モンハン最新作、ハリウッド手法で物語に没入感 ゲーム開発者向けイベントで制作秘話

ゲーム開発者向けイベント「CEDEC2025」が開幕した=22日、横浜市西区
ゲーム開発者向けイベント「CEDEC2025」が開幕した=22日、横浜市西区

国内最大規模のゲーム開発者向けイベント「CEDEC(セデック)」が22日、横浜市のパシフィコ横浜で開幕した。生成人工知能(AI)を活用したゲームの開発技術に関する講演や展示が並んだ。カプコンの人気アクションゲーム「モンスターハンター」シリーズの最新作「ワイルズ」の開発担当者の講演では、ハリウッド映画の手法を取り入れ、物語に没入感を加えた制作秘話が明かされた。

CEDECは、家庭用ゲーム機の開発者向けに、ソフト制作を支える技術などについて開発者同士が交流するイベント。ゲームキャラクターの表情や動きをより滑らかに、感情豊かに表現できるようになる、生成AIの技術などの展示が目立った。

「ワイルズ」の開発担当者は22日の講演で、プレイヤーがゲームの世界に没入できるゲーム展開や物語を作るために活用した、さまざまな手法を紹介した。開発は、敵を担当する「モンスター」班、操作するキャラクターを担当する「プレイヤー」班、ゲーム全体の物語を考える「ストーリー」班、ゲームアクションの演出や展開を手がける「進行」班などに分かれて進められた。

モンスターハンターワイルズのキーアート(カプコン提供)
モンスターハンターワイルズのキーアート(カプコン提供)

進行班は、プレイヤーに基本の操作方法を解説するゲーム内での役割や、物語上の展開などを、各ミッションにどう組み込んでいくかを担った。キャラクターのセリフの原案なども担当し、ゲーム展開に合わせたキャラクター同士の掛け合いなどにもこだわっているという。

「ワイルズ」はプレー中に登場人物のセリフや独別な映像演出がスムーズに挟み込まれ、物語に集中できるように設計された。ハリウッド映画などで用いられる「三幕構成」を採用し、設定や登場人物を紹介する導入部、ゲームのアクション部分となる対決展開、結末の物語に分けているという。

ゲームの各ミッションごとに、プレイヤーの感情の高まりを想定し、グラフ化。単調さが目立つ部分に演出を追加し、緊張感などでプレイヤーの感情を揺さぶり、クリア後に達成感が得られる仕掛けをしている。感情をグラフ化する手法は同社の人気ホラーアクションゲーム「バイオハザード」シリーズで用いられてきたものだという。

コンピュータエンターテインメント協会(CESA)のゲーム産業レポート2024によると、ゲーム機本体の売上を除いた世界のゲームコンテンツ市場は2023年に約30兆円規模にまで成長。4年前に比べ、約2倍に拡大した。各メーカーが海外売上の比率を高めており、世界中のゲームファンが熱中できる物語を作る〝コンテンツ力〟が、ゲーム産業成長の鍵を握っている。(高木克聡)

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