ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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やべ、予約設定ミスってた……。


第20話 コアエリアの戦士VS第11宇宙

 監獄惑星崩壊によるコアエリアの戦士解放より半日が経過した。

 僅か半日で既に第6、第9、第10宇宙の三つが壊滅状態に追いやられ、それぞれの宇宙が誇る精鋭達が敗れ去った。

 恐るべき襲撃者達を前に、本来対処すべきはずの破壊神は未だ戻らず、破壊神以外の神々では対抗すら出来ない。

 しかしだからといって全ての宇宙が一方的に怯え、踏みにじられているわけではない。

 未知の襲撃者達を相手に一歩も退かずに抵抗している宇宙もまた存在していた。

 

「貴様等にこれ以上、我等が宇宙を好きにはさせん!」

 

 破壊神はいなくとも、破壊神候補(・・)ならば話は別だ。

 第11宇宙でコアエリアの戦士達はこれまでにない抵抗を受けていた。

 この第11宇宙はあの力の大会でも優勝候補として名を連ね、第七宇宙と渡り合ってみせた強豪宇宙だ。

 第11宇宙を守るプライド・トルーパーズのリーダーであり、破壊神候補でもあるトッポはビルス等の破壊神と同じ紫のオーラを纏い、破壊の力を以て侵略者に立ち向かっていた。

 

「破壊神の力か……面白い!」

 

 しかしトッポと戦っているのはパワーだけならば本物の破壊神すら凌駕する悪のサイヤ人、カンバーだ。

 破壊のオーラすらも悪の気で相殺し、本来殴り合いが成立しないはずのトッポを相手に超サイヤ人2の状態で互角以上の戦いを繰り広げていた。

 金に変色した髪を振り乱し、全身からはスパークが迸る。

 トッポの拳とカンバーの拳が正面から衝突し、余波で周囲の建造物が根こそぎ消し飛んだ。

 

「第11宇宙を……舐めるなよ!」

「あははっ、強い強い!」

「姉さん、こいつ手応えあるよ!」

 

 トッポから少し離れた場所では最高速モードとなったディスポがオレンとカミンの姉弟を相手に決死の戦いを見せていた。

 二人では捉えられない超速で死角に回り込み、一方的に拳と蹴りを叩き込み続ける。

 だが心理的に余裕があるのは、むしろ押されているように見える姉弟の方であった。

 二人は強い再生能力を持ち、少しくらいのダメージならばすぐに治してしまえる。

 ならばこの二人を倒すのに必要なのは再生能力など無視できる圧倒的なパワーだ。

 一撃でKOされてしまえば再生もクソもない。

 だがディスポの攻撃は軽かった。

 彼の強みは圧倒的なスピードにあり、ジレンやトッポのような拳の重さはない。

 無論スピードを乗せて拳を打っているのだからその分の威力はしっかりと出ているし、助走をつけて殴れば普段以上の重さを出す事は出来る。

 だがやはり根本的な部分でパワーがないのだ。

 ディスポはそのスピードで格上にだろうと勝つ事が出来る。

 だがスピード頼りである為に、それが通じない場合は格下にも負けかねない。

 その脆さを既にオレンとカミンは見抜いている。

 だから二人はディスポの必死の戦いを、余裕をもって受けているのだ。

 

「勝負あったわね」

「……そのようだな」

 

 その戦いを上空から見ているのはコアエリアの戦士であるラグスと、第九宇宙を壊滅させた男であった。

 隣には子供用の絵本に出そうなバイキンを丸っこくしたような小さな物体が浮遊しており、戦いを凝視している。

 

「シーラス、貴方は戦わないの? そのアムズっていうAI生命体に戦闘データを積ませるんでしょ?」

「既にデータの収集は始めている。問題はない」

 

 シーラスと呼ばれた男は素っ気なく言い、戦いへと視線を戻した。

 彼はコアエリアへ収監される前は時の狭間に封じられていた男だ。

 その前は時の界王神の下で働くタイムパトローラーであり……彼はその潔癖さ故に時の界王神と袂を分かった。

 彼には悪が我が物顔で歩いている事が我慢出来なかったのだ。

 それがたとえ過去の、既に過ぎ去った歴史であろうと罪なき者が殺されるのが見過ごせなかった。許せなかった。

 全てを救いたいと願い、そして救えない事が歴史で確定してしまっている今の宇宙を呪った。正義の脆さを嘆いた。

 何故優しき者が平和に暮らせぬのか。何故悪がいつまでも滅びないのか。

 やがて彼の正義感は暴走し、終わりと始まりの書を燃やす事で新たな歴史を一から創造しようと企て……時の界王神によって時の狭間に追放された。

 そして今、彼の前では今の宇宙の脆い正義が打ち砕かれようとしている。

 どれだけ正義が抵抗しても、今の宇宙は悪が笑うように出来てしまっている。

 だから救えない。守れない。

 宇宙を一から創り直さぬ限り、この歪んだ世界は正せないのだ。

 そう彼は信じていた。

 

「……そろそろ決着だな」

 

 シーラスがそう言うと同時にディスポが倒れた。

 最高速モードはその名の通り、ディスポの最高速度で敵を寄せ付けずに叩き伏せる本気の姿だ。

 だがそれほど強力なのに何故普段からそれをやらないのか。何故切り札なのか。

 それは至極当然の事で、動き回れば疲れるからに他ならない。

 当然だ。あれだけの速度で休みなく動いているのだから疲労しないはずがないのだ。

 故にこそディスポは一度最高速モードになったからには、スタミナが切れる前に敵を倒す必要がある。

 これが場外負けのルールのある力の大会ならば格上だろうが殴り続ける事で場外まで運ぶ事も出来ただろう。

 だがルールのない殺し合いでは、オレンとカミンの再生能力を突破出来ないディスポに打つ手はない。

 彼のスタミナ切れは目に見えていた結末であり、そして彼に遅れてトッポも倒れ伏した。

 その前に立つカンバーは超サイヤ人3へ変身しており、先程までとはパワーが違う。

 そして他のプライドトルーパーズは……他の惑星へ赴いていたジレン以外の全員が、既に地に倒れていた。

 その光景を見てシーラスは憂鬱そうに話す。

 

「正義は……悲しいほどに弱いな」

 

 その声色にはトッポ達への嘲笑などの感情はなく、ただ哀れみだけがあった。

 いくら正義を謳っても、いくら信念があっても結局は力だ。

 力がなければ何も守れない。悪ばかりが強いこの世界ではただ力なき者は踏みにじられる。

 だからこそ、とシーラスは思う。

 やはり宇宙は最初の時点から既に間違えているのだ。

 それはそうだ。何せ神々の頂点があの全王だ。

 力だけを持った幼い子供だ。

 そんなものを頂点に据えた宇宙が正しいわけがない。

 だからこそシーラスは、打倒全王を掲げるハーツに共鳴した。

 全ては、悪の存在しない正義の宇宙を創る為に……。

 

 

 

「――正義(おれ)を弱いと云ったか?」

 

 

 

 ――威圧感が、惑星全体を襲った。

 その衝撃にコアエリアの戦士全員が咄嗟に臨戦態勢を取り、無意識のうちに身構えた。

 彼等は全員が本能で悟ったのだ。

 何か来ると。恐ろしいまでの力を持つ何かが、光速で――いや、それ以上の速度で接近していると。

 その予感は正しく、空から紅の流星が降り注いでカンバーを痛烈に殴り飛ばした。

 

「ぐああああ!?」

 

 カンバーの巨体がいとも簡単に飛び、地面を削る。

 その攻撃の主は地面を強く踏みしめ、砂塵の向こうからゆっくりと歩み出た。

 外見は……お世辞にも強そうとは言えない。

 第六宇宙と第七宇宙の試合の時に審判を務めていたグレイのような宇宙人をそのまま筋肉質にしたような単純すぎる外見だ。

 服装もトッポと同じプライドトルーパーズのユニフォームであり、それがより一層見栄えの悪さを強調してしまっていた。

 だが――強い。桁外れに。

 全員がその事を悟り、思わず距離を取った。

 

「お、おお……ジレン! 来てくれたか!」

「待たせたな」

 

 トッポが見上げるその男こそ第11宇宙最後の砦にして、この宇宙の英雄だ。

 破壊神をも超えた別次元の男――灰色のジレン。

 単体戦力ならば並み居る第七宇宙の強豪すらも抑えて全宇宙一を誇る強さの体現者。

 彼はコアエリアの戦士達など、まるで視界に入らないかのようにトッポの前に屈んだ。

 

「よく持ち堪えてくれた。後は俺に任せろ」

「ジ、ジレン……お前の故郷は……」

「お前達のおかげで避難が完了した。恩に着る」

「そうか……よかった……」

 

 ジレンだけがこの危機に遅れた理由。

 それはトッポやカーセラルが、ジレンだけを彼の故郷の保護に向かわせたからだ。

 ジレンはかつて家族や師を殺され、以来ずっと報われない戦いを続けていた事をプライドトルーパーズの面々は知っている。

 だからこそ彼等は、迷うジレンを故郷に向かわせたのだ。

 ジレンが到着するまでの間くらい持たせてみせる……そう約束し、そしてその誓いは果たされた。

 気を失うトッポへ優し気な視線を向け、そしてジレンは立ち上がる。

 その目の中には一転して、悪への怒りのみが燃え上がっていた。

 

「あはははっ! 来たよ来たよ! ジレンが来た!」

「いいわ! 面白くなってきた!」

 

 宇宙最強の男の登場にオレンとカミンが笑い、無邪気にはしゃいだ。

 この二人にとってはジレンの怒りも正義も知った事ではない。ただ自分達が楽しめるかどうかだ。

 ツフルの姉弟が笑みを浮かべながらジレンに殴りかかる。

 それに対しジレンはノーガード。何の構えも取らない。いや、構える必要がない。

 オレンとカミンの拳はジレンに届く事すらなく、彼の発している気の壁で止まってしまっていた。

 

「無駄だ。お前達では俺には永遠に勝てん」

「な……何を……!?」

 

 ジレンはまるで興味がなさそうに言い、軽く腕を薙いだ。

 それだけでオレンとカミンが吹き飛び、壊れた玩具のように地面を転がる。

 そうしてから彼はカンバーへ狙いを定め、ゆっくりと歩き始めた。

 

「ククク……分かるぞ。貴様強いな……! 俺と……戦えええええ!」

「…………」

 

 カンバーがジレンの強さに歓喜し、右ストレートを繰り出した。

 彼のパワーは流石に気の防御を突き破るが、ジレンはまるで動じずにカンバーの拳を掴む。

 ジレンの超握力でカンバーの拳が軋み、その顔が苦痛に歪んだ。

 その隙を逃さずにジレンの剛腕がカンバーの腹へ突き刺さり、カンバーが一歩二歩と後ずさる。

 たったの一撃で膝が震え、マスクから血が零れていた。

 

「く、くくく……いいぞ……なんという強さだ……!

それでこそ、俺の敵に相応しい! お、俺と……もっと戦え!」

「……獣め。お前の頭にはそれしかないのか」

 

 カンバーが気を上げ、更に力強さが増す。

 服が破れ、目からはほとんど理性が失われて白目を剥いていた。

 それに対してジレンも紅の気を解放し、正面から受けて立つ。

 

「そりゃああ!」

 

 カンバーが正面から剛腕を放つ。

 ジレンはそれを手の甲でいなし、反撃のストレートをカンバーの顔へ叩き込んだ。

 マスクがひしゃげ、へし折れた歯が宙を舞う。

 更に右、左、また右とジレンが拳を放ち、カンバーが左右へ揺れる。

 重い打撃音が響く度に血が舞い散り、地面を赤く染めた。

 カンバーもダメージを無視して反撃するが、ジレンはパワーだけの男ではない。

 苦し紛れの獣の攻撃など軽々と防ぎ、逆に痛烈な拳打を浴びせた。

 忘れてはならない。

 ジレンは、身勝手の極意を使わずに()()()()()()()()()()()()()()()()()男なのだ。

 

「パワーは認めよう。だがそれだけだ」

 

 かつてジレンは力の大会において技巧の極致とも呼べる女と戦った。

 リゼットの巧妙で予測すら出来ない技の数々と比べればカンバーの攻撃の何と直線的で捻りのない事か。

 かつてジレンは力の大会において武道の極致とも呼べる男と戦った。

 あの孫悟空の重厚で熱い拳と比べてカンバーの拳の何と空虚で寒い事か。

 大会では敵同士だったが、それでもあの二人はジレンの心に新たな風を呼び込んでくれた。

 こんな仲間を頼らずに独りよがりで戦っていた男を報われていいと言ってくれた。凄い奴だと……また戦いたいと言ってくれた。

 ならば、こんな所でこんな下らない男に後れを取るわけにはいかない。

 いつか孫悟空と再戦する日に……リゼットの前に立った時に……胸を張って、俺は強くなったと言う為に。

 ジレンの瞳の中にある目指すべき果てはこんなに近くない。

 ジレンの目指すべき壁はこんなに薄っぺらくない。

 今は先にいる孫悟空に追いつく為に……こんな所で、道端に落ちている石ころになど躓いてはいられないのだ。

 

「お前の拳には欲望しかない」

 

 ジレンの目が光り、数多の打撃がカンバーの全身を打ちのめし、宙へ舞い上げた。

 

「そんな拳では……俺には届かん!」

 

 ジレンが吐き捨てるように言い、宙を舞うカンバーに一瞬で接近して腹へ蹴りを叩き込んだ。

 繰り出された拳を受け流し、膝と肘で挟み込んで骨を破壊する。

 怯むカンバーの前で前方に回転……遠心力を乗せて踵落としを脳天に決め、更に急降下。

 地面に墜落し、カンバーを踏みつけた。

 

「ぐおあああ!」

 

 カンバーが蹴りを出すも、これを掴んで振り回し、地面に叩き付ける。

 頭を掴んで引きずり起こし、カンバーの腹に掌を当てて気弾を叩き込んだ。

 カンバーはされるがままに吹き飛び、ジレンはそんな彼に背を向けて腕を組む。

 ――直後、爆発。

 カンバーの全身を爆炎が覆い、全身が焼け爛れたカンバーが地面に墜落した。

 だがコアエリアの戦士はカンバーだけではない。

 ジレン目掛けていくつものガラスの破片が降り注ぎ――ジレンが睨んだだけで止まった。

 

「っ! そんな……私のガラスを、目力だけで……」

 

 ジレンを奇襲したのはラグスであった。

 彼女は物体をガラスに変え、あるいは生成して操る能力を持つ。

 勿論ガラスといってもその強度は普通のガラスとは比較にならず、超サイヤ人の肉体だろうが貫いてみせるだろう。

 しかしジレンはそのガラスの雨をあろう事か、目力だけで止めてしまっていた。

 

「邪魔だ」

 

 一言呟き、ジレンが一瞬でラグスの上へ移動した。

 あまりの速度にラグスは反応すら出来ず、呆けた顔でジレンを見上げる。

 だが少女だろうが悪に容赦はしない。

 ダブルスレッジハンマーがラグスに炸裂し、その華奢な身体を地面へ叩き落した。

 悲鳴を上げる間すらない。

 砂塵が晴れた時、そこにはクレーターの中央で失神している……全身が罅だらけになったラグスの姿だけがあった。

 

「なっ……何だと……」

 

 あまりに一方的過ぎるジレンの戦いぶりにシーラスが狼狽し、声を震わせた。

 そんな彼を見てジレンは一言、軽蔑するように言う。

 

「下らん負け犬の目だ」

「な……に……」

「己の理想を諦め、楽な道に逃げている男の目をしている。そのような輩に正義を語る資格などない」

 

 言うだけ言い、ジレンの剛腕がシーラスの顔面を殴り飛ばした。

 棍で咄嗟にガードしたものの、何の意味もない。

 シーラスが地面に激突し、瓦礫が舞い上がった。

 そこに悠々と着地し、ジレンは静かに残っている敵を見る。

 

「ね、姉さん……こうなったら……」

「ええ、合体しかないわ……けど、そんな暇は……」

 

 ジレンを前に、再生能力のおかげでまだ意識を保っていたオレンとカミンが切り札の使用に踏み切ろうとしていた。

 彼等の切り札は合体だ。姉弟が一つになる事で一人の時とは比較にならない強さを得る事が出来る。

 だが問題は、それをみすみす許すほどジレンは遅くないという事だ。

 しかし二人の予想に反し、ジレンは動く様子を見せない。

 それどころか腕を組み、屈辱の言葉を口にした。

 

「待ってやる」

「な……き、きさ、ま……!」

「待ってやると言ったんだ。お前達にまだ隠された力があるというのなら、それを全て出すといい」

 

 この言葉にオレンとカミンの顔が同時に憤怒に染まった。

 最強を自負する二人にとってジレンの態度は、舐めているとしか思えないものだ。

 だがこれがジレンの流儀なのだ。

 あえて相手に全力を出させ、それを正面から打ち砕く事で己の無力さを思い知らせる。

 それはある意味何よりも残酷な、圧倒的な正義による悪への処刑であった。

 

「後悔させてやる! でやああああああ!」

 

 オレンとカミンが同時に飛び、衝突すると同時に一人の戦士へと生まれ変わった。

 カミンとオレンが融合する事で生まれた超戦士――カミオレンが咆哮をあげながらジレンへ拳を叩きつける。

 だがジレンは一歩も動かずにカミオレンの拳を掌で受け、そして握力で彼の拳を握り潰した。

 

「ぐがっ、あああああ!」

「やはり、こんなものだろうな」

 

 掴んでいる手と逆の腕でカミオレンの頭部を殴りつける。

 それだけでカミオレンはひしゃげ、地面に埋まってしまった。

 腕も足も、首の向きすらもが滅茶苦茶だ。たったの一撃で全身がへし折れてしまっている。

 

「ウガアアアアアッ!!」

 

 カンバーが血を撒き散らしながらジレンの背に飛び掛かる。

 しかしジレンはこれにも一切動じる事なくカンバーの顔を掴み、持ち上げる。

 

「耐え抜いたか。しぶとさだけは大したものだ」

 

 相手を僅かばかり認めつつ、ボディブロー。

 カンバーの腹筋を貫き、衝撃が身体を貫通して背中から飛び出した。

 一撃で内臓はおろか骨すら砕き、カンバーが痙攣する。 

 

「むん!」

 

 カンバーを仕留めるべくジレンが拳を握った。

 だがその瞬間、全身に負荷がかかり地面に膝をついてしまう。

 どうやらまだ敵は残っていたらしい……そう思い見上げれば、そこには手を翳すハーツの姿があった。

 

「いいねえ、ジレン……素晴らしい強さだ。まさに宇宙最強の名に相応しい。

だが彼等は大事な同胞でね。ここで殺されるわけにはいかないんだ。

そう、俺の理想の実現の為に」

「……」

 

 余裕を滲ませて話すハーツであったが、その笑みが凍った。

 超重力をかけられて身動きできなくなったはずのジレンが、まるで何事もなかったかのように立ち上がろうとしているのだ。

 重力が弱かったか? そう思い強めるもジレンは止まらない。

 彼は揺るがぬ正義を秘めた瞳でハーツを見上げ、そして更に気を解放した。

 紅蓮の気が炎のように揺らめき、その輝きはどこか身勝手の極意のオーラと似ている。

 額や腕には血管が浮き出し、膨張した筋肉によってスーツは内側から破れた。

 

「悪党共の……理想など……」

 

 静かに。だが燃え盛る怒りの炎を秘めて。

 ジレンが悪を決して許さぬ鋼の意思でハーツを睨む。

 そして一瞬で重力を振り切り、ハーツの目の前まで接近した。

 

「――下らんッ!!」

 

 

 ジレンの巨拳が、慈悲なくハーツの腹にめり込んだ。




【戦闘力】
ジレン:60兆
本気:130兆
限界突破(半裸):150兆
破壊神を超えた男。
相手を落とさなければ勝ちにならないルールなのに落とさずに背中を向けて「戦士よ眠れ」とか決め台詞を言ってしまう舐めプ癖の持ち主。
これといった異能は有していないが単純なフィジカルと気のパワーで何もかもを捻じ伏せる。
劇場版で「実は素の強さは悟空やベジータと大差ない」という設定が出たが個人的にこの設定は大歓迎。むしろ素の強さであれだと「じゃあ界王拳習得すればジレン無敵じゃん」になってしまう。
なのでジレンは「気の操作による戦闘力の上昇が滅茶苦茶上手くて、それだけで界王拳や超サイヤ人以上の戦力上昇を生み出している」とする。
なので無駄に負担のかかる界王拳系列の技は必要ない。

アニメでは広告の為に敵キャラにも見せ場を与えなければならないのでカミンやオレンでもそこそこ戦えたりしたが、実際は究極カミオレンすら一撃KOするくらいに実力差が開いていた。
そもそも広告アニメでは身勝手と渡り合った限界突破モードどころか、本気を出した時の炎のようなオーラすら出していないので相当接待していた事が分かる。
このSSは広告ではないので敵に見せ場を与える必要はない。結果、今回のような事になってしまった。
こらああ! 少しは手加減しろお!
ジレン「手加減とは何だ……?」

ハーツ:5兆
スーパーハーツ:50兆
宇宙騒乱編のボス。素の状態でもヒットと渡り合えるほど強い。
だが単純な戦闘力よりも重力操作と読心の能力が厄介。
スーパーハーツは最初はブルーの悟空に圧倒されたりもしたが、本気を出したら瞬殺してしまったのでブルーでは相手にならないほど強い。
何故悟空は界王拳を使わなかったのだろう。
このSSではジレンが接待プレイをしてくれないので、いきなり大ピンチである。

カミオレン:36兆
カミンとオレンが融合してパワーアップした姿。
強くはなったが描写を見るにポタラ合体やフュージョンほどの急激なパワーアップは果たしていないように見えるので倍率はフュージョンの半分とした。
綺麗なベジータには一方的にボコボコにされる程度の実力。
一応、身勝手『兆』の悟空の攻撃数発に耐えるほどの耐久力がある。
ちなみに悲しい話だが、宇宙の種を取り込んで究極カミオレンになってもジレンの敵ではない。
その究極カミオレンは漫画版で不意打ちとはいえ超3カンバーと破壊神トッポを一撃KOしているので超3カンバーより強く見えるが、ジレンに一撃KOされてしまった。
しかしそのジレンより強いと思われる究極ハーツはブルーゴジータにボコボコにされ、そのブルーゴジータと同格のはずのベジットブルーをカンバーが圧倒したわけで(漫画版では互角)……うん、わけわからん。
やはり、ヒーローズで使っているポタラは不良品なのでは……?


ラグス:1兆~2兆
恵まれたキャラデザと『ガラス族の生き残り』という何か重そうな設定があったのに、一切活かされる事なくメタルクウラに戦闘描写すらなくやられ、そのまま出番が終了してしまった子。
肝心の戦闘力だが、殴り合うシーンがないので分かりにくい。
身勝手『兆』の悟空をKOしたので強く見えるが、あれは言ってしまえばカッチン鋼を創造して敵にブン投げているのと同じようなものなので戦闘力の数値としてはいまいち参考に出来ない。
ぶっちゃけ界王神でも同じ事が出来る。
その後、超サイヤ人2の未来トランクスでもそこそこ戦えてしまったので、特殊能力が強いタイプだと思われる。

シーラス:1兆8000億
タイムパトローラーの未来トランクスを一蹴するくらいの強さはあるが、明確にブラック(ロゼ)未満であると明言されてしまった男。
なのでこのSSではどう贔屓しても2兆未満確定である。
アムズと融合しなければ大して怖い相手でもない。
とはいえ融合前でも超4の悟空やベジータ相手に戦えているので、素の状態でも強い事は強い。
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