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赤堀雅秋、荒川良々、丸山隆平、上白石萌歌が語る舞台「震度3」 日常に潜む“ざわつき”と熱い座組の魅力

2025年07月21日 12時00分

インタビュー

心の声を届ける!
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左から赤堀雅秋さん、荒川良々さん、丸山隆平さん、上白石萌歌さん。

赤堀雅秋さんプロデュースの舞台「震度3」が2025年8月21日より東京・本多劇場にて上演されます。

ティーザーでは、“震度3”の地震のように、日常でありながらも胸のざわつく不穏な世界観が披露され、注目を集めています。

作・演出を務める赤堀雅秋さん、赤堀作品常連であり本作で主演を務める荒川良々さん、そして2度目の出演となる丸山隆平さん、初出演の上白石萌歌さんにお話を伺いました。

飲み仲間でもある赤堀さん、荒川さん、丸山さん3人の息ぴったりの掛け合いに、上白石さんが新風を吹き込んで、終始笑いの絶えないにぎやかな取材となりました。その熱い様子をたっぷりとお届けします!

「赤堀さんの舞台は、本当にその場を生きている人たちがいるんですよ」(荒川)

──“赤堀作品”の魅力について、それぞれの思いを教えてください。

荒川良々 赤堀さんの舞台は、板の上に立っている人たちが、本当に“そのへん”にいる感じがするんです。演出や脚本にもよると思いますが、舞台を舞台として作り込む感じがない。本当にその場を生きている、そんな人たちがたくさん出てくることが、赤堀さんの舞台の魅力の一つだと思います。

上白石萌歌 荒川さんのおっしゃる通りで、演劇としてバーンと大きく開かれているというより、自分で小さなのぞき穴を作って、その穴から人々の息遣いをこっそりとのぞいているような感覚になります。登場人物は不器用に生きる人たちばかりで、アウトサイダーな人々の掛け合いが多いのですが、そこにいとおしさを感じます。「生きるのが上手な人なんていない」と救いをもらえることも。そんなふうにすごく人間くさくて、泥くさくて、“人”を感じられる舞台です。そして、行き交う言葉はすごく軽快なのに、その奥に生きることや死ぬことの重みを内包した会話劇でもあると思っています。

丸山隆平 赤堀さんの作品は、キッチンやスナックといった生活を感じる身近なセットで物語が進みます。そんな中で、ふと匂いがしてくるような感覚に陥るときがあるんです。きっとセリフだったり、役者さんの居住まいだったり、そういった演出の中で生まれてくるものだと思うのですが、その隠し味がわからないんです。赤堀さんの魅力は、そういった謎や、「どんな出汁を取ってんねんやろうな」と思わせる舞台だと思います。見る側としては、純粋に楽しませてもらっていますね。

──では、皆さんのお話を聞いて、赤堀さんご自身はいかがでしょうか?

赤堀雅秋 僕の舞台の魅力ですか(笑)? 自分ではよくわからないなぁ。どうなんでしょうね。映像で活躍していて舞台もやりたい人って、こんな着の身着のままで舞台に立つみたいなものではなく、普通は舞台らしい華やかな舞台に出たい人が多いと思うんですよ。

──「着の身着のまま」と表現されていましたが、演出家として、赤堀さんの舞台ではどんなことを大切にされているのでしょうか?

赤堀 人前で演技をすることって、すごく“恥ずかしい”ことなんです。その羞恥心を忘れずに、この先もずっと持ち続けたいと思っています。ややもすると、カルト教団のような演出家や稽古場の雰囲気になりかねないので、常にフラットな人間でありたいです。作品は基本的に喜劇でありたいと思っています。たとえ深刻な話や陰惨な展開であっても、滑稽に描きたいし、喜劇性を持ったうえで表現したいです。

──本作はどういった作品になりそうか、聞かせていただけますか?

赤堀 それが、まだ明確なものはないんです。追い詰められてはいるんですけどね(笑)。僕の書くことはさまつなことで、さっき萌歌ちゃん(上白石)が話していたように、日常の断片をどう切り取るか、っていうところなんですが、書き進めながら「これは新しい試みだな」とか、「発明したな」っていうことが自分の中で発見できると、筆がワクワクと乗っていくのですが、その発明をするまでが大変なんです。

──タイトルの「震度3」がすごく赤堀さんらしいと感じました。恐怖心をすぐに感じる震度5や7ではなく、ギリギリ気にならない震度3なんですね。

赤堀 何かが起こるような予兆でもあり、すでに起こっているのに思考が停止して何も気付いていないのか、気付いていないふりをしているのか……という。自分の中で“震度3”のあんばいが一番しっくりしました。基本的には日常の機微みたいなことで、落語でいうところの熊さんと八っつぁんの掛け合い程度の内容です。でも、いつもそんな程度のことがやりたいし、そんな程度のことを一番大事だと思っていて、僕はそんなことをやりたいんです。できる限り、社会派っぽくならない程度に、今の世の中で自分が感じていることを表出できればと思っています。

「ついてしまった癖を、滝行のように流してもらえるんです」 (丸山)

──出演者の皆さんは、どんな気持ちで臨まれているか聞かせてください。

荒川 僕はもう何もないです。稽古場で加味修正してもらえるので、裸で臨みます。自分自身、「よし! 主役だ!」という感じでもないし、舞台中央でピンスポットが当たって客席に向けてしゃべるような芝居でもない。いや、もしかしたら、(赤堀さんが)あえてやる可能性もありますけどね(笑)。なんでしょうね、一生懸命やるしかないです。

赤堀 ……。(深く考え込む)

丸山 「いや、取材って残酷だ......」と改めて感じていました(笑)。僕らではためらうようなことも真正面から問いかけていましたね......!

赤堀 カウンセリングみたいだったよね(笑)。

丸山 「今の自分はこういう状態なのか」って、改めて気付くやつですよね(笑)。やっぱり座組によって求められる事が違うので、正直、現時点ではまだわからないです。僕の場合は、赤堀さんの下で芝居をさせてもらうと、変な癖が抜けるというか、普遍的な状態に戻るんです。いろんなお仕事をしていると、癖がついてしまう事があるんですが、その癖をまるで滝行のように流してもらえるところがあります。

上白石 私は赤堀さんの作品に出演するのが初めてなので、何か備えられる事がないだろうかといつも探しています。きっと赤堀さんは稽古場で人が板の上に立っている姿を見て、それぞれにそれぞれのストーリーを書いていかれると思うのですが、まだ未知な事ばかりで、今はとにかく早くお稽古に行きたいという気持ちです。

赤堀雅秋プロデュース「震度3」

2025年8月21日(木)~9月7日(日)

会場 東京都 本多劇場

※8月26日(火)、9月3日(水)は休演日

 

2025年9月10日(水)~16日(火)

会場 大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

 

2025年9月19日(金)~21日(日)

会場 福岡県 J:COM北九州芸術劇場 中劇場

 

「震度3」──気象庁の定めによれば、震度3とは“屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる”という。ニュースで報道されるような大きな地震、震度5強でも最大震度7でもない、「震度3」。平穏なのか不穏なのかもわからない混沌とした日常、しかし確かに得体の知れない何かが迫ってきている、胸をざわめかせるそんな感覚。果たして震度3の地震はやって来るのか、来ないのか——。

主演には前作「ケダモノ」で怪演を見せた赤堀作品常連の荒川良々が約3年ぶりに登場。共演に、赤堀作品2度目の出演であり初めて小劇場の舞台に立つ丸山隆平、初出演となる上白石萌歌をはじめ、名だたる俳優陣が集結。

 

出演

荒川良々 / 丸山隆平 / 上白石萌歌 / 水澤紳吾

山下リオ / 西本竜樹 / 松浦祐也 / 赤堀雅秋 / あめくみちこ

 

スタッフ

作・演出:赤堀雅秋

舞台美術:池田ともゆき

照明:佐藤啓

音響:田上篤志

衣装:坂東智代

ヘアメイク:大宝みゆき

制作:佐々木康志 / 木村義幸

プロデューサー:西田圭吾

赤堀雅秋プロデュース『震度3』特設サイト | 作・演出:赤堀雅秋
赤堀雅秋プロデュース「震度3」

赤堀雅秋(Masaaki Akahori)

1971年8月3日生まれ。千葉県出身。「一丁目ぞめき」(THE SHAMPOO HAT本公演・上演台本)で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。2012年初監督作品「その夜の侍」が新藤兼人賞金賞、ヨコハマ映画祭・森田芳光メモリアル新人監督賞を受賞し、世界の映画祭などに正式出品され、国内外で高く評価された。俳優としても映画、ドラマ、CMなどに多数出演。劇作家・演出家・俳優・映画監督として活動し、社会の片隅に生きる人々のリアルをえぐり出す独特な作風が異彩を放ち、演劇ファンだけにとどまらず幅広い層の支持を集めている。

 

 

荒川良々(Yoshiyoshi Arakawa)

1974年1月18日生まれ。佐賀県出身。1998年に劇団「大人計画」に参加。舞台を中心に俳優活動を開始し、映画「真夜中の弥次さん喜多さん」(’03年)、主演映画「全然大丈夫」(’08年)などで実力派俳優としての地位を確立した。以降、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」(’13年)、大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(’19年)、映画「シン・ゴジラ」(’16年)、「Cloud」(’24年)など、数多くの話題作に出演。舞台「ふくすけ 2024 -歌舞伎町黙示録-」、「桜の園」(共に’24年)での演技が評価され、2025年第31回読売演劇大賞・優秀男優賞を受賞。俳優のほか、DJや講談でも活動。唯一無二の存在感と個性あふれる高い演技力で、映画・テレビ・舞台・CMなど幅広く才能を発揮している。

 

 

荒川良々 - 大人計画 OFFICIAL WEBSITE
荒川良々(Yoshiyoshi Arakawa)

丸山隆平(Ryuhei Maruyama)

1983年11月26日生まれ。京都府出身。「浪花いろは節」(’04年)でCDデビュー。ライブではベースを担当。SUPER EIGHTでの活動のほか、ドラマ「自転車少年記」(’06年)で初主演、ドラマ「フリーター、家を買う。」(’10年)で新人男優賞を受賞するなど、俳優として映画やドラマ、舞台に数多く出演。親しみやすいキャラクターと軽妙なトークで世代を超えて人気を集め、バラエティーやCM、ラジオでも多才ぶりを発揮している。

2025年5月には8年ぶりの主演映画「金子差入店」が公開。SUPER EIGHT LIVE Blu-ray&DVD「超DOME TOUR 二十祭」を7月16日(水)に発売。7月よりスタートしたFM COCOLO「Groove-Method」では、レギュラーDJを務める。7月21日からはドラマ「FOGDOG」(読売テレビ系ドラマDiVE枠 毎週(月)25:29~25:59)に出演。さらに、初めて声優に挑戦したアニメーション映画「アズワン/AS ONE」が8月22日に公開を控えている。

 

SUPER EIGHT プロフィール|STARTO ENTERTAINMENT

上白石萌歌(Moka Kamishiraishi)

2000年2月28日生まれ。鹿児島県出身。「第7回東宝シンデレラ」(’11年)に史上最年少でグランプリを受賞し、ドラマ「分身」(’12年)で俳優デビュー。映画やドラマ、舞台など出演を重ね、映画「羊と鋼の森」(’18年)で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(’19年)で見事な役作りが大きな反響を呼んだ。同年、「adieu(アデュー)」として音楽活動を本格的に開始し、「ナラタージュ」や「よるのあと」など繊細で透明感のある歌声で人気を博す。現在、俳優・歌手として活動するほか、声優やバラエティー、ラジオ、CMなど幅広く活躍している。

上白石 萌歌 | 東宝芸能
上白石萌歌(Moka Kamishiraishi)

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