ログイン

赤堀雅秋、荒川良々、丸山隆平、上白石萌歌が語る舞台「震度3」 日常に潜む“ざわつき”と熱い座組の魅力

2025年07月21日 12時00分

インタビュー

心の声を届ける!
心の声を届ける!

左から赤堀雅秋さん、荒川良々さん、丸山隆平さん、上白石萌歌さん。

「その人のみっともない表情が、演出家としていちばんいとおしい」(赤堀)

──今回のキャスティングの意図を教えていただけますでしょうか。

赤堀 他の舞台では、なかなか見る事がないであろう人間らしい泥くさい人たちを、いつも以上に意識してキャスティングしました。その中で萌歌ちゃんはいい意味で“異物”になればと考えました。でもふたを開けてみたら、一番、痛々しい存在になるかもしれないし、どうなるかはわからないですね。ただ、清楚だとかきれいな感じにはならないと思います。

──他の舞台などで見た上白石さんの印象はどうでしたか?

赤堀 他の人の演出作品を見て、偏見や先入観を持たないようにしているんです。僕はインタビューのようなできる限り“素”で話しているたたずまいを見たい。萌歌ちゃんはかわいいですが、面白い顔をしていますね。すごくグロテスクにも見えれば、美しくも見える、そういう多面性を持っている印象です。

──そういうグロテスクなお顔を「震度3」で見せていただけるのでしょうか。

赤堀 萌歌ちゃんに限らず、僕は人に見せたくないような、その人の“みっともなさ”みたいなものを引き出したいという思いがあります。演出家としてそれが一番いとおしい顔だったりするんです。だから出演者全員に対して、今までファンの方々が見たことのない表情を引き出したいと思っています。

上白石 ビジュアルを撮るときに、みんなで走って撮影したじゃないですか。そのとき、赤堀さんが「なるべく不細工に撮りたいです」とおっしゃっていたのがすごく印象に残っています。

赤堀 走ったり飯を食ったりするときって、人間みんな無防備になるんですよ。そういう表情や居住まいみたいなものを演出で見せたいし、作家としてそれを書きたい。丸ちゃんはアイドルとしてこれだけ長くやってきたから、どんな顔が喜ばれるかを知っていると思うんですが、そういう顔をした瞬間に僕は「やめてくれ」って多分言うと思います。やりづらいかもしれないですが、ファンの方にとっては新鮮でいいかもしれないですよね。逆に飾らない無防備な姿なんて嫌だ、見たくないって思うファンの人もいるだろうけど。

丸山 僕のファンの方たちはそんなふうには感じないと思いますよ。

──丸山さんに関しては、前回の舞台のときに新たな一面を引き出せたのでしょうか?

赤堀 丸ちゃん含め、全員一生懸命で必死だったから、手応えみたいなものは正直わからないです。でも、“みっともない”丸山隆平にはなったんじゃないかなって感じています。

丸山 今まで体感したことのないようなゾーンに連れて行ってもらえたように思いました。本当に毎公演必死につないで、とにかくその場を必死に生きて、泥くさく青春した感じでした。楽しかったと言えば楽しかったんですが、とてもしんどかったです。ただ、その分ビールがむっちゃうまかったです! 終演後に、来られる人だけで集まってビールを頼んだんですが、1杯目はなぜかみんな黙って飲んで。それぐらいしんどかったけど、その1杯目がすごく身に染みました。

「自分を壊して、新たな自分を発見していきたい」(上白石)

──最後に、楽しみにしているお客さんに一言ずつお願いします。

赤堀 若い人にも見てもらいたいと思っています。昨今こういう演劇は値段も高いし、足が遠のく人もいると思うんですが、今回は25歳以下の方向けにリーズナブルな「U25チケット」というのを用意しました。まだまだ人生これからっていう20代の方々に見に来てもらって、人生にはこんな一面もあるんだなとか、あいつらよりはマシかもなとか、登場人物たちの生き様を見て何かを感じてほしいです。演劇という面でも、こんな舞台があるんだって新鮮に感じてもらえたらうれしいですね。

丸山 今までいろんな座組に出演しましたが、ファンの方たちがSNSに感想を投稿してくれるので、どんなふうに刺さったのかなと見たりしているんです。僕の舞台をきっかけに演劇を好きになってくれたらいいなと思っていますが、もし「ちょっと違うな」と感じたとしても、それは「これは違う」と気付ける、つまりチェックポイントが一つ増えたということだと思うんです。まずは見に行かなきゃ始まらないので、ぜひ「震度3」に足を運んでもらいたいです。きっと、これまでにない何かを体感できるんじゃないかと思います。

赤堀 あ、オペラグラスの使用は禁止だよ。

丸山 あっ、それファンの方に伝えなくちゃ! 「オペラグラスを持ってきたら、割りに行くでー!」……って、いや、それはそれで喜ばれるわ!

赤堀荒川上白石 (笑)

赤堀 本多劇場は空気感の伝わる本当に素晴らしい劇場です。大阪シアター・ドラマシティも福岡の北九州芸術劇場も、ちゃんと空気感が伝わる劇場を選びました。だから、オペラグラスで(舞台上の)1点だけを見るのではなく、全体を楽しんでもらいたいですね。

丸山 あとファンの方に、今回オレンジ色の服だと上演中に目立つから着て来ないようにってお願いしようと思います。俺のメンバーカラー、オレンジなので目立つんですよね(笑)。

荒川 丸ちゃんのメンバーカラーはオレンジなんだね(笑)。

丸山 実は僕、小劇場に出るのが今回初めてなんです! 僕自身すごく楽しみだし、せっかく見に来ていただけるなら、お客さんにもマナーや楽しみ方を知ってもらって、小劇場という空間ならではの魅力をまるごと味わってもらえたらうれしいなと思っています。

上白石 赤堀さんの題材は、現実や日々の延長線上にある話で、行き交う会話も身近な事が多いので、演劇に敷居の高さを感じている方にもすごく見やすいんじゃないかと思います。また、私は赤堀作品が初めてなので、皆さんと一緒に作品を作り上げる中で、自分なりに大事してきたものをどんどん壊して、新たな自分を発見していきたいと思っています。もがいている私をぜひ目撃してほしいです。

赤堀 では、最後に座長から。

荒川 僕はもう赤堀さんと一緒です。若い人に見てもらいたいこと。そして劇場のこと。本多劇場もドラマシティも北九州劇場も、本当にいい劇場です。一番後ろでも表情が見えるんですよ。このメンツだと、どう考えてもキラキラした舞台ではないですが、多くの人に見てもらえたらうれしいです。どんな舞台になるかは、本当にわからないんですけどね。

取材・文:金紗利
撮影:山越翔太郎
ヘアメイク(丸山):中嶋竜司(HAPP'S)
ヘアメイク(上白石):坂本怜加(Allure)
スタイリスト(丸山):伊藤省吾(sitor)
スタイリスト(上白石):道端亜未

赤堀雅秋プロデュース「震度3」

2025年8月21日(木)~9月7日(日)

会場 東京都 本多劇場

※8月26日(火)、9月3日(水)は休演日

 

2025年9月10日(水)~16日(火)

会場 大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

 

2025年9月19日(金)~21日(日)

会場 福岡県 J:COM北九州芸術劇場 中劇場

 

「震度3」──気象庁の定めによれば、震度3とは“屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる”という。ニュースで報道されるような大きな地震、震度5強でも最大震度7でもない、「震度3」。平穏なのか不穏なのかもわからない混沌とした日常、しかし確かに得体の知れない何かが迫ってきている、胸をざわめかせるそんな感覚。果たして震度3の地震はやって来るのか、来ないのか——。

主演には前作「ケダモノ」で怪演を見せた赤堀作品常連の荒川良々が約3年ぶりに登場。共演に、赤堀作品2度目の出演であり初めて小劇場の舞台に立つ丸山隆平、初出演となる上白石萌歌をはじめ、名だたる俳優陣が集結。

 

出演

荒川良々 / 丸山隆平 / 上白石萌歌 / 水澤紳吾

山下リオ / 西本竜樹 / 松浦祐也 / 赤堀雅秋 / あめくみちこ

 

スタッフ

作・演出:赤堀雅秋

舞台美術:池田ともゆき

照明:佐藤啓

音響:田上篤志

衣装:坂東智代

ヘアメイク:大宝みゆき

制作:佐々木康志 / 木村義幸

プロデューサー:西田圭吾

赤堀雅秋プロデュース『震度3』特設サイト | 作・演出:赤堀雅秋
赤堀雅秋プロデュース「震度3」

赤堀雅秋(Masaaki Akahori)

1971年8月3日生まれ。千葉県出身。「一丁目ぞめき」(THE SHAMPOO HAT本公演・上演台本)で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。2012年初監督作品「その夜の侍」が新藤兼人賞金賞、ヨコハマ映画祭・森田芳光メモリアル新人監督賞を受賞し、世界の映画祭などに正式出品され、国内外で高く評価された。俳優としても映画、ドラマ、CMなどに多数出演。劇作家・演出家・俳優・映画監督として活動し、社会の片隅に生きる人々のリアルをえぐり出す独特な作風が異彩を放ち、演劇ファンだけにとどまらず幅広い層の支持を集めている。

 

 

荒川良々(Yoshiyoshi Arakawa)

1974年1月18日生まれ。佐賀県出身。1998年に劇団「大人計画」に参加。舞台を中心に俳優活動を開始し、映画「真夜中の弥次さん喜多さん」(’03年)、主演映画「全然大丈夫」(’08年)などで実力派俳優としての地位を確立した。以降、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」(’13年)、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(’19年)、映画「シン・ゴジラ」(’16年)、「Cloud」(’24年)など、数多くの話題作に出演。舞台「ふくすけ 2024 -歌舞伎町黙示録-」、「桜の園」(共に’24年)での演技が評価され、2025年第31回読売演劇大賞・優秀男優賞を受賞。俳優のほか、DJや講談でも活動。唯一無二の存在感と個性あふれる高い演技力で、映画・テレビ・舞台・CMなど幅広く才能を発揮している。

 

 

荒川良々 - 大人計画 OFFICIAL WEBSITE
荒川良々(Yoshiyoshi Arakawa)

丸山隆平(Ryuhei Maruyama)

1983年11月26日生まれ。京都府出身。「浪花いろは節」(’04年)でCDデビュー。ライブではベースを担当。SUPER EIGHTでの活動のほか、ドラマ「自転車少年記」(’06年)で初主演、ドラマ「フリーター、家を買う。」(’10年)で新人男優賞を受賞するなど、俳優として映画やドラマ、舞台に数多く出演。親しみやすいキャラクターと軽妙なトークで世代を超えて人気を集め、バラエティーやCM、ラジオでも多才ぶりを発揮している。

2025年5月には8年ぶりの主演映画「金子差入店」が公開。SUPER EIGHT LIVE Blu-ray&DVD「超DOME TOUR 二十祭」を7月16日(水)に発売。7月よりスタートしたFM COCOLO「Groove-Method」では、レギュラーDJを務める。7月21日からはドラマ「FOGDOG」(読売テレビ系ドラマDiVE枠 毎週(月)25:29~25:59)に出演。さらに、初めて声優に挑戦したアニメーション映画「アズワン/AS ONE」が8月22日に公開を控えている。

 

SUPER EIGHT プロフィール|STARTO ENTERTAINMENT

上白石萌歌(Moka Kamishiraishi)

2000年2月28日生まれ。鹿児島県出身。「第7回東宝シンデレラ」(’11年)に史上最年少でグランプリを受賞し、ドラマ「分身」(’12年)で俳優デビュー。映画やドラマ、舞台など出演を重ね、映画「羊と鋼の森」(’18年)で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(’19年)で見事な役作りが大きな反響を呼んだ。同年、「adieu(アデュー)」として音楽活動を本格的に開始し、「ナラタージュ」や「よるのあと」など繊細で透明感のある歌声で人気を博す。現在、俳優・歌手として活動するほか、声優やバラエティー、ラジオ、CMなど幅広く活躍している。

上白石 萌歌 | 東宝芸能
上白石萌歌(Moka Kamishiraishi)

関連するタグ

この記事の画像

みんなの心の声

177

この記事はいかがでしたか?
1記事10回までリアクションできます

あなたの想いをシェアしよう

関連記事

特集・レポート・インタビュー

おすすめの推しタグ#

おすすめの推しタグ#
「推しタグ#」をフォローして
メニューをカスタマイズ!

フォローした推しタグ#はページ上部に追加されます。「マイページ」から並び替え・削除が可能です。

推しタグ#をもっと見る

記事アクセスランキング

みんなの心の声ランキング

推し楽の公式SNSをフォロー
タイムリーに最新情報をゲット!!