トー横相談施設、利用3割が未成年 性トラブルやオーバードーズ 10カ月延べ9000人

トー横などに集まる若者らを対象とした都の相談施設「きみまも@歌舞伎町」がリニューアルオープンした=29日、東京都新宿区(外崎晃彦撮影)
トー横などに集まる若者らを対象とした都の相談施設「きみまも@歌舞伎町」がリニューアルオープンした=29日、東京都新宿区(外崎晃彦撮影)

東京・歌舞伎町の「トー横(東宝ビル横)」に集まった若者らが犯罪に巻き込まれるなどの問題を巡り、都が悩みを抱える若者らの支援を目的に開設した相談施設「きみまも@歌舞伎町」について、都は29日、利用者の3割が未成年で、多くが性に関するトラブルやオーバードーズ(市販薬の過剰摂取)、リストカットなどの問題を抱えることを明らかにした。施設は開設から10カ月間でのべ8858人が利用。都は開設1年を機にスペースを約1・5倍に拡充し、報道陣に公開した。

1日平均42人

都は昨年5月31日に、トー横に隣接するビル内に施設を開設。相談員を常駐させ、若者らからの相談を受けてきた。都の担当者によると、施設の利用者は開設から今年3月31日の10カ月間でのべ8858人。1日平均42人が利用したことになり、当初想定した1日平均20人程度を大きく上回った。

利用者の年代別では約3割が未成年で、約5割が18~24歳。利用者の多くが家庭や職場環境などでの問題や、金銭、性に関するトラブルを抱えており、オーバードーズ(市販薬の過剰摂取)やリストカットをする者も少なくないという。

施設では若者らの相談に乗るほか、若者らが自由に過ごせるスペースも用意し、気軽な利用を呼び掛けてきた。若者らを外部の支援団体に紹介する「つなぎ」の支援は3月31日までに130件実施した。

若者相談施設「きみまも@歌舞伎町」では個別の相談室も増設した=29日、東京都新宿区(外崎晃彦撮影)
若者相談施設「きみまも@歌舞伎町」では個別の相談室も増設した=29日、東京都新宿区(外崎晃彦撮影)

一方、利用者が増加し、職員の目が行き届かなくなったことによる問題も発生した。昨年7月、侵入した男2人が、都迷惑防止条例違反で逮捕され、その後不起訴になる事例があり、施設ではセキュリティ対策の向上が課題となってきた。

事件を受け都は施設の防犯や機能向上を図り、今年5月31日の開設1年に合わせて施設を拡充した。利用者が滞在できるスペースを1・5倍に拡張したほか、相談室の個室数を増やし、未成年コーナーなども新設。都の浜繁和都民安全課長は、「安心して利用できる施設づくりを目指す」と話した。

相次ぐ「加害」事案

トー横周辺では今年5月、若者らを支援する団体の元事務局長の男がコカイン所持の容疑で現行犯逮捕され、相談者の女性にコカイン吸引を勧めるなどしていたことも発覚した。2月には、別の防犯ボランティア団体の代表の男が、トー横で知り合った17歳の少女にわいせつな行為をしたとして逮捕されるなど、支援団体側が相談者を犯罪に巻き込んだり、危害を加えたりするといった事案が後を絶たない。

浜課長は「施設運営側の担当者にも研修を行うなどして引き締め、事案を起こさないよう徹底している」と話した。支援団体への「つなぎ」の取り組みについても、「事業実績や活動内容などを参考に慎重に選定していく」とした。

歌舞伎町やトー横 支援名目で子供や女性を狙った事件相次ぐ 不信感募れば活動継続難しく

会員限定記事

会員サービス詳細