第4回釜ケ崎の生き字引になった「アシュラ」 変わる街は社会問題の縮図

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市原研吾 矢島大輔
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 「日雇い労働者のまち」として知られる大阪市西成区釜ケ崎

 西成区全体の8・4%にあたり、通称「カマ」とも呼ばれるこの地域の「生き字引」がいる。

 紫色の髪がトレードマークの地域史研究家の水野阿修羅さん(74)だ。学生運動のセクト(党派)対立で狙われ、21歳の時に釜ケ崎にたどりついた。

 それからはトラック運転手や工場勤務、建設作業……。一日限りの日雇い、30日以内の期間契約のどちらの日雇い労働も経験してきた。

 「阿修羅」は釜ケ崎でついたあだ名だ。

 過激な描写で話題になった漫画「アシュラ」(ジョージ秋山作)の主人公に似ているとして、定着していった。

 72年には、暴力団とつながって賃金をピンハネ(中抜き)する「暴力手配師」を追放する団体を仲間と結成した。

 この年、相手の事務所に乗り込んで抗議したときのことだ。

 労働者が仕事を求めて集まる「あいりん総合センター」で拉致されそうになり、危うく難を逃れたが、事態はさらにエスカレート。

 同センターで木刀などを持った十数人と乱闘になった。

「日雇い歴はざっと45年」と語る水野阿修羅さん。釜ケ崎が変わる転機のひとつは、東日本大震災だったと語ります。

 約50人の労働者仲間と取り…

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