指輪物語：デュエル 中つ国の決戦福島ボードゲームギークさんのレビュー

指輪物語：デュエル 中つ国の決戦 — プレイレビュー

1. ゲーム概要

『指輪物語：デュエル 中つ国の決戦』は、アントワーヌ・ボザとブルーノ・カタラがデザインし、2024年10月にRepos Productionから発売された2人用対戦ゲームです。プレイ時間はおよそ30分、推奨年齢は10歳以上となっています  。
箱には69枚のチャプターカード、中央ボード、〈指輪の旅路〉トラック、ユニット／要塞コマなどが同梱されており、コンポーネントの豪華さとイラストレーター ヴァンサン・デュトレのアートワークが目を引きます 。

2. システム解説

要素 概要

プレイの流れ（概略）

1. チャプターⅠのカードをピラミッド状に並べる
2. 先手（サウロン側）が公開カードを1枚取得し効果適用
3. 取り除かれたカードの下に隠れていたカードが公開され、手番交代
4. いずれかの即勝利が起こる／3章目が終了したら得点計算で決着

3. プレイ感想

■ 戦略的ジレンマが常に三つ巴
攻撃（制圧）・探検（旅路）・外交（同盟）が同時進行するため、“今どの勝ち筋が一歩リードしているか”を読み換えながら手を打つ緊張感が抜群。特に旅路トラックは一気に6マス以上動くカードもあり、油断していると突然ゲームが終わります。

■ 7 Wonders Duelからの進化点

• 資源計算の簡略化でAP（長考）が激減。物理卓でもサクサク進む。
• 新たに追加された“中央マップ”のおかげで盤面インタラクションが体感的に増量。押し引きの可視化が分かりやすく、テーマとも好相性。
  一方、建造物チェーンなど文明構築の“雪だるま式爆発力”は抑えめで、「殴り合いとレース感」にフォーカスした設計だと感じました。

■ テーマ没入とリプレイ性
ヴァンサン・デュトレのアートがシーンごとに物語を想起させ、3章進行と合わせて映画を早送りで追体験しているよう。4〜5戦するとカード内容を覚えはじめますが、陣営の立場が固定されている分メタ読みも熱く、勝利条件の多面性がリプレイを支えます。

■ 気になった点

• カードドラフトゆえの“めくり運”は健在。特定の色が偏ると勝筋が急速に閉じる場合あり。
• 両陣営の非対称性はあくまで勝利条件上の立ち位置の違いで、カード効果の差異は小さめ。強い個性を期待するとやや物足りないかもしれません。

4. 総評・おすすめ層

• ⭐⭐⭐⭐☆（4/5） — 30分で濃密な攻防が味わえる、2人用対戦の新たな定番候補。
• こんな人に◎
  • 『7 Wonders Duel』の歯ごたえを保ちつつ、計算をスリム化したい
  • 中つ国の物語を短時間で追体験したい
  • 夫婦・カップル・ライバルとの“サクッと1本勝負”を探している
• 注意点
  • 高度な文明ビルドやカードコンボを求めると少しライトに感じる可能性あ