「外国人の特権?ないのでは」「憲法草案?読んでない候補者も」選挙後の神谷代表の言動に透ける参政党の危うさ

2025年7月22日 06時00分 会員限定記事
2

記事をマイページに保存し、『あとで読む』ことができます。ご利用には会員登録が必要です。

 20日の参院選は参政党の伸長が注目を集めた。「日本人ファースト」を掲げ、14議席を獲得した。だが、同党は選挙戦を通じ、神谷宗幣代表や候補者が外国人政策などを巡る不正確な発言を連発し、批判を巻き起こした。投票終了後、神谷氏が何を言ったかというと…。(中根政人、西田直晃)

◆物議を醸す発言や行動が次々と

 「とにかく『日本人ファースト』。国民の声をしっかり聞いて、党員の皆さんの思いをしっかり受け止めた政治をやる」。参院選の投票から一夜明けた21日夕、東京・新橋で街頭演説に立った参政党の神谷代表は声を上げた。

開票経過を受け、メディアのインタビューに答える参政党の神谷代表=20日、東京都新宿区で(市川和宏撮影)

 参政党は2020年、元大阪府吹田市議の神谷氏らを中心に結党。新型コロナウイルスのワクチン接種に疑問を示したほか、外国人参政権への反対や外国人労働者の抑制など保守色が強い政策を主張してきた。短期間での躍進をアピールする同党だが、参院選では神谷氏や候補者の物議を醸す発言や行動が相次いだ。
 神谷氏は公示日の3日、日本外国特派員協会の記者会見で、親和性の高い他国の政党を尋ねられ、トランプ大統領を支える米共和党の保守派に加え、欧州の極右・右派政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」や英国の「リフォームUK」、フランスの「国民連合(RN)」を列挙。
 同日の街頭演説では「高齢の女性は子どもが産めない。若い女性に子どもを産みたいとか産んだ方が安心して暮らせるなという社会状況をつくらないといけない」と発言。「女性の尊厳を傷つけた」といった反発が広がった。

◆選挙後に言った身もふたもない説明

 13日の演説では、宮城県の水道事業について「国がやらないから民営化しちゃう。なんでそれを外資に売るのか」と主張。同県の村井嘉浩知事が事実と違うと、謝罪と訂正を求める抗議文を提出する事態に。

東京選挙区で当選確実となったさや氏(左)と一緒にパネルに花を付ける参政党の神谷代表=20日、東京都新宿区で(市川和宏撮影)

 また、東京選挙区で初当選したさや氏がロシアの国営メディア「スプートニク」のインタビューを受けていた事実が判明。ロシア政府のプロパガンダに加担したとの批判を呼んだ。
 投開票日の20日夜から21日未明にかけ、神谷氏は東京都新宿区内に設けた開票センターでメディア対応した。そこで展開されたのは、選挙戦での問題発言についての開き直りに加え、党の政策を巡っての身もふたもない説明だった。

【参政党関係者の不正確さのある発言例】(6月下旬以降。取材、報道から)
・「外国人の重要犯罪が増加している」(吉川里奈氏、6月23日、街頭演説)
・「(選択的夫婦別姓は)日本の治安を悪くする」(神谷宗幣氏、6月30日、テレビ討論)
・「核武装が最も安上がり」(さや氏、7月3日、ネット番組)
・「生活保護は受給権がない外国人ばかり」(初鹿野裕樹氏、3日、街頭演説)
・「外国人からは相続税が取れない」(神谷氏、6日、民放番組)
・「沖縄戦での日本軍の沖縄県民殺害は例外的」(神谷氏、8日、街頭演説)
・「宮城県は水道事業を民営化し、外資に売った」(神谷氏、13日、街頭演説)

◆憲法草案を読むことを「候補者には徹底してない」

 「高齢女性は子どもが産めない」との発言については「言ったことを切り取られて、だいぶ批判を受けたが、今でも撤回していない。女性は一定の年齢を重ねていけば子どもが産めなくなる」と「女性の尊厳」などから論点をずらした上で「(発言を問題視した)マスメディアのあり方に不満を持っている国民が加勢してくれた」とメディアに責任転嫁し、自らを正当化した。
 天皇を「元首」と位置づけ、国が「主権」を有するとした党の憲法草案については、21日未明の記者会見で「(参院選の候補者は)ちゃんと読んでないんじゃないか」と発言。草案自体が「あくまで議論のたたき台」とした上で「候補者に必ず読むようにというふうには徹底していない。読んでいる人と読んでいない人がいると思う」と、しれっと語った。 

◆「逆転現象が生まれているのでは」

 さらに、憲法草案に「国民主権」が明記されておらず、国家主義的な点を指摘されると「(草案は)国民主権の前提で書いていたが、書いていないと心配だという声があるのであれば、書けばいいと思う」とあっさり回答した。
 「日本人ファースト」を訴える根拠となるはずの「外国人の特権」が日本に存在するかどうかについても、神谷氏は会見で「特にないのではないか」と説明。「日本人が『平等じゃないな』と感じるような事例はいくつかあるかもしれない」と、有権者側の感情論だと言わんばかりだった。

東京・新橋で21日、参政党の神谷氏らの街頭演説に集まった人たち=21日、東京都港区で(木戸佑撮影)

 会見に出席した選挙ウオッチャーでフリーライターの畠山理仁(みちよし)氏は「憲法草案について、候補者たちも是としているのかを質問したが、(神谷氏の返答に)びっくりした」と振り返る。さらに「参政党の躍...

残り 1264/3179 文字

この記事は会員限定です。

有料会員に登録すると
会員向け記事が読み放題
記事にコメントが書ける
紙面ビューアーが読める(プレミアム会員)

※宅配(紙)をご購読されている方は、お得な宅配プレミアムプラン(紙の購読料+300円)がオススメです。

会員登録について詳しく見る

よくある質問はこちら

記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

カテゴリーをフォローする

  • 『カテゴリーをフォロー』すると、マイページでまとめて記事を読むことができます。会員の方のみご利用いただけます。

  • 『カテゴリーをフォロー』すると、マイページでまとめて記事を読むことができます。会員の方のみご利用いただけます。

  • 『カテゴリーをフォロー』すると、マイページでまとめて記事を読むことができます。会員の方のみご利用いただけます。

コメントを書く

ユーザー
コメント機能利用規約

    みんなのコメント2件

  • ユーザー
    補助線 2 時間前

    メディアは参政党の候補者が自らの党の憲法草案?のようなものを読んでいないのではないかというような「エピソード」を取り上げることで何か批判した気になるのではなく、今回当選した議員に参政党の憲法案に書かれていることについてどう思うのか徹底的に質問してほしい。
    日本人と外国人という抽象的な対比で世界を平滑化してしまい、同じ言葉を繰り返すだけになってしまうこうした思考を解体するため可能な道は、具体的に粘り強く考えることにより思考を現実の問題に接地させることだけだと思う。。
    自らを「参政党」を対象化できる「外部」であると認識した瞬間から「参政党問題」は永続化する。参政党問題は、我々の問題(近代が生成した自己意識、自由な個人主体、アイデンティティーという概念自体)だという認識から、ようやくその解体が始まるのではないか。

    日本人と79億人近い外国人を対比させてどうするつもりなのか、何が不安なのか、何に自らは怒っているのか、具体的に語ってもらい、それについて具体的に考える事だけが、こうした「アイデンティティー」を互いに「脱構築」していく道筋になるのではないか。

    コメントに『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

    • ユーザー
      大手町の従業員 4 時間前

      参政党はヨーロッパのように、合法の範囲内で”きれいなヘイトスピーチ”で煽り、支持を得ました。

      ヘイトスピーチ法規制を整備した場合、アメリカ、ドイツ、イギリスなどのように悪用されることが明らかであることを示しています。

      中期的には生活の状況を改善し、長期的には教育の状況を改善させる以外に手段はありません。

      コメントに『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。

    
    おすすめ情報

    こちら特報部の新着

    記事一覧