週末日記 2025年7月11日
月曜日:朝、三田ガーデンを買った純資産に棟内見学させてもらう。東京簡易保険支局だった頃、バイトでよく出入りしていた。エントランスのスロープや石の手すり階段が懐かしい。それにしてもとてつもない規模だった。30分くらい歩いて、まだ全体の4割しか見ていない、と言われた。帝国ホテルが運営するバーから眺める三井倶楽部。財閥が協力するとこんな事ができるんだな。棟内を歩いているのはほとんど業者で、クリスチャンディオールのバッグを持ったジャッカルが職業不詳の瞬間最大P/Lが膨らんでそうな短パン白シャツ男と、日中なのに夜景のSNS動画が吹き出してるラ女を案内していた。やっぱりこうなるんだ。
この話を後日体験談としてアヒルさんにお話したら…
三田ガーデンヒルズを住めないのに見に行った人たち、みんな三田ガーデンヒルズを絶賛してる。住めないのに。
— どエンド君 (@mikumo_hk) July 9, 2025
ほんとにその通りだけど文章にするのやめろよ。
夕方:ダンプカーを主に明け渡しで使うタイプの地上げ屋さんがくる。元気いっぱいだ。地上げ案件の融資について話をする。なかなか融資が引きにくいから、審査の建付けが必要だ。どうするんだろうか。動向がちょっと気になる。カポボロで軽い夕食を摂って帰える。
火曜日:近隣の不動産ホルダーから所有物件の運用方法について問い合わせがあったので、物件内見と弊社の民泊物件を見学してもらう。奥渋の中でも悪くない場所だ。管理が放棄されていた。賃料は20年変わってないそうだ。部屋の仕様も30年前のトレンドから一切変更されてなかった。うちが得意なやつだ。デカい部屋は事務所に転換、まずは小さい部屋をリノベして民泊する方向がよい、と伝えた。
しかし良い物件だった。運用を弊社にスイッチすれば、もっと総賃料が出るはずだ。ただ、ホルダーは「お金はもういらない」と言っていた。いらないんだ。代わりにもらってあげたい。
建物の経年変化もそうだが、意思決定権者が放置したままにしている未活用資産は、都心部でも実は結構見かける。我々にとって土地建物は仕事のタネなので重要な存在だが、もともと保有してる所有権者からすると既にあるものだし、必ずしも優先順位が高いものではない。どうしてそっち側に私を産んでくれなかったんだろう。岸田が憎い。
水曜日:昼、また恵比寿の即死タコスにいく。だんだん全貌が見えてきた。家賃は180万前後だと推測。2,000円のタコスを300枚売ればペイするだろう。なんか割と出来てそうな気がする。三田ガーデンを絶賛してたら、目の前の短パンが来月、虎ノ門から引っ越しだと言う。てか、虎ノ門って食材や日常用品どうしてるの?と聞いたら金の力でなんとかしていると言っていた。麻布台とかを日常使いするそうだ。
夜、弊社からスーパーマンションを購入した金融の大パイセンと会食へ。「女房の口座に30Mあったので、これどうしたんだ?と聞いたら、あなたが送金してきたんでしょ、って言われたんだけど、全く覚えてないんだよな…」と言う、なんでそういう事になるのかわからない話を相談してきた。純資産が富裕しすぎると、自分の資産残高がどこにどれくらいあるかわからなくなるらしい。先生、我々の懐事情じゃ、想像にも及びません。
大パイセンとの間に共通の知人が大勢いる。低位株界隈の資金調達のセレブリティ達。古巣の金融山賊業からの付き合いは立場を代え、名義を変え、資本市場を替え、未だに連綿と続いている。
金商法の専門家達は我々よりも一桁以上大きい世界で生きている。株なら5倍10倍があるけど不動産はせいぜい2~3倍だろ、と言われる。その通りです。私は貴方がたの不動産機動部隊として下請け人工を提供し、今後も作戦に従事します。
木曜日:朝、クレジットクランチで沖に流されていたパイセンの事務所へ行く。前期売上350億、スタッフは240人だ。100人は入れる規模のピカピカの受付。どっかで見たなこの感じ。TATERUが東郷神社と揉めてたダヴィンチの跡地にあった時のオフィスだ。みんなくるぶしまでしかないパンツ履いてたな。元気かな。まだフォトショップやってるのかな。
担当者を待つ。
活気に満ち溢れたポジティブなメッセージが電子ボードに次々に現れる。2009年から今まで私は何をしてきたんだろう。気持ちがもうダメです。昼寝しよう。
夕方、検討している南平台の物件資料が送られてきた。外観を見た際、「これは増築してるな〜」と社内で話あっていて、そのため図面で確認するべく契約時図面を取り寄せた次第だ。さっそく図面開いてみる。5階の表記はなく、屋上と記載された平面図に階段室だけが描かれていた。空が広い。ストビューの空撮で見ても約40㎡以上はあるんだけど。とてもじゃないけどまともに値付け出来る内装じゃないので、現場で3割指値したら会話がなくなった。
(容積オーバーの何がまずいのかと言うと、融資で否決になるケースがあるからだ。取得時はノンバンク等のゆるゆる金融機関から調達するため、重大な容積オーバーでなければ、まず問題にはならない。そこから改修工事、リテナントした後の売却時の融資で躓く。なので永久保有であればよいが、工事費がかなりかかる物件〘イメージ、本体価格の20%以上〙の場合、売却するまで工事費を現金化して取り戻す事が出来ないのだ。)
昼、連絡取れなくなったテナントの代表者からメールが届く。ロイヤーと相談してたから回答が遅くなったそうだ。そうなんだ。まあいいや。その弁護士対応遅すぎるから代えたほうがいい気がする。メールの最後に「本件について当社の見解」みたいなものが記載されていた。理屈はわかる。まあそうなんだろうけど、弊業界では法人間の貸し借りについて下記のような「長期的相互信頼関係を尊ぶ土壌」がコモンセンスとなっている。賃貸借契約上の行き違いは、決裁権者が事前に打ち合わせすることで解決することが多々ある。企業総務の偉い人達は、これをなんとなく体感ベースで知っている。そこから極端に逸脱した行為は借主の地位のプレゼンスを下げる方にしか動かないと思うんだけど、多分わかってないっぽい。仕方ない。面白いテナントで残念だけど、今後は条件で付き合って行くコミュニケーションへ方針転換する。
有難う御座います、スミフ方式にしろということですよね(違う)ロジックとして理があるのですが日本の借地借家法と、特に法人間等での長期的相互信頼関係を尊ぶ土壌の要素は軽視出来ないとも感じます。
— 真壁六郎太_2.1 (@nomobilemail_1) July 8, 2025
(真壁さんは距離感がバグってるタイプのきちがいだけど、不動産界隈のディールフローや、業界関係者のメンタリティについては、かなり芯を食ったポストをすることがある。ただのきちがいじゃない。)
金曜日:昼、新たな業務委託先と面談する。割と面白いのだが数字化がするまで少し時間を要するかもしれない。代表者は事業で発生する人員をすべて業務委託で経費化していた。また関係事業会社を子会社化しないタイプの別法人で運用していた。これ、たぶん消費税も払ってないな。
担当者は打ち合わせで財布に札束が流れ込んでくるビジョンが見えたっぽくて大爆笑しながら帰っていった。ちょっと時間給で考えると儲かるのか問題はあるけど、おもしろそうだからやっていってみよう。担当スタッフも新婚だし。月末までに日帰りで知多半島まで行ってきてください。
夕方、面談予定を顧客が忘れていてアポイントがぽっかり空いた。リマインドすればよかった。年配の方だったのであえて白いシャツで出社したんだけど。仕方ない。別の決定に取り掛かろう。
夜、抵当権設定承諾書に押印出来ないタイプの主張をする借地を検証する。気持ちはわかる。でも弊社はどちらかと言うとマイルド寄りな不動産投資会社だから許してほしい。レンダーの承諾が先、物件が後の案件なので、絶対にお金を借りなければならない。わかる?この複雑なお気持ち。現預金→返済→空いた担保にバックファイナンス→。
返済されるレンダーがしこたまメンヘラになる。苦難は続く。
To Be Continued
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