ビジネス

2021.02.12 16:30

男性ばかりの会議から見えてくる日本の未来 食い止める術は

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少子高齢化に全く歯止めがかからず、社会保障制度がひっ迫の一途を辿る日本において、本来、このような女子学生は日本社会が大切にすべきではないのでしょうか。

優秀な女性が海外にどんどん流出してしまう状況を、頭脳流出だけでなく、「エストロゲン(女性ホルモンの一種)流出」と揶揄する海外の社会人類学者もいます。要するに、日本人女性が日本社会に根強くはびこる女性蔑視に愛想を尽かし、日本国外で自分の能力を十分に発揮できる仕事に就き、海外で外国人男性と家族をもち、仕事も家庭生活も楽しく充実した人生を送る、という状況を指すようです。

日本人女性たちには、世界中のマーケットが公私ともども両手を広げて待っています。実際、国際機関の空席公募や海外の大学の教員公募では、「女性やマイノリティの候補者を優先します」と強調してあるのが既に定型となっています。

逆に困るのは、いつまでも男性ばかりの会議を繰り返し、ことあるごとに女性達に「オンナは黙っていろ」というメッセージを発し続け、高学歴・高収入の女性を海外に追いやり、日本国内の少子高齢化と社会保障制度の危機をますます悪化させる社会です。もし日本の未来に少しでも不安があるなら、今この瞬間から自分の周りで起きている数々の有形無形の差別に少しずつでも小さくても良いから行動を起こすべきなのです。

もちろん「女性の権利」とか「何が正しい」のかという議論も大事です。同時に、将来の日本社会にとって本当の意味で何が必要なのか、自分の老後にとって「何が得なのか」という視点に基づく具体的な行動も、求められているのではないでしょうか。他人の価値観や行動を変えることはできません、でも自らの言動を変えることは今日からできるはずです。

まずは、今日明日の会議をいつもと違った視点で見てみてください。多様性は保たれていますか。女性だからって一番に発言するのを戸惑っていませんか。男性に対して、女性に対して、本当に平等な態度で接しているでしょうか。そこから日本の未来を変えることができるのです。

文=橋本直子

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キャリア・教育

2021.02.05 16:30

しゃべり過ぎるのは女性ではない 森会長発言の誤りを示す研究結果

東京五輪・パラリンピック組織委員会 森喜朗会長(Carl Court/Getty Images)

東京五輪・パラリンピック組織委員会 森喜朗会長(Carl Court/Getty Images)

会議が不必要に長引く原因は女性がしゃべり過ぎることにあり、その理由は競争意識の高さにある──。

これは東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が示した見解だが、これまでの研究からは、森会長がどちらの点でも間違っていることが示されている。女性はおしゃべり好きだというステレオタイプとは裏腹に、実際には男性の方が競争意識が高く、発言も多い傾向にある。

問題の発言は3日、女性理事を40%以上にするという日本オリンピック委員会(JOC)の目標に関して質問を受けた際に出たもので、その場にはJOCのメンバーと記者らが同席していた。

森会長は「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる。(中略)女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困る」と発言。さらに、「女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げていうと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」と説明した。

JOCの理事25人のうち、女性は現在5人。森会長は翌4日、この発言を撤回し、謝罪した。

森会長は驚くかもしれないが、この主張を裏付ける証拠はほとんどない。デボラ・ジェームズとジャニス・ドレーキッチの研究者2人は、男女の話す量を比較した56件の先行研究を分析。結果、女性が男性より話す量が多いと結論づけた研究はわずか2件で、逆に男性の方が発言が多いことを示した研究は34件あった。

実は、ある人の発言が多いかどうかは、その人の性別よりも地位に関係していた。研究チームは、発言が多い人は高い地位に就いていることが多いと結論している。仕事の場面では、地位が高い人物は男性の方が多い。男性が大多数のJOCの会議ではおそらく、男性の方が高い地位にあり、話す量も多いだろう。

女性はおしゃべり好きだというステレオタイプは世間一般に広まっており、そう考えているのは森会長だけではないはずだ。例えば、教室では女の子よりも男の子の方が発言の量が多いことが分かっているが、どちらの発言が多いかを尋ねられた教師は、女子の方が多いと回答。教師らも森会長と同じ、誤った認識を持っていることが分かった。実際には、教師から発言の機会を与えられることが多かったのは男子の方だった。

さらには、女性が発言をすると、主張が強すぎるとして反発を生むこともある。学術誌アドミニストレーティブ・サイエンス・クオータリーに掲載された2011年の論文によると、頻繁に発言する役員が男性だった場合は能力が高いとみなされる一方、女性の場合は能力が低いとみなされる傾向があった。
次ページ > 競争意識も男性の方が高い傾向

編集=遠藤宗生

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テクノロジー

2021.02.01 11:30

Clubhouseのここがすごい。Zoomとの推定差異から考えてみた

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24日のシリーズBラウンドでの資金調達の発表を受け、日本国内でもツイッターのトレンド入りなどで急速に話題になっているClubhouse。「声の扱い方が一体Zoomとどう違うのか?」を考えてみた。

下記は、一般のビジネスパーソン向けに技術的な内容を一部デフォルメしているので、技術系読者にとっては物足りない結果となるがご了承されたい。

結論から言うと、声被りをしない大きな理由はスピーカー(話者)間の遅延の小ささに由来している。インターネットを介した通話をおこなう場合、実はスピーカー間はリアルタイムに通話していない。データが世界中を飛び回って受信者に送られてきているので、テレビのニュースで海外特派員とのやり取りほどは気にならないが、若干の遅延が常に発生している。

人間の脳は10ms(1/100秒)とか20ms(2/100秒)程度の遅延から違和感を感じ始めると言われており、最近5Gの文脈で1ms(1/1000)遅延を目指すというキーワードで通信キャリア各社が努力をしていると聞くのはこれが理由である。

日常会話をしている場合、相手の発話終了などを感じ取って自分の発話を開始するし、相手の発話開始を感じ取って自分の発話を終了することによって、声被りを防いでいる。しかし、インターネットを経由してデータ受信の遅延が発生すると、コンマ数秒単位の発話終了に対する認知の遅れが発生し、これが声被りを生み出す原因となっている。

このデータ受信の遅延を減らす努力によって、インターネット通信における会話のリアルタイム性を高め、人間のコミュニケーションをより自然な声被りの少ない状態にすることができる。

どうやって遅延を減らしているのか?


では、この遅延を減らす努力をClubhouseがどのようにおこなっているか推定してみた。

周辺の技術者の間でおこなわれたパケット解析の結果や討議などを鑑みると、ClubhouseはUDPという、リアルタイム性が高く、データを垂れ流しする通信方式を利用して、通信をしていることが推測出来る。

当初、端末間を直接つなぐP2Pの仕組みでやり取りしていることが想定されていたが、パケット解析の結果、接続先がほとんど1カ所に集約されていることからこの考えは否定された。

例えば、スピーカーが「マイクのテスト」と発言した際に、通常インターネットで利用されているTCPという通信方式の場合は、何度かのデータのやり取りをした後に、「マ、イ、ク、の、テ、ス、ト」の発話データがすべて集まってから音声が再生される。一方で、UDPという通信方式の場合は「の」の発話データが欠落した場合でも、「マ、イ、ク、(無音)、テ、ス、ト」と即座に再生される。
次ページ > 送信開始までの遅延を減らすことが可能な理由

文=久池井淳 編集=石井節子

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2021.02.04 11:30

グーグルクラウドは年間5900億円の赤字、アマゾンのAWSに大敗

Photo by Adam Berry/Getty Images

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米グーグルの持ち株会社アルファベットは、2月2日の2020年第4四半期決算発表で、初めてグーグルクラウドの営業損益を公開し、同部門の年間売上高が135億ドル(約1.4兆円)で、前年比46%増だったことを明らかにした。

しかし、グーグルクラウドの2020年通年の収支は56億1000万ドル(約5900億円)の赤字だった。同部門は第4四半期にアナリスト予想の38.1億ドルを上回る38億3000万ドルの売上を記録したが、12億4000万ドルの損失を出していた。

アルファベットは、2019年のグーグルクラウドの売上が89.1億ドルで、損失が46.4億ドルだったことを示唆した。

これらの数字は、クラウド業界に詳しい人にとっては驚きではないだろう。調査企業カナリスのデータによると、2020年第3四半期の世界のパブリッククラウドコンピューティング市場において、首位のアマゾンのAWSのシェアは32%で、2位のマイクロソフトのAzure が19%、3位のグーグルクラウドのシェアはわずか7%だった。

アマゾンのAWSは収益面でもグーグルクラウドを圧倒し、2020年に約130億ドルの利益を生み出していた。

しかし、グーグルクラウドは2018年から元オラクル幹部のトーマス・クリアンの指揮下で、事業拡大に注力し、2020年に複数の大手企業と契約を結んだほか、先日はフォードと数億ドル規模の契約を締結した

グーグルクラウドは近年、ビジネスモデルを再編成し、AWSやマイクロソフトのAzureからシェアを奪おうとしている。

アルファベットのルース・ポラットCFOは2日の決算発表で、営業職や技術職の採用を継続することを示唆した。グーグルは2020年に約1万6000人の従業員を新規採用した。

スンダー・ピチャイCEOは、グーグルクラウドのスケーラビリティを拡大するために、「規律ある投資」を支持していくと述べた。

編集=上田裕資

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