参政党のさや氏躍進の背景 出口調査が示す高い男性支持 東京選挙区

木佐貫将司
 今回の参院選では参政党が大きく躍進した。東京選挙区(改選数6、欠員1)でも参政党の新顔が自民と立憲の現職を抑え、2位で当選した。なぜ、参政党はここまで強く支持されたのか。朝日新聞の出口調査から探った。
 出口調査は都内180カ所で実施。投票を終えた有権者に対し、性別、年代、投票した候補者と政党、ふだんの支持政党などを聞き、7840人から有効回答を得た。
 調査から浮かび上がるのは、男性の幅広い世代から支持される参政の姿だ。

【東京都】各党支持層はだれに投票したか

数字は%。小数点以下は四捨五入。無回答の数字は省略。敬称略

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鈴木大地
さや
牛田茉友
川村雄大
奥村祥大
吉良佳子
塩村文夏
自民支持層公明支持層立憲支持層維新支持層共産支持層国民支持層れいわ支持層参政支持層社民支持層日本保守支持層無党派層37372233441111000033114444003322113355757555447733003344113131222211119933737311221111110033002222225522002222110000226622117755808022551115151199220028282211112200220066331111353511222200001144221120202211121211112200771919001111001100001100331111001100001122007070331100110011000000001133111111000000434300000011000000110000110000002211113311111122003311220000110011000000383800111111001100000000000011000000000000000011000000000000000000000000000011000000000000000000000000000000000000000000110000000000001100001414101016162727661818252513131616161627274455558822449933772233
 出口調査の結果をもとにした政党支持率は、自民18%▽国民民主14%▽立憲11%▽参政10%▽共産6%▽公明5%▽れいわ、維新、保守4%▽社民1%だった。無党派層は19%だった。
 性別でみると、男性が票を投じた人のトップは参政のさや氏(13%)。女性の最多は、共産の吉良佳子氏(11%)だった。

東京選挙区の男女別投票先

男性はさや氏(参政)、女性は吉良佳子氏(共産)が最多だった

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さや
牛田茉友
吉良佳子
男性女性鈴木大地鈴木大地さやさや牛田茉友牛田茉友川村雄大川村雄大奥村祥大奥村祥大吉良佳子吉良佳子塩村文夏塩村文夏音喜多駿音喜多駿奥村政佳奥村政佳武見敬三武見敬三小坂英二小坂英二峰島侑也峰島侑也山本譲司山本譲司山尾志桜里山尾志桜里石丸幸人石丸幸人辻健太郎辻健太郎藤川広明藤川広明酒井智浩酒井智浩市川たけしま市川たけしまその他の候補その他の候補無回答無回答鈴木大地鈴木大地さやさや牛田茉友牛田茉友川村雄大川村雄大奥村祥大奥村祥大吉良佳子吉良佳子塩村文夏塩村文夏音喜多駿音喜多駿奥村政佳奥村政佳武見敬三武見敬三小坂英二小坂英二峰島侑也峰島侑也山本譲司山本譲司山尾志桜里山尾志桜里石丸幸人石丸幸人辻健太郎辻健太郎藤川広明藤川広明酒井智浩酒井智浩市川たけしま市川たけしまその他の候補その他の候補無回答無回答
 さや氏は男性の10~60代でトップで10代(21%)、20代(16%)、30代(17%)と特に多くの若い有権者に投票先として選ばれていたことをうかがわせた。女性の最多は10代、30代(国民民主の牛田茉友氏とほぼ同率)にとどまった。
 無党派層からも一定の支持を得たようだ。無党派層の投票先として答えた同率トップ(9%)は6位当選の共産・吉良氏、3位当選の国民民主・牛田氏。さや氏はそれに次ぐ6%だった。ただ、得票は無党派層トップの2人を上回っていて、急伸した参政の支持層を固めたことが強さにつながったといえそうだ。
 参政が力を入れたSNS戦略が奏功した可能性もある。「投票先を決める際に動画やSNSの情報を重視したか」という質問に「重視した」と答えた人(51%)のうち、最多の投票先はさや氏(15%)だった。次点の国民民主の牛田氏(8%)を大きく上回った。
 都選挙管理委員会によると、東京選挙区の投票率は61.53%で、2022年7月にあった前回選挙の56.55%を上回った。
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この記事を書いた人
木佐貫将司
ネットワーク報道本部|首都圏ニュースセンター
専門・関心分野
選挙、議会、政策、地方自治、データ分析
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    藤田直哉
    (批評家・日本映画大学准教授)
    2025年7月22日0時34分 投稿
    【解説】
    日本はこれまでジェンダーの分断は政治的な争点としてアメリカや韓国と比較した場合相対的に大きくなかったわけですが、今回は顕著に差が出たように感じます。参政党は、ジェンダー平等やフェミニズムに反対し伝統的な男女観を擁護し、女性は早いうちに子供を産んだ方がいいという言説を行っていました。それに対し、共産党はジェンダー平等やフェミニズムの擁護を打ち出した路線であったので、男性と女性とで投票先の差が出たことには驚かないです。それが集票に役に立つと政党が思えば、これからもよりアジェンダとして強調し、「自分たちは正しい」「あいつらが悪い」という動員の物語が流布し、対立と分断は激化していくでしょう。そのことの総体として、安心感や信頼、マズローの欲求五段階で言う「所属と愛の欲求」が満たされにくい社会になっていき、ますます国家や民族などに心理的に依存していく傾向が高まりそうな予感がしています。
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