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Conversation

「わがきみ」と「きみがよ」の違いをご指摘いただくこともありますが、鎌倉時代にはすでに「きみがよ」という語形が文献に見られます。 当時の「きみ」は、天皇陛下に限らず、御恩と奉公の関係における主君や、大切に敬う相手を意味していました。 その忠義のあり方は、江戸期の武士道書『葉隠』にも 忠は恋に似たり と記されているように、報いを求めず、ただ一方的に捧げる“こい”の情念にも似たものだったとされています。 『君が代』における「きみ」は、天皇に限らず、時代ごとの文脈で敬愛や祈りを宿してきた言葉であり、 その本質は、静かに相手を想う心にこそあると、僕は考えています。