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生まれたときから、自宅を離れて生活することを選んだ若者たちと一緒に暮らしてました


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血のつながっていない、入れ替わりのあるおにいさん、おねえさんたち

先日、亡き父親が1982年に出版した最初の書籍がリメイクされて再出版されました。話には聞いていましたが、自宅から手元に届いてふと「読んだことない(存在すら知らない)」と思い、パラパラめくっていました。

冒頭、再出版で追加された母親の回想シーンから始まるのですが、僕が登場します。お腹のなかにいる僕が。なぜ、学習塾なのか。どうして東京都福生市なのか。僕が物心ついたときにはたくさんの生きづらさを持つおにいさん、おねえさんと寝食を共にしていたわけですが、そこに至る経緯は何だったのか。断片的には聞いていた話の詳細が理解、把握できました。

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※リメイク版『さらば寂しすぎる教育 - 福生市・タメ塾の記録』(工藤定次・工藤姫子、新評論)
※原著版『学習塾の可能性 - 福生・タメ塾の記録』(工藤定次、ユック舎)

僕にとって一緒に暮らすおにいさん、おねえさんたちは、いつだって優しく、一緒に遊んでくれる存在です。学校から自宅に「ただいま」と帰れば、家族は誰もいないのに、数名から数十名の家族が「おかえり!」と言って迎え入れています。血のつながりはありませんし、数か月から数年で家からいなくなってしまう家族です。

生まれてからの人生、ほぼ一人暮らしをしたことがありません。もっと言えば、血のつながった家族がひとつ屋根の下に全員いた期間は数年に満たないのではないでしょうか。誰かとともに食卓を囲み、血縁の有無を問わないひとたちと暮す生活は、本当にいろいろありました。登校拒否、不登校、ひきこもり、学校や地域に居場所がなく、家庭で孤立・孤独状態にあった若者や子どもたちが、「僕の家」に来ることになった経緯や心境は、幼い頃はまったくわかりませんでしたが、いまもあまりわかっていません。

それでも何かをきっかけ、変化を求めて、自宅を一歩踏み出し、僕の家に一歩入った、その事実は少なくとも40年以上前から積み重なっています。家庭内のことは外から見えづらいと思いますが、共同生活の支援施設もまた社会からは見えづらいと思います。その見えづらさがトラブルを生み、実際にさまざまな事故や事件になった歴史もあります。僕も若者支援業界に20年いますので、そういった歴史は伝承的にもリアルタイムでも経験しています。

それでも、自宅を離れて誰かと暮すことの方が生きやすくなる若者や子どもたちがいないわけではありません。現に父親の葬儀にはたくさんの、僕の血のつながらないおにいさん、おねえさんが全国から駆け付けてくれました(ほとんど記憶にないなかで、久しぶりですとか言っていたのは秘密にしています)。


親から離れること、子どもから離れること

育て上げネットは通所型とオンライン型の若者支援NPOです。夏のキャンプやワークキャンプはやりますが、あくまでもプログラムのひとつであり、専門ではありません。一方、たくさんの若者たちと出会うなかで「これは自宅や家族から一時的にせよ離れた方がいいのではないか」という状況、環境の若者は少なくありません。しかし、その場合でも若い世代を支援する支援者は、どれだけ宿泊・共同生活型の若者支援があるのか、具体的にどんなことをするのか、生活の自由度はどうか。お金はいくらかかるのか。詳しいひとの方が少ないと思います。

また、実際に親から離れた方がよいのではないか、親が子どもと距離を取った方がいいのではないかというケースに直面される支援者もいると思います。その際でも、成功例や心配例を含めて、特に若者支援分野に入って3年未満くらいですと、親子の距離が長期間物理的に離れるとはどういうことなのか、想像しづらいのではないでしょうか。

共同生活型支援の居住環境、食生活や自由度、料金体形や効果まで

2023年9月28日(木)20:30-22:00に、オンラインで社内外研修を企画しました(無料です)。コロナ禍もあり、特に若者支援を始めて1年から3年くらいですと、支援の姿勢や基礎知識、ケース会議などを通じたOJTが中心で、周縁的な、または、参考的な情報共有までは至ってないと思います。社内研修に限らず、直接ひとが集う機会がほとんどないなかで、共同生活型の若者支援をしているひとと偶然出会ったり、その施設に見学や「宿泊してみた」というひともごく少数でしょう。

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それは育て上げネットでも同じで、せっかく複数の共同生活型支援の実践者を招いて、オープンに聴ける機会があるなら、広く関心のある若者支援者にも開いて行おうということになりました。詳細やお申込み方法はこちらのサイトからご確認ください。

僕は、宿泊型支援の利用経験者ではありませんが、そのような場で暮らした経験はあります。過去に全国の宿泊型支援施設はどれくらいあって、どんな施設で、どんなスタッフが運営し、どんなことをやっているのだろうというのを調べて書籍にした経験もあります。育て上げネットでは共同生活を通じた自立支援は行っておりませんが、親から離れた方がよさそうな若者とはたくさん出会っています。

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『全国ひきこもり・不登校援助団体レポート: 宿泊型施設編』(プラットフォームプロジェクト、ポット出版)

それでも、いまの宿泊型・共同生活型の支援について詳しくはないですし、生活スペースに泊まらせていただくことも、この数年は特にできませんでした。それでも自宅を離れ、誰かとともに暮しながら、自分の道を見つけていく支援スタイルがあることは、現場支援者として少しでも理解をしておくことが大切だと考えています。短い時間ではありますが、一緒に学びましょう。

育て上げネット
理事長 工藤啓


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