院の尼僧が抗日ゲリラ部隊を作ったり、抗日の英雄と日本の大物政治家の娘が恋に落ちたりする話のほか、美女だけで組織された暗殺団が日本軍高官を狙うといった杜撰(ずさん)な内容が目立つ。大量制作の背景に、中国政府がしく厳しい検閲制度がありそうだ。現代の中国人の生活を描くとすれば、格差や腐敗などの社会問題は避けて通れない。発禁処分を受ければ投資が回収できなくなる危険性がある。劇作家の高大庸氏は中国メディアの取材に、『最近審査が厳しくなり、歴史ものも引っかかるケースが増えた。抗日は最も安全なテーマだ』と話している」。

厳しい検閲制度をくぐり抜けるには、「反日・抗日」が最も安心して製作に臨めるというのである。社会問題を扱えば、当然に格差問題や政治腐敗を取り上げざるをえない。それを扱うテーマは検閲制度で引っかかるので、無難な「反日・抗日」映画でお茶を濁しているのでは、中国の映画文化レベルの改善など半永久的に期待薄である。それは同時に、中国国民が依然として低い民度のままに据え置かれる致命的な危機状態を意味するのである。中国の良識ある人々は、「反日・抗日」映画が中国の文化に対していかなる悪影響を及ぼすか、真剣に問いかけるべき段階であろう。まさに、中国文化の危機そのものである。

日本より中国歴史書が歪曲化
『法制晩報』(2月14日付け)は、次のように伝えている。

④「ネット著名人・羅永浩(ルゥオ・ヨンハオ)氏は、『中国で日本の教科書を批判している人の多くは、中国語訳された日本の教科書を見たことがないはずだ。日本の教科書で最もひどいものは、市場シェアが1%に満たない出版社のものだが、それでも回避されている史実はごく一部で、表現も温和なものになっている。事実に基づいていない本当にひどい教科書は、中国でしか見たことがない。1人の中国人として、真実に近い中国史を英国人が編集した出版物でしか確認できないなど、私たちの世代に共通する悲劇だ』と語った」。

かねてから、中国では歴史教科書が嘘で塗り固められていると指摘されてきた。天安門事件は言うに及ばず、毛沢東の号令で始まった「大躍進運動」(1958~59)や「文化大革命」(1976~86)でのおびただしい死傷者などは全て闇に葬られたままである。こうした史実を隠して、ひたすら日本軍国主義を批判し続けている。日本の歴史教科書が「右傾化」していると批判するが、当の中国はどうなっているのか。自らを糺すべき時期であるが、それを怠って「中華民族の再興」などというお門違いの主張を繰り広げている。

『新京報』(1月26日付け)は、米国社会学者エズラ・ボーゲル氏のインタビューを次のように掲載した。

⑤「江沢民体制の1990年代、中国は愛国主義教育運動を展開させた。最初はそこまで目を引くものではなかったが、1~2年もすると教科書の中には反日の内容が増えていった。文化的な環境の違いから日本人と中国人の歴史感覚は違う。思うに鄧小平の1980年代のやり方は良かったのではないか。彼は日本の映画、小説、テレビ番組を数多く中国に持ち込んだ。ゆえに1980年代に子ども時代を過ごした人々は1990年代に子ども時代を過ごした人よりも親日的だ」。

⑥「(現在の日中間)の緊張を解くには数年が必要だろう。中国はどうするべきだろうか。まず中国側の高官が助け船を出すべきだろう。両国の指導者にメンツを与えるべきだ。その後、交流を回復するべきだろう。もともと、日本の右派はそんなに強力ではなかった。しかし中国がこれほど強力に圧力をかけるものだから、(日本の)右派は強力(な存在)になったのだ。石原慎太郎氏にしてももともとそんなに多くの人が支持していたわけではないのだ。中国が今のように強硬的にふるまってもメリットはないだろう」。

エズラ・ボーゲル氏と言えば、かつて『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著書を出版して、いずれ日本経済が世界を牛耳ると強調した著者として知られている。それだけに、「知日派」とも言える存在である。そのエズラ・ボーゲル氏が、中国の反日姿勢に苦言を呈しているのである。鄧小平時代は積極的に日本との交流を勧めたが、江沢民時代になって急変した。理由は、彼が日中戦争中に彼の父親とともに日本側に協力した事実を隠すため、あえて「反日・抗日」を唱えたというのがすでに定説化している。この主旨の論文を執筆した学者は、10年の懲役刑で服役中である。

結局、一政治家の保身がこうした現在の「日中反目」を招いていることは疑いない。それとも知らずに、人民解放軍は軍拡路線で多いなる恩恵を受けているが、いずれはこうしたミリタリズム(軍国主義)が中国の運命を狂わせ、戦前の日本同様に滅亡への道を歩むことになる。その張本人が江沢民氏であることは、いずれ歴史が証明するであろう。拙著『火を噴く尖閣』の「補論」では、「中華文明『衰頽』どこまで自覚しているか」を論じている。私は驕り高ぶって周辺国を軍事威嚇する中国の姿に、今後の破綻を予見している。自前の科学技術もなく、汚職と腐敗の悪臭を放っているのが中国である。今後も順調に発展を続けると考える人がいるとすれば、それは歴史の法則をわきまえていない、と断ぜざるを得ないのだ。

拙著『火を噴く尖閣』の内容は次の通りである。

第1章 国際法から見て尖閣諸島は日本領土
第2章 米国は中国に軍事覇権を渡さない
第3章 中国はバブル・ショックを克服できるか
第4章 産業構造高度化を阻む原因
第5章 環境破壊が生む「アジアの病人」
補論  中華文明「衰頽」どこまで自覚しているか

(2013年2月25日)


中国は「武断外交」へ 火を噴く尖閣―「GDP世界一」論で超強気/勝又 壽良

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