国土交通省所管の民間企業の人事に介入したとして批判を浴び、2023年6月、当時務めていた東京メトロ会長を退任した本田勝・元国交省事務次官が、今年1月から同社の顧問に就任していたことが分かった。本田氏は退任当時、「多大なご迷惑をかけた」と述べており、引責辞任したとみられていたが、本紙の取材に「メトロの中のルールに反して辞めたわけではない。顧問に就くことができないような事情はない」と話した。 (宮畑譲)
◆国交省OBを社長に昇格させるよう要求
本田氏は2022年12月、国交省の許認可を受けて羽田空港などのビル運営をしている民間企業「空港施設」(東京都大田区)を訪れ、当時同社の副社長だった国交省OBの社長昇格を要求。当時の同社社長は、本田氏が来訪時に「国交省OBの名代」として来たと告げたと証言していた。
昇格は実現しなかったが、国交省次官を務めた本田氏の要求に、斉藤鉄夫国交相(当時)が「国交省が関与していると誤解を招きかねず大変遺憾だ」と発言するなど波紋が広がった。
本田氏は旧運輸省出身で、鉄道局長や航空局長などを歴任し、2014年に次官就任。2015年に退官し、2019年から東京メトロ会長を2期4年務めた。2023年3月に人事介入問題が発覚し、3カ月後に任期満了で退任した。
◆「豊富な経験・知見から助言いただくため」
本田氏は本紙の取材に、2年前の退任理由について、「騒ぎになってしまい、みんなに心配をかけたので退かせていただいた。東京メトロに被害を与えたとか、メトロのルールに反したということはない」と振り返った。その上で、「私が必要とされるような相談事があるということだと思う。私自身から働きかけたことはない」と話した。
東京メトロは顧問就任を要請した理由について、「豊富な経験・知見から当社の経営に対し助言をいただくため。23年の事案は当社業務には関わりのない事柄であったため、特段問題になっておりません」と回答。顧問の数や誰が就任しているかは公表していないとし、本田氏への相談内容についても「経営に関連する情報であるため、具体的な内容はお答えできない」としている。
カテゴリーをフォローする
みんなのコメント0件
おすすめ情報
コメントを書く
有料デジタル会員に登録してコメントを書く。(既に会員の方)ログインする。