5倍に増えた日本のファクトチェック、最も誤りを指摘されたのは参政党 誰の何が検証されたのか【参院選ファクトチェック解説】
2025年参院選は日本の新聞社やテレビ局が初めて本格的にファクトチェックに取り組む画期的な選挙となりました。同時に、それだけ誤情報が蔓延していた選挙だったと言えます。誰のどのような発信が検証されたのか、分析しました。
ファクトチェックは2024年衆院選から5倍に
ファクトチェックの普及に取り組むNPO「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」が、2025年参院選に関する新聞社やテレビ局やファクトチェック団体などの検証記事を一覧にした「参院選2025ファクトチェック」で見ていきます。 参院選の期間中(7月3-20日)に183の記事がリストに載りました(2025年7月24日現在)。昨年の衆院選で日本ファクトチェックセンター(JFC)が確認できたファクトチェック記事は34(うちJFCが28)で、5倍超に急増したことになります。 これは2024年の兵庫県知事選を受けて、各社が誤情報対策に力を入れた証です。各社がどうファクトチェックを始めたかについては、解説を書いています。 JFC. “「ファクトチェック後進国」日本に変化の兆し 兵庫県知事選きっかけに全国の新聞社が始めた試み【解説】”. 記事 https://www.factcheckcenter.jp/explainer/others/fact-check-by-newspapers/ FIJリストの183本の一つは検証記事をまとめたページだったため、今回の分析から除外しました。また、ファクトチェック記事というよりは、候補者の発信やネット上の噂に関する解説的な記事もリストに含まれていましたが、それらは「広義のファクトチェック記事」として分析に加えました。 (毎日新聞はFIJのリストを使って7月20日に「参院選のファクトチェック、4割が外国人関連 発信元はSNS最多」という分析記事を出しています。これは期間が7月3-16日までの14日間で、リストのうち新聞・通信社、テレビ局が実施したファクトチェック記事71本だけを対象とした分析です。JFCの今回の解説記事は参院選期間中の全媒体の記事を対象とします) また、このリストには入っていないけれど、新聞社やテレビ局が「ファクトチェック的な記事」として公開しているものもあります。例えば、NHKはFIJリストでは検証記事数が4本ですが、特集ページを見ると、少なくとも8本の記事を公開しています(NHK"フェイク対策")。 このようにFIJのリストは完全ではありません。しかし、現状では、日本で最も検証記事を網羅しているリストなので、このデータを用いて分析します。