ソフトバンクG、OpenAIとの70兆円AI投資計画が足踏み 米報道
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は21日、ソフトバンクグループ(SBG)などの人工知能(AI)インフラ投資計画「スターゲート」が苦戦していると報じた。すぐに1000億ドル(約14兆円)を投資するとしていたが、年末までに小規模なデータセンターを建設する目標に縮小されているという。
SBGの孫正義会長兼社長は1月、ホワイトハウスで米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)らと4年間で5000億ドルの投資計画を発表した。全米にAI向けのデータセンターを建設し、電力需要を賄う発電施設も併設する。孫氏は2月に「これからの人類の未来に影響を与えるプロジェクトになる」と述べていた。
WSJによると、SBGとオープンAIはデータセンターの建設場所などを巡って折り合えていないという。関係者の話として、年末までにオハイオ州に小規模データセンターを建設するという、より控えめな目標を設定しているという。
SBGの後藤芳光最高財務責任者(CFO)は5月の決算説明会で「スターゲートは現在100件以上の候補地の提案を受けており、1号〜3号案件はテキサス州になるだろう。(案件成立の)かなり近いところまで来ている」と述べていた。
WSJの報道を受けて、SBGとオープンAIは共同で「米国内で10ギガ(ギガは10億)ワットの新たな計算能力を構築するスターゲートは、もはやビジョンにとどまらず、現実のものになりつつある」と反論した。両社は「急ピッチで候補地の評価を進めており、すでに複数の州でプロジェクトが進行している」とした。
SBGはオープンAIとの関係を深めている。4月にはオープンAIに300億ドルの追加出資を発表した。累計出資額が322億ドルとなれば、金額ベースで米マイクロソフトを上回って最大の資金の出し手になる見通し。マイクロソフトはオープンAIとの関係見直しを進めており、オープンAIの巨額の投資負担をSBG側が負うリスクもある。