山井和則、塩村文夏氏と夜の歌舞伎町を歩く(下)悪質ホストクラブ被害にメディアも加担

悪質ホストクラブの被害抑止に取り組む立憲民主党の塩村文夏参院議員(左)と山井和則衆院議員=6月17日午後、東京都新宿区(奥原慎平撮影)
悪質ホストクラブの被害抑止に取り組む立憲民主党の塩村文夏参院議員(左)と山井和則衆院議員=6月17日午後、東京都新宿区(奥原慎平撮影)

東京・歌舞伎町の大久保公園前の事務所に悪質ホストクラブに関するトラブルに対応する一般社団法人「青少年を守る父母の連絡協議会」(青母連)を6月17日に訪ねた。案内した立憲民主党の山井和則衆院議員は、メディアも被害の一翼を担っていると指摘する。

ネット番組で礼賛

山井氏は、一部のインターネット番組などがホストクラブを利用する女性客の敷居を下げていると懸念する。

「ホストを礼賛する番組を作ったりして、メディアが加担しちゃっているんです。かっこいい人と会えるだけの、きれいな世界じゃない。売春しないと返せない額を背負わされ、梅毒にかかったり、うつ病になったりする。そもそも犯罪を誘発する商取引はおかしい」

青母連は今もホストクラブを美化する一部メディアに抗議して、再考を求めているという。

丸刈りの男性が事務所に入ってきた。青母連で事務局長を務める田中芳秀さんだ。

立憲民主党の山井和則衆院議員
立憲民主党の山井和則衆院議員

山井氏は憤りを隠さない。

「視聴率が取れるかもしれないけど、被害者が出ている。許せない…」

田中さんも「メディアの責任は大きい」とうなずく。

「入り口のハードルを下げればホストの勝ちなんです。一回女の子が店に入れば…相手はプロですから。しっかりはめてきますよ。女性の20歳前後は商品価値としてしか見ていない。この子からいくらとれるか、と」

青母連には、悪質なホストクラブを問題視する立場から、米CNNテレビなど海外メディアの取材が増えているという。田中さんは「いま、英BBCからも取材を申し込まれています」と話す。

山井氏がつぶやく。

「旧ジャニーズ事務所の性加害問題もBBCの報道がきっかけでしたよね。これは恥ですよ。日本は自浄能力がない国とみられる。海外から言われないと動かないなんて…」

妊娠後に被害に気付く

一方、借金返済のため売春を強いられる女性が被害を訴える事例は少ないとも聞く。田中さんに、歌舞伎町を訪れる前に抱えていた、女性客の「自業自得」論をどう思うか尋ねてみた。

「ある種洗脳されてしまっているんです。20歳前後の女の子が500万、600万円の借金を抱えて、喜々として払おうとして風俗に行くんです。それでボロボロになる。最大の被害者救済は、被害防止なんです」

一般社団法人「青少年を守る父母の連絡協議会」事務局長の田中芳秀さん
一般社団法人「青少年を守る父母の連絡協議会」事務局長の田中芳秀さん

洗脳が解けるタイミングはあるのだろうか。

「多くは妊娠してしまったときです。なぜだと思いますか。大概のホストはそこで逃げるから、だまされていたことに気が付くんです。この事務所のトイレでも流産した女の子がいます。悲しかったですね」

田中さんは語気を強める。

「売掛金の制度はキャバクラにもあるけど、男性の場合は与信がない限り、売り掛けはできない。風俗で体を売ることが難しいからですよ。どこまでも男社会なんです。女性を食い物にしているだけです」

増える「立ちんぼ」

午後8時過ぎ。重苦しい雰囲気をまとった山井氏は再び、大久保公園周辺に進んでいった。

大久保公園周辺を歩く立憲民主党の山井和則衆院議員
大久保公園周辺を歩く立憲民主党の山井和則衆院議員

エリアごとに、年齢など女性の雰囲気も若干異なるようだ。ある一角は長身の女性が固まっている。別の一角は外国人女性が目立つ。座り込んでいる女性の腕は自傷の跡とみられる無数の傷がついていた。いずれのエリアでも、男性が品定めするように女性の周囲を歩いていた。

「一議員として、胸が傷つけられる思いがするんですよね。この業界にバブルを招いたのが民法改正だったんです」

令和4年4月に成人年齢が18歳に引き下げられた結果、ホストクラブにはまる18、19歳の女性が増えたという。山井氏にとって想定外の事態だったという。

歌舞伎町をスーツ姿で歩き回る山井氏は異彩を放っている。

「知らない人からすれば、国会議員が歌舞伎町に遊びに来ていると思われますよね。政治家は信頼されていないから」

立民議員も歌舞伎町を視察する際は、遊びと誤解されないよう、なるべく複数で訪れるようにしているようだ。女性議員は安全のためなおさらだという。

立憲民主党の塩村文夏参院議員
立憲民主党の塩村文夏参院議員

同党の塩村文夏参院議員も、翌日に控えた国会質問の準備を終えて、合流してくれた。塩村氏は昨年11月、国会でホストクラブ問題を率先して取り上げた1人だ。積極的なタイプの議員だが、売春相手を求めて街頭に立つ「立ちんぼ」の女性には声をかけない。

「彼女たちからすると余計なお世話になるでしょう。きちんと支援団体さんにつながってもらった方がいい。逆に、下手に話しかけると不信感を持たれてしまう」

塩村氏も10回以上、ホストクラブ問題を巡って歌舞伎町の視察に訪れているというが「(売春相手を求めて街角に立つ女性の数が)増えている」と不満そうに漏らす。

「悪質ホストクラブはホストクラブの『一部』などといわれるが、一部じゃない。『大半』だから」

翌日に国会質問を控える塩村氏は、こう語気を強めた。山井氏が「そろそろ」と促すと、塩村氏は秘書が運転する車に乗り込んで町を後にした。

午後9時過ぎ。町の至る所で男性が立ちんぼの女性に声をかけている。

立憲民主党の山井和則衆院議員
立憲民主党の山井和則衆院議員

帰宅のためのタクシーを待つ山井氏が通りに立ってこう話す。

「全世界でここだけじゃないですか。素人の女性が売春のために道端に立って、男が群がっているなんて。歌舞伎町にとどまらず、海外にまで売春に行っている。世界の人の日本人女性を見る目が変わってしまう。下手すれば、売春大国日本ということになってしまう。それでいいんですかね」(奥原慎平)

山井氏と夜の歌舞伎町を歩く(上)

悪質ホスト防止法に込めた立民議員の思い

立民、悪質ホストクラブ被害防止法案を提出

会員限定記事

会員サービス詳細