「秋口からボロが出てくる」参政党の“守り神”の元日本共産党員が明かす深刻な党内事情と神谷代表の弱点
■選挙戦略はSNSではなくポスターだった ――今回の参院選では、参政党のどのような選挙戦略が奏功したのでしょうか。 僕は参政党の街頭ポスターを地道に増やすよう、ずっとアドバイスしてきました。SNSは正直NHK党に勝てる気がしなくて。ポスターなら一度貼れば候補者の名前や主張を24時間宣伝してくれる。意外と効果は大きいんですよ。しかも衆院選を昨年10月にやったばかりだったからか、他党はポスターの準備が間に合っておらず、全国的に参政党のポスターが目立つ結果となりました。 それも、党員たちの苦労と努力の賜物です。既存政党はこれまでのツテを頼って民家やお店にポスターを貼らせてもらうんだけど、参政党は飛び込みで一軒一軒お願いして回る。打率は当然悪いけど、全戸に訪問をかけてかなりの枚数を貼ってきていました。 ――支持拡大は神谷氏の圧倒的なカリスマ性も大きな要因では。 神谷宗幣というキャラクターがなければ、参政党にここまでの勢いは出なかったのは確かです。彼、やっぱり人気があるんですよ。顔がなかなかいいし、ちょっとおっちょこちょいなところも可愛げがある。演説では上手に泣きの芝居を入れるので、人の心をつかむんでしょうね。ただ、直近の演説の様子を見ていると、顔色が悪い。長い付き合いの友人として、「あんたももう中年なんだから少し休め」とメールをしました。 見た目通り、暑苦しくて無茶な男です。国会議員をやりながら、党首としてなんでも口出しして、他の議員に任せずに一人で選挙応援に駆け回る。全部自分でやっちゃうんです。神谷さんがいないと成り立たない“神谷党”になっているから仕方ないけど、もうちょっと落ち着いて活動してほしいなと思っています。
■秋口あたりから国会活動でボロが出てくる? 政治家としての青さを感じる面もありますね。マスコミから取材の猛攻に遭って慌てたり、批判的な報道をされたら感情的に反論したり。注目されている時こそ、自分の主張をうまく説明して発信するチャンスなんだから、大人の対応をしなきゃダメです。街頭演説の時にスタッフを怒鳴りつけて、目撃者から苦情が来ることもある。パワハラ気質なのも大きな弱点です。 ――課題はありつつも、参政党の勢いは今後も止まらないと思いますか。 まだまだ伸びるでしょうね。神谷さんとしては、当初は与党の批判勢力になれるような規模を目指していたはずですが、今は数年以内に与党入りするぐらいのことを考えていますよ。思った以上に物事がうまく進んで、万能感に満ちあふれているんじゃないかな。 ただ、問題はこの参院選の後です。支持者の間で期待が膨らんでいる中、それに応えられる仕事ができるのか。 実は参政党には、公設秘書や政策スタッフがほとんどいないんです。議員がいい仕事をするためには、自治体の首長や業界団体の人に会うといった情報収集をして、国会質問の準備を手伝ってくれる人が必要です。誰でもなれるわけではなく、国会の仕組みや財務省の経済哲学を学び、立法の基本を理解していないといけない。 去年の衆院選で国会議員が3人増えたこともあり、議員を支える職員の養成が必要だと神谷さんに提案し続けてきたんです。でも参院選に向けてバタバタする中、結局手が回らなかった。今回大幅に議員が増えたことで、秋口あたりから国会活動でボロが出てくるでしょうね。まあ、党の発展過程としてはしょうがないかなと思っていますけどね。 (AERA編集部・大谷百合絵)
大谷百合絵