裁判で浮かんだ
現代社会の不条理

2025年7月25日 10:00

裁判所は民事の訴えがあったとき、相手方と双方の主張を比較考量して判決を導きます。不服であれば控訴して最高裁まで争えますが、その過程で現代社会の「不条理」が浮かび上がることもあります。毎週金曜に電子版公開している連載「揺れた天秤〜法廷から〜」から、そんな裁判例を5本、無料で再公開します。

酔客たしなめて重傷

電車内で目にした泥酔客の所業を見過ごせなかった仕事帰りの男性。注意したところ足を蹴られて骨折し、3カ月の休職を余儀なくされました。通勤災害にも認定されなかったことから国を提訴しましたが、訴えは裁判所にも認められませんでした。善意が招いた「名誉の負傷」に補償がない現実。訴訟は「我関せず」が横行する現代の不条理も映し出しています。

見逃された肺がん

50代の女性はかねて健康に気を使っていました。毎年受けていた健康診断で「異常なし」とされた翌年、ステージ3に進行したがんが見つかります。実は前年に医師が兆候を見つけていたにもかかわらず、システムが自動反映されないことを医師も職員も知らず、そのときの結果に反映されていませんでした。治療機会が奪われたとして医療機関を提訴しましたが、一審は医師や職員の過失を認めませんでした。

部長が浴びた火の粉

多くの人でにぎわう「道の駅」で客同士が言い争うトラブルが起きました。施設の男性責任者が仲裁して引き離しましたが、片方の客から「強引に腕をつかまれてケガをした」と訴えられてしまいます。思わぬ形で降りかかった火の粉。法廷に立った部長は「店を守らないといけないので表に出てほしかっただけ」と主張しましたが、裁判所は腕を引っ張った行為の違法性を認め、慰謝料などの支払いを命じました。

厳格採点の不人気講師

私立大で英語を教えていた非常勤講師の男性が大学側から雇用契約の更新を断られました。学生アンケートの不評と並んで大学側が重視したのが、厳格な採点による学生の「不合格率」。男性側は大学側の基準に従って成績を付けており、試験で点数を取りやすいよう配慮していたと反論し、雇い止めは不当だとして司法の判断を仰ぎました。

受験に潜んだ不平等

「努力が報われない」。医師を夢見て必死に勉強してきた女性が法廷で声を振り絞りました。東京医科大で2018年に発覚した不正入試。女性に不利な「得点調整」で不合格にされたとして、大学に損害賠償を求めて提訴した元受験生は30人近くに上りました。

「揺れた天秤~法廷から~」が書籍化されました

この書籍を購入する(ヘルプ):  Amazon 楽天ブックス

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

PR

速報ニュース

記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
エラー
操作を実行できませんでした。時間を空けて再度お試しください。