エズラとネヘミヤ福島ボードゲームギークさんのレビュー

『エズラとネヘミヤ』は、ユダヤ人のバビロン捕囚からの帰還とエルサレム神殿・城壁再建をテーマにした協力型ボードゲームです。プレイヤーは高官（エズラやネヘミヤら）となり、資源を集めながら神殿の修復や城壁の復興を進め、同時に民の信仰とコミュニティの絆を取り戻すことを目指します。１～４人、プレイ時間は約90～120分ほどです。

システム解説

1. アクション選択フェイズ

毎ターン、プレイヤーは自分の手番に「行動カード」を１枚プレイして、資源収集（石材・木材・銀貨）、建設、祈り（信仰ゲージの回復）、調査（新しいイベントカードの追加）などを行います。

各行動カードには固有の強化効果があり、たとえば「エズラの律法朗読」は祈りと信仰ゲージ回復に優れ、「ネヘミヤの監督」は建築効率を上げます。

2. 資源管理と共有倉庫

資源はプレイヤー個人ではなく「共同倉庫」で管理します。誰かが資源を獲得すると全員の建設パワーが向上し、協力性が強調されます。

ただし、倉庫が不足状態になると「不満度トラック」が上昇し、一定値に達するとゲームオーバーの危機が訪れます。

3. 建設フェイズ

神殿や城壁のマップタイルを配置していくエリア制御要素があります。

タイルには「基礎工事」「装飾」「防衛設備」などのレベルがあり、順序どおりに建設しないと得点や特殊効果を得られない仕組みです。

4. イベント＆ストーリーデック

プレイ中盤から毎ターン「イベントカード」がめくられ、干ばつや反乱、異国の使節来訪などの課題が発生します。

各イベントはプレイヤー全員で協議して対応策を決定し、成功・失敗でストーリーが分岐。キャンペーン性を帯びています。

5. 勝利条件

神殿と城壁を所定の数だけ完成させ、かつ「信仰ゲージ」を最大まで上げること。

最終ターンに信仰ゲージが満タンかつ建設タイルが完成していれば勝利。それ以外は「共同の敗北」となります。

プレイ感想

1. テーマへの没入感

手番のたびにエズラやネヘミヤの役割を演じる演出効果が強く、聖書の物語を再現して実感がす。建設タイルを置くたびに“再建が進む”手応えがあり、歴史ドラマを体験しているようでした。

2. 協力性の緊張と達成感

共同倉庫の資源管理やイベント対応は全員で意見を出し合う必要があり、コミュニケーションが活性化。成功時の一体感は格別です。一方で、資源不足で不満度が上がったときの焦りも強く、終盤は手に汗握る展開でした。

3. システムのバランス

行動カードの使いどころ、資源投入のタイミング、イベントへの備え――複数の要素が絡み合い、ひとつのミスが大きなリスクに。中量級ながらも歯ごたえがあり、何度もリプレイして最適ルートを模索したくなります。

4. ルールの習熟性

初回は建設タイルの順序やイベント対応ルールがやや複雑に感じられますが、2～3回遊ぶと全体像がつかめ、スムーズなプレイが可能に。マニュアルは丁寧なので、読み込めば問題ありません。

総評

『エズラとネヘミヤ』は、歴史テーマと協力ゲームの醍醐味を高い次元で両立した秀作です。プレイヤー同士の対話重視のシステムと、聖書物語を追体験するドラマ性が魅力。初心者にはやや難易度が高めですが、慣れれば深い戦略性と達成感を味わえます。

歴史ものや協力ゲームが好きな方、チームでひとつの物語を紡ぎたい方にぜひおすすめしたい一作です。