橘玲「この国の仕組みは“偏差値60”の人間のために作られている」リベラルエリートが陥った致命的な自己矛盾
エリート知識人が支配する“古き良き日本”の正体
偏差値60以上の人々は、大雑把に言えば人口の上位約3割に過ぎない。つまり、残りの7割の人々にとって、この社会はあまりにも複雑で、生きづらいものになりつつある。この人たちは社会の標準的なルールから静かに「脱落」しているのだが、社会の主流にいるのは高学歴のエリートなので、彼ら/彼女たちの苦境に気づくことができない(あるいは、気づかないふりをしている)。 マスメディアの時代には、この大多数の人たちの声は可視化されなかった。政治家や官僚、あるいは新聞や論壇誌に寄稿できる大学教授などごく一部のエリート知識人たちが「世論」を形成し、社会を動かしていた。残りの人たちが自分の意見を広く訴えるには、新聞や雑誌の読者欄に手紙を送り、それが掲載されるのを期待するしかなかった。賢い人たちが決めたことに黙って従っていればいいという、良くも悪くも安定した社会だった。
なぜエリートは自らが招いた“理想の未来”に絶望しているのか
この状況を劇的に変えたのが、インターネットとSNSだ。とりわけSNSは、これまで沈黙を強いられてきた「声なき人々」に強力な発言の場を与えた。彼らの不満や不安、怒りが、何のフィルターも通さずに直接、社会に噴出するようになった。 近年の参政党の台頭や、世界各地で見られるポピュリズム的な政治の動きは、まさにその結果だ。それは、リベラルな知識人たちが長年理想としてきた「万人の声が政治に届く」戦後民主主義のある種の完成形と言えるだろう。皮肉なことに、自分たちの理想が実現した今、リベラルはその結果に戸惑い、「SNSが民主主義を破壊している」などと嘆いているのだ。 私は、日本は世界から半周(あるいは一周)遅れており、欧米で起きたことは5年から10年のタイムラグを置いて、必ず日本でも起きると考えている。キャンセルカルチャーはその典型だが、知能格差を原因とする社会の分断も、これからさらに深刻化していくだろう。これは、もはや避けることのできない未来なのだ。
橘玲
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